表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

3

「……どうしろって言うんだろう……」

 指定されたレストランの入り口を、物陰からちらちらと伺いつつ、彩は一人つぶやいた。

 何と言うか、気後れして入れない、とでも言おうか。

 正直に言って、このような場所には不慣れだ。普段の自分には、縁遠い場所。一応、事前に調べてみたが、ドレスコードなどは間違いはないはずだ。さすがにジーンズで来るような常識はずれな振る舞いはしていないから、大丈夫だろう。それでも、敷居が高いことに変わりはない。

 ここに来るまでに何度となく帰りたいと思ったが、一度約束してしまったからには破るのは人として何か間違えている気がする。

 柱の陰に隠れて深呼吸を繰り返し、気合を入れ直して入り口に近づいて行く。

「いらっしゃいませ。ご予約はなさっておられますか?」

「……あ、えーと、待ち合わせなんですが……。三枝彩さえぐさあやといいます」

 貴樹からのメールにあった通りに名乗れば、彼は既に心得ていたようで、即座にうなずいた。

「東城さまのお連れさまですね。承っております。東城さまは既にお待ちですので、ご案内いたします」

 素知らぬふりを装って案内を受けながらも、彩は内心で少々うろたえていた。

 頭の中は、あの、貴樹と名乗った男の正体について何通りもの仮説がぐるぐると回っている。だが、明確な答えのビジョンは見えてこない。謎過ぎるのだ。

 最初に受けた、頭のねじの緩んだ男の印象。そこはかとなく、派手に見える外見。そして、メールから受けた意外と生真面目そうな印象。そのうえ、選んだのがここだ、という事実。

 さっぱりわからない。

 わかるのは、貴樹が最初の印象とは違う男だ、という客観的事実くらいだ。

 いろいろと考えていると、ますます彼が何者なのかがわからなくなる。だが、それについて、誰かが答えをくれるわけでもない。かと言って、本人に直接尋ねるというのも、どうにも気が引ける。

 彩が悩んでいるうちに案内の者が立ち止まり、指し示された先は奥まった場所にある個室だった。

(個室、なの!? どういうこと? あの人、何者?)

 ますます、ワケがわからない。

 第一、こんな所、あんな程度のことで初対面に近い相手を誘う場所ではなかろう。場違いも甚だしい。このまま帰ってもいいだろうか、と思いながらも、彩は引き返せないまま開かれたドアの向こうへと足を踏み入れた。

「いらっしゃぁい」

 ドアの向こうから彩を出迎えたのは、すっとんきょうな声だった。

 場所は高級感に溢れていても、本人の雰囲気はそうでもないらしい。けれど、それは彩の期待を裏切らないものでもあって、何となくほっとした。どんな場所にあろうとも、彼は彼なのだ。彩が受けた印象のまま、そこに彼はいた。

 ここの雰囲気が、どうにも思っていたものとは違っていて、知らず緊張していたのかもしれない。それが、貴樹の周囲とはそぐわない態度で少しだけほぐれた。

「来てくれてありがとう! すっごく嬉しいよ! もしかしたら、二度と会ってもらえないかと思ってたから!」

 にこにことしながら、正面のテーブルに座った貴樹が彩を見ている。

 ほら、座って座って、なんて促されて、彩は内心どうするべきか迷いながらも、貴樹の言葉に従うしかない。

 やはり、場違いだ。

 こんな場所で、二人で個室にこもるなんて、何だか誤解して下さいと言わんばかりな気がしてならない。誰の誤解を警戒しているのかと言われてもわからないが、何となく、そんな気がした。

「ごめんね、俺の都合のいい場所に呼び出したりして。あ、でも、変なことは心配しないでもいいよ。ここはよく使う場所だし、俺の事情も知っているからさ。ちょっと事情があって、大勢の人がいる所で食事をするのが苦手なんだよね。あ、それで、何がいい? 俺、勝手にコース頼んじゃったんだけど、苦手なものとかあったりする? 変えなくてもいいなら、ここからワイン選んで」

 一人でマシンガンのようにまくし立てて、貴樹は手にしていたワインリストを彩へと差し出した。

 彩はそれに圧倒されつつも苦笑して、そのリストを軽く押し戻す。

「悪いけど、私、あまりワインが得意じゃないから」

「あ、そうなの? じゃあ、飲みやすくて料理に合うものを適当に持ってきて」

 リストを店員に返しながらそう言って、貴樹は落ち着きなさそうに視線を宙にさまよわせた。

 こういった場に慣れていることは事実のようだが、落ち着きがないのも、また彼の揺るぎない事実なのだろう。

 席について少しばかり冷静さを取り戻すと、周囲のことを考える余裕も生まれてきて、彩はじっと貴樹を観察する。

 初めて会った時の印象の通り、基本的に落ち着きのなさそうな頭のネジが緩んでいそうなタイプだ。そこはかとなく派手な印象を受ける見た目も、変わらない。だが、メールの文面の印象は違っていて、彼はとても生真面目な人間に思えた。

 テーブルの上で組まれた、男性にしては細くてしなやかな指が落ち着きなく動く。右の中指に嵌められた大振りのシルバーのリングは、決して邪魔にはならずに彼の趣味のよさを教える。身に着けたスーツは黒を基調にした品のいいもので、シルバーのアクセサリーがそれにわずかな華やかさを添えていた。

 印象が、一致しない。

 それがいいのか悪いのか、彩にはよくわからないままだ。

「ここね、結構美味しいんだよ。俺、何度か来ているんだけどさ、個室もあるから落ち着いて食事ができるし、人の目も気にならない。きっと、君も気に入ると思うな」

 どういうわけか、貴樹はやたら上機嫌だ。落ち着きなく喋っているのは変わらないけれど、不機嫌そうに黙り込まれるよりはよほどいい。

「えっと、それじゃ……自己紹介、ちゃんとした方がいいかな。俺は、東城貴樹。年は……えっと、二十七! 君は?」

 と聞いてから、貴樹は「あっ」と声を上げた。

「女性に年齢を聞いちゃいけないんだった……」

 それまではしゃいでいたのが、急にしょんぼりとして貴樹は肩を落とす。

「ごめんなさい、今のなしで」

「……別に、気にしませんよ。でも、答えません」

 二十七ということは、彩よりも四歳は年上だ。意外と年齢が上だったことに驚いたが、それは黙っておくことにする。

「えと、怒っていませんか……?」

「怒ると言うなら、前回のことの方が失礼だと思いますけど。あれについて、言い訳とかはないんですか?」

 少し意地の悪い言い方をしてじろりと視線を向ければ、貴樹は目に見えてうろたえた。

「……えーと、あれは……その、ちょっと、事情が。いろいろと込み合っていて、そのぅ……」

 あくまでも、詳しい事情を話すつもりはないらしい。それでも、目を伏せてしどろもどろになりつつも、貴樹は反応を伺うように彩を見る。その様子がまるで飼い主のご機嫌を窺う犬のように見えて、彩は思わず噴き出してしまった。

 犬だ。

 犬がいる。

 一度そう思ってしまうと、彼のうなじで揺れる緩く編まれた三つ編みが尻尾にしか見えて来なくなってしまって、笑いが止まらなくなる。

「え、えっ、何で笑うの!?」

 途端におろおろとし始める貴樹に、更におかしくなる。

 我ながら不躾だったな、と反省しつつも、彩は笑いすぎて目尻に滲んだ涙を拭った。

「……いえ、ちょっと、おかしくて。あなた、犬っぽいって言われることがないですか?」

「よくわかるね! いっつも言われる! 血統書つきのバカ犬だとか、そういうふうに」

 それはバカにしているのと紙一重のように思えるが、確かに、その喩えは間違っていない。どう見ても、彼の印象は犬にしか見えない。

 わふわふと尻尾を振りちぎりながら圧し掛かってくる、愛想はいいが少しばかり頭の悪そうな血統書付きのもふもふだ。

 何だか、いろいろと力が抜けてしまった。

 本当は、この前のことを追及してやろうかと思っていたのだ。いきなりあんなことをされて、一人の時間を邪魔されて、その理由くらいは聞いてみたいものだ、と。

 だが、どうでもよくなってきた気がする。と言うよりも、毒気が抜かれてしまった、とでも言うべきか。

「えっと……あの、この前は申し訳ありませんでした!」

 いきなり、貴樹はがばっと頭を下げた。驚く彩を見上げて、困ったように小首を傾げる。

「もう、怒ってない……よ、ね……?」

 ダメだ。

 犬に、負けた。完敗だ。怒っていたとしても、こんな表情を見せられたら全てがどうでもよくなる。

「……今でも怒っていたら、こんな所にのこのこ来たりはしないと思いますけど」

「よ、よかった……!」

 本気でほっとしたらしく、貴樹はふにゃりと相好を崩した。

 黙っていればそこそこにカッコいい部類に入るだろうに、喋ったり笑ったりするだけでイメージが変わる。たぶん、彼はそれなりにもてるのだろうな、と、彩は思った。

 だが、そんなもてる男が、何故、自分を食事に誘うのか。

 先日の謝罪という理由があるにしても、それならば、何も個室でディナーでなくとも充分だ。

 やがて料理が運ばれてくる頃になると、彩は何だか疲労感さえ覚えてしまう。従業員は仕事だからこっちが気にするほど人のことなど見ていないのだろうが、やはり、こんな個室でディナーというのは、気の張るものでしかない。

「……あれ、こういうの、嫌い?」

 彩の様子に不安になったのか、またしても急にしょんぼりした声音になった貴樹が妙におかしくて、彩は慌てて首を横に振った。

「そういうわけではないです。ただ、こういう席って慣れていないから、緊張してしまって」

「そうかなぁ。でも、彩さんは可愛いから、誰も気にしないと思うよ!」

「はあ?」

 その切り返しは、意味がわからない。可愛いと言うのなら、犬っぽい貴樹の方がよほど可愛く見える。

 おそらく、貴樹には悪気がないのだろう。純粋に褒めてくれているのだろうことは、わかる。

「……えっと、ごめんなさい」

「え、何で謝るんですか?」

「だって、俺、今、すごく不躾なことしたよね。本当は、彩さんがここに来てくれたことだって、俺は感謝しなくちゃならないのに、勝手にべらべら喋って……。何か変なこと考えているって思われちゃうかな、って」

「変なことって」

「誓って! そんなこと、ないから! 俺、自分が胡散臭い外見なのは知ってるし、たぶん、この前のことで彩さんには迷惑かけたから、俺のこと信用ならないって思われても仕方ないとは思ってる。でも、俺は、彩さんと友だちになりたいんだ。そういうのは、ダメ……ですか。あ、いや、その、えと、だから」

 言い訳をしているうちに、自分でも何を言っているのかわからなくなってきたのだろう。貴樹は時折首を傾げながらも懸命に言葉を重ねて来る。

 その様子は、まるで宿題を忘れたことに対しての言い訳を一生懸命に考えている子供のようで、彩はまたしても噴き出してしまった。

「……あの、彩、さん……?」

「何だか、東城さん、最初とすごくイメージが違いますね」

「え、そ、そうですか?」

 妙にそわそわとしとしている貴樹に苦笑する。何をそんなに慌てているのか、不思議でたまらない。こんな場所に呼び出されて二人きりになって、警戒して挙動不審になるとすれば、彩の方だというのに。

「最初はね、すごく頭が悪そうに見えましたから……その、あんな感じでしたし」

「ご、ごめんなさい」

「それは、それぞれに事情があることだから、別にいいんです。でも、あの時、いきなりフィギュアとか出したでしょう? それで、何だか怒っているのもバカバカしくなって来ちゃって」

「ふぉえ」

 いきなり、貴樹が変な声を出す。どうやら、ワインでむせたらしい。だが、すぐに気を取り直したように口を開いた。

「あ、あれは、厳密に言うとフィギュアじゃなくて」

「は?」

 何となく不穏な単語が飛び出してきたことに、彩は眉をひそめる。この会話のパターンは、大輔とのそれを思い起こさせる。彼が延々と大好きなあれそれについて語り、彩はハイハイとひたすら相槌を打って話を合わせるという、微妙な苦行の。

 大輔のことは好きだし、大事な幼馴染だ。彼の好きなものをバカにするつもりもないのだが、さすがにそればかり聞かされるのも疲れて来る。

 スイート何とかというアニメは、大輔にとって大切な作品なのだ。あれは、彼がキャラクターをデザインしたものの中で初めてそこそこにヒットした作品で、彼はものすごく大事にしている。その愛情が行き過ぎて、時折、理解不能なほどに。貴樹の最初の反応からしてあれが好きなのは確かだろうから、大輔が知ったら小躍りして喜ぶに違いない。二人揃ったら鬱陶しいことこの上なだそうだが。

「あ、いや、その」

 彩の反応が気にかかったのか、貴樹は目に見えてうろたえた。大輔もそうだが、話はしたいが馬鹿にされたくはないという葛藤があるのだろう。

「大輔が……ああ、大輔ってのは私の幼馴染ですけど、あなたが見つけたあの栞、あれは、彼の悪戯なの。だから、私自身は興味があるわけではないんだけど……あなたがあれに反応したのが、ちょっと、面白かったんです」

「幼馴染……」

「うん、そう。私は詳しくないけど、彼、御坂大輔みさかだいすけって」

「まさか、キャラデザのミサカダイスケ!?」

 言いかけた彩の台詞を遮り、貴樹が叫んだ。

「たぶん、そうだと思う……けど……」

 いきなり目をキラキラとさせ始めた貴樹に、彩は面食らう。それまでもにこにことしていたのは変わらないが、これまでとは表情がまるで違う。そんなにもスイート何とかが好きなのか、と、的外れなことで感心してしまう彩である。

 だけど、そんな彼の変わりようが可愛いとも思った。

 取り澄ましたような表情も、派手に見える軽そうな外見も、全て吹っ飛ばしてしまうほどに、その表情は彼の素を現しているように思えたからだった。

「さ、サインとか、もらえたりする!? ああ、でも、そんな図々しいこと言ったら俺は人として」

「そ、そんなに好きなの?」

「そりゃ、好きだよ! あすかたんは俺のよ――」

 そう言いかけて、貴樹ははっとしたように口をつぐんだ。そこで、ちょうどメインの料理が運ばれてきたからだ。

 慌てたように周囲を見回して、貴樹は居住まいを正した。そこには、ほんの少し前まで興奮していた彼の面影はどこにもない。子供のように目を輝かせて大輔のことを聞いてきた彼は、一瞬でその姿を引っ込めてしまっていた。

 それが、少し寂しい気がした。そうやって取り繕ってしまうのは、大人の処世術なのだろう。そういう趣味を堂々と言うことは恥ずかしいとされるのが一般的だから、きっと、彼もそう思ってのことなのだ。大輔のようにそれを仕事にし、いつでも胸を張って話している人の方が少数派なのだから。

 せっかく会話が進もうとしていたのに、途切れてしまっていた。

 メインを運んできた従業員が席を外しても、今更、同じ話を始める空気はどこにも見つけられない。

 そうなってしまうと、美味しいはずの料理も味気なく感じてくるから不思議だった。

 どうするべきか、もう一度どうにか会話の糸口を探すべきか、とさり気なさを取り繕った顔で思案している彩の前で、貴樹は貴樹で、全く別のことを考えていた。

(どうしよう、俺、調子に乗って馬鹿なこと口走った……!!)

 表面上は呑気な様子を取り繕ってはいても、貴樹の心中は最初からかなりの不審者モードだった。もし、貴樹の心の中を覗ける人間がいたとしたら、即座に通報されてしまいそうなくらいに。

 それが、彩が『スイートキューティ』の話題を出してきたことで、一瞬、素の自分が思いっきり出た。隠しようもなく、出してしまった。

 いや、もとより彩に対して隠すつもりもないし、最初のアレでばれてしまっているのだから、今更なのかもしれない。それでも、今日だけはカッコよくスマートに印象付けようと思っていたのに。

 彩の幼馴染の話に思わず食いついてしまったのは、ファンとしては仕方のないことだと認める。貴樹ではなくとも、ファンであればあの状況で興奮せずにはいられないだろう。何しろ、キャラクターデザインを務めたミサカダイスケは、ファンにとっては神なのだ。

 だが、あれでは、まるでそれだけが目当てのバカなオタクではないか。もし、彩にそう思われていたとしたら、地球の裏側まで穴を掘って埋まってしまいたい。

 あそこでメインが運ばれてきて、正直、助かった。咄嗟に口をつぐみ、不自然な形で会話は途切れてしまったが、あれ以上の失態を披露せずに済んだからだ。もちろん、ここはREAL MODEの東城貴樹で来ることも多々あるわけで、そんな話をしていたことが面白おかしく吹聴されてしまっても困る、という事情もある。けれど、こういう場所の従業員は洗練されているから、客の個人的な会話の内容までを外に漏らすようなことはないはずだと思ってはいても、警戒だけは怠らない。それは、ここ数年の生活の中で身に着けてしまった、悲しいまでの習慣だった。

 そんなことばかりを考えていたから、貴樹だって、ちっとも味なんてわかっていなかった。

 美味しいでしょ、と、もっともらしく尋ねてはみるけれど、尋ねた貴樹自身が美味しいのかどうかもわかっていないのだから、何とも頼りない限りである。

 立場上、華やかに思われがちだが、貴樹はあまり恋愛には縁がなかった。イメージという問題もあるし、スケジュールも詰まっているから、安易に女性とは付き合えないという理由もあるが、そもそも、知り合う機会がない。

 こんなふうに売れ出す前には、それでも、恋人がいた。だが、人気が出るにつれてスケジュールが過密になり、自然に彼女と会う時間も減って行き、あまり連絡を取れないでいるうちに愛想を尽かされてしまった。彼女は、〝REAL MODEの東城貴樹〝という存在には重きを置いていなかった。それどころか、価値があるとは思っていなかったのだろう。人気が出たら捨てられたも同然だから、きっと、そうだったのだ。

 人気が出たことで、知りもしない女の子から声をかけられることは増えたのに、彼女はいなくなってしまったから。

 彩とそういう関係になりたい、とか、今のところ、そんなことまでは考えていなかった。彩は可愛い顔立ちをしていたし、貴樹のことを芸能人というフィルターで見ない。たぶん、さっきの発言だって笑って流してくれる。そんな気がする。だけど、そうだからと言って、今すぐ彼女に恋するかと言えば、それはわからなかった。

 それでも、予感がした。

 きっと、自分は彼女を好きになる。そんなひそやかな確信が生まれるのに、時間は要らなかった。

 結局、双方がぎこちないままの食事は、それなりの会話を成立させ、最後には次の連絡をするという約束を交わして終わりを告げた。それは、貴樹にとって想定外の成果であったことは、言うまでもない。

貴樹が持っていたのは、フィギュアではなくねんどろいど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ