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コネクトワールド~俺の脳内異世界が最強すぎるし、次々に進化していっておかしい~1巻完結  作者: 阿良あらと
第四章『VS伊集院透夜、そして』

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第26話(前)


 ランキング戦の公式通知が届いたのは、細田先輩と屋上で話した日から三日後のことだった。


【対戦決定:伊集院 透夜 (Rank 20) vs 神代 アキラ (Rank 412)】


「やっぱり新条グループはランキング戦を操作できる力を持っているのか……」


 何度でも対戦カードを組み直せる権力を持っているのか、それとも力技でねじ込んできたのか。


(いずれにせよ、新条グループは伊集院透夜を後押しするつもりということだ)


 俺の中の正義、そして心臓に宿る“兄の正義”が、彼らを強く否定する。

 嫌がる相手と無理やりコネクトしようとしている伊集院透夜も、それを裏で糸を引いて後押しする企業も。


(どっちも許される存在じゃない……)


 大きな課題は二つ。


 一つは伊集院透夜とのラグナロクに勝つこと。

 もう一つはその先にいる新条グループに屈しない“現実的な”実力を身に着けること。


 俺とミストはひたすらに仮想空間に籠り、その時の為に修行を続けていた。


「主様、準備できました!」


 真っ白な空間。

 俺たちが「トレーニングルーム」と名付けたその場所は、多少の衝撃では傷つかない強力な素材で構成されている。


「今回は人数十五人! 全員が総合格闘技の経験者設定で、身長・体重・筋肉量はランダムで召喚します!」

「オッケー、どんどん来い!」


 空気圧、重力、温度や湿度に至るまで。

 日本の初夏を完全に再現しており、俺の身体能力も限りなく現実に近寄せている。

 ブゥン、と低い音が鳴り響き、屈強な男たちが十五人現れる。

 一時間前は十人を相手に立ち回ったのだが、少し物足りなくなってきていた。

 少なくともこの仮想空間内であれば負ける気はしない。


「おらぁああっ!」


 先頭の男が力いっぱいパンチを繰り出してきた。

 その瞬間、俺は意識を集中させる。


「……限界突破ブースト!」


 ドクンッ、と心臓が大きく跳ねた。

 自分の本来の脳領域に加え、異世界――つまりラグナロクの広大な演算領域を並列処理に使うことで、通常以上の身体能力を引き出すシステム。


 世界の認識速度が変わり男達の動きが緩やかになる。

 一方でこちらの動きはいつも以上に速い。


 身体への負担はミストに調整してもらい、限界を超えて壊れてしまわないギリギリのラインで抑えてもらっている。


(最初の二日間は、地獄の苦しみだったからな……)


 今思い出しても逃げ出したくなるほどの痛みだった。  


 アキレス腱は何度も切れたし、ありとあらゆる筋肉が破裂した。

 着地の衝撃で関節は外れまくったし、目に力を入れすぎて眼球から血が噴き出したこともあった。


 仮想空間でなければとっくに死んでいただろう。


「一人!」


 先頭の男の拳を最小限の動きで避けると、そのままカウンターの膝蹴りを叩き込む。


 ボグッと鈍い音が響き、男の体勢がゆっくりと崩れ落ちる。


(左足が生きているなら、本能で踏ん張ってしまうはず!)  


 人間の「倒れたくない」という防衛本能は、考える以上に強い。

 俺は崩れかけた男の胸元に足を当て、蹴るというよりは押す感覚で後方へ吹き飛ばした。


 予想通り男は体勢を整えようと無意識に左足で踏ん張った。

 しかし膝を砕かれた激痛でバランスを崩し、後方の集団へと勢いよく突っ込んでいく。


「二人!」


 前方は倒れこむ男たちで塞ぐことができた。

 俺は即座に右側へ標的を移す。


 襲い掛かる腕を絡めとり、敵の体重を利用して投げ技へと昇華する。

 全体重を乗せて地面へと叩きつけると、その衝撃の反動を使って次の男へと跳躍する。


 三人、四人、五人。

 流れるように敵を制圧していく。


 そして八人目に標的を移した、その瞬間。


「――終了です。これ以上は無意味なようです」


 ミストの声と共に召喚された男たちが光の粒子となって消え去った。


「ということは?」


 俺は顔がにやけるのを隠せないまま、ミストに問いかける。

 正面に現れたミストは、俺の無茶な戦い方に少し不機嫌な様子を見せつつも、隠しきれない嬉しそうな顔で答えた。


「はい! ミストの予想を遥かに超えて、主様は強くなりました!」


 興奮で顔を真っ赤にして叫ぶミストには、何とも言えない愛おしさがあった。



 休憩がてら机を囲んで、ミストと「ブースト」についての作戦会議を行う。


 世界で俺だけにしか解放されていない隠しシステム――【BOOST】。

 拡張した脳の演算力を使って身体のリミッターを強制的に解除し、火事場の馬鹿力を意図的に引き出すシステムだ。


 本来であれば現実の肉体が負荷に耐えられず、一度使えば再起不能の大怪我を負う諸刃の剣。


「ですが、私が常時サポートして負荷を分散させれば、主様の身体でもギリギリ耐えられます!」


 ふふんっと誇らしげに胸を張るミストの頭を撫でながら、俺は本題に入る。


「明日からはブーストの訓練を“現実”で行おうと思っているんだけど、いけるか?」

「……あまりにも責任重大すぎて、ミストの心臓が張り裂けそうですが……主様の命とあらば、覚悟を決めます」


 悲壮な決意をする彼女に俺は苦笑する。


「できれば、ブーストなんて使わずに生きていきたいけどな。……新条グループは、あまりにもきな臭すぎる」


 俺がカイト兄さんの正義を背負っている限り。

 奴らとは、いつか必ずぶつかるだろう。


 その時のために、俺は強さを手に入れなきゃいけないんだ。




25話から1巻分最終話までを書き直していますので、タイトルが前編後編に分かれてたりしますが気にしないでください。あと5話くらいで第一巻『新入生編』を締める予定なので是非とも応援よろしくお願いします!

ちなみに第二巻は『夏休み、宇宙開拓編』を予定しておりますので楽しみにしていてください!

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