婚約
私の実家を出る事となり、家探しが始まった。
都会ではないが、田舎でもない場所だ。
猫を3匹抱えての家探しは困難だった。
猫2匹まで。賃貸ではその条件がついて回った。
家を買おう。と言う話になったが、ただの他人同士、お互い20代だった事もあり不動産屋はいい顔をしなかった。
そしてプロポーズされた。
まあ。いいか。と思いOKした。
家の購入・婚約に伴い、A男の家族に会う事になった。
私は結婚する事に元々条件があった。
苗字を変えたくない。と言う事だ。
私と両親は苗字が違う。
多々あって私は祖父の苗字を名乗っている。
そして祖父と結婚しても苗字は変えない。と約束していた。
A男は次男だが、A男の父親が経営している会社の跡取りだったため、一応私は付き合う際にこの条件を話し納得して貰っていた。
プロポーズの際もA男に家族に話して了承して欲しいとお願いしていた。
A男の家族と会った日、私は深く傷付けられた。
人の両親を悪く言いたくはないが、私から見たA男の両親は、男尊女卑の昔気質のような父親とそれに対して意見出来ず、同調する母親だった。
まず苗字の話だ。
A男は母親にしかその話をしておらず、父親は初耳だったとの事だ。
そしてそのうち死ぬ祖父との約束なんてどうでもいいだろう。と宣った。
そんな事を了承している私の両親は頭がおかしい。と。
家の購入についても、そのうち死ぬ猫の為に家を買う必要はない。ボロアパートがお似合いだ。と。
そして仕事だ。
会社の手伝いをしろ。と。
何故赤の他人にここまで言われなければいけないのか。
A男は何も言わず、私が言われている事を隣で聞いているだけだった。
帰宅後、A男に話が通ってない理由と私があれだけ罵られてるのに庇わないのは何故か。と問いただした。
そして私はもうA男の父親の顔は二度と見たくない。と伝えた。
また家族に話に行ってくる。と再度出掛けたA男。
帰ってきたA男は勘当されていた。
会社は継げなくなったが、あと5年間は父親の会社で働き、その間結婚はするな。と言われたらしい。
A男は家族や仕事より私を大事にしたよ。と。
私はそんな事を望んでいた訳ではない。
もう無理だ。別れよう。と思っていたが、責任を感じ、交際を続ける事にした。