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星の影の暗躍者  作者: 海星
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第1話

とある学校の放課後、みんなが帰り終わったあとの空き教室で1人騒いでいる男がいた。


「俺、星乃智影は花の15歳の男子高校生!

学校では、目立たず息を殺して生活しているため友達は「なにそれ?美味しいの?」状態な訳で無事にカースト最下位に位置している、、、、

しかぁし!そんな俺でも他の奴らよりも数倍、、いや数十倍も優れているところがあるのだ!

それは、それこそは!!俺が今をときめくアイドルグループ『オリオン』に所属していることなのだっ!

その中でもセンター!トップオブザトップ!

いやぁ〜これ公開したら俺も人気者になっちゃうな〜

モテモテかぁ〜」

「何言ってんの?あんたみたいなやつセンターじゃない上にそもそも『アルビレオ』のメンバーですらないでしょ?誰か知らないけど私の『オリオン』をそんな風に汚すのやめてもらえない?」


するはずのない方向からの突然の罵倒

俺は突然の出来事に驚きを隠せずに固まってしまった。

話しかけてきた本人も本人で、推しの真似をされた怒りで反射的に反応してしまったせいでどうして良いかわからずに動けないでいた。

そのことにより、突如として、放課後の空き教室に広がる静寂

少し経った後、

流石にもう行ったかな、、、

俺はそう願いながら、ゆっくり振り向いてみた。

しかし、そんな俺の願いも虚しく後ろのドアの方まで振り向いたところで声の主と目がばっちりあってしまった。

金髪、日本人離れをした黄金の瞳、胸はまあ、、、、ね?ご愛嬌ってことで、、、、


「ええと、、、、、ぶっちゃけどこから聞いてました、、、、?」

「俺、星乃智影は花の15歳の男子高校生!学校では、、、」

「繰り返さないでよろしいっ!てか、最初からじゃんか!うわメッッチャはず!」


流石の俺でも赤面してしまい、ちょうどいた教卓の下に入り込み顔を隠して横転してしまった。

そんな俺を見て、彼女は呆れたような蔑んでいるような声で


「うわぁ、、キモ」

「、、、、、、」

「てか、どう言う考えしてたら放課後の空き教室で叫ぼうなんて思いつくわけ?何?新手の露出狂?しかもさっき私の胸ジロジロみてきたよね?お巡りさんこっちで〜〜〜す」


あからさまに胸の前に手を置き、ニヤニヤしながら後退りしていく彼女を見て、

俺の心にものすごい大きい矢が刺さった気がした。ちょっと痛い


「そんな初対面の相手にそこまで言わなくても、、、、、」

「こっち見ないで!この変態下着泥棒露出狂痴漢魔!」


訂正めちゃクチャ刺さってます

やめてあげて!智影はもうゼロよ!

もう槍100本ぐらい刺さってるんじゃないかな?

そんな俺が心を痛めて蹲っている中、彼女はというと、

(なんでこんな変なやつと出会っちゃったんだろう、、、今日の私めっちゃついてないじゃん、、、はぁ、帰りになんか買って帰ろ、、、)

うん、既に智影のことなど眼中になく、帰りのコンビニに思いを馳せていた

そんな時、智影の頭上から一冊の本が降ってきた


「痛っ」

「あっ、やっちまった、、、」

俺がそれを大事に拾い上げると、さっきまで俺が読んでいた『オリオン』著「アイドルのなり方」という本だった。


「ふぅ〜ん?あんたもこういうの読むんだ?」


いつ移動したかわからない速さで彼女は教卓の上から覗き込んできた。


「な、なんだよ俺がこういうの読んじゃダメかよ」


俺は本が傷ついていないか確認しながら、下を向いて答えると


「え?なんで良いと思ったの?」


彼女の心を抉る言葉にまたもや始まった静寂

(えっ、、、きまずっ)

俺は恐る恐る彼女の顔を覗いてみる。

そこには想像通りの顔があった。

人を人だと思わずに汚物を見るような目


「で、でもさ!俺だってその、、、馬鹿にしてる訳じゃなくてさ、、!」

「はいはい、アンチはみんなそんな事言う。」

「あっ!」「ほら、この通り、、、?」


彼女は俺から無理やり本を取り上げると、ばっと見せつけるように開いて、俺に見せてきた。


「え?何これ?なんでこんなに書き込まれてるの?しかもしっかり為になりそうな情報、、?」


彼女は奪った側としては珍しく本の中身に戸惑っているようだった。

それもそのはず、彼女は俺をアンチと思い込んでいたようだが、俺も生粋の『オリオン』のファン。メンバーシップもしっかり入っているのだ!それと同時にアイドルを本気で志している!


「あんた、あの虚言はただの虚言じゃなかったんだ、、、、」


彼女はやけに感心したような顔をして、本を読み続けている

何やらぶつぶつと


「これならば抜けたバンドのメンバーの埋め合わせに使えるのでは、、、?いや、こいつに頼むのも癪な気が、、、、いやでも背に腹は変えられないしな、、、」


何やら不穏な言葉が聞こえてきている

気のせいだと思いたいな、、、


「あの〜そろそろ返して貰えたり、、、?あの、その読まれるの結構恥ずかしいので、、」


俺がそう言うとようやく彼女は本を閉じ俺の方を向いた。

そして、一呼吸置いたあとこう言った


「あなた、私と一緒にバンドやらない?」

「は?」


これが俺と凪の最初で最悪の出会いだった

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