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第四話セントルイス学園その1<雫side>

翌日1月9日

時刻6:25


朝…ほんとに弱いんだよな…

こういうところ…ほんとに直さなきゃって常々思う…

でも、冬は寒いのが悪い…

しょうがない事なんだと思いつつ私はまた二度寝しようとする


今日はセントルイス学園の学校見学だというのに…

また二度寝なんかしたら父さんに叱られるだろうけど…

でも、りょーとが起こしてくれるだろうし…とりあえず起こしてくれるまで…待つか

それにしても…もうりょーとが起こしてくれなくなるのか…


寂しい…というか、悲しいな

なんでこんな事になったんだろ

久遠の家が悪いの?

それとも私が悪かったの?

分からない

いや、分かりたくもない


なんせこのセントルイスに行くことは全て仕組まれていた…ってことぐらいは知ってる

でも、こんなにも早く行くことになるとは思わなかったけど…

でも…この際りょーとに隠してたことがあるなんてまた言ったら…怒られる…


でも多分信じてくれないだろうなって…事だから仕方ないよね

「姉さん?起きた?」

おや、自慢の弟が来たようだ

多分起きて欲しいんだろうなぁ


「んん…んぇ?」


「姉さーん、起きてー」

嫌だなぁ…起きたくないよぉ…


「あと…5分…」


「はぁ、姉さん?早く起きないと迎えの車来ちゃうよ?」


「はっ…!!起きないと」

仕方ない…起きないといけないか…

そう思い勢いよくばっとお布団から飛び起きた

「だから…服を着て…」


「あ…失礼失礼」

照れてるりょーとも可愛いなぁ…

でも、寮の時裸族だったら引かれるし…我慢するしかないかぁ…

「そだ、朝ごはんはパンがいいな」


「りょーかい」

なんで、パンって言ったんだろ

珍しくパンにしたけどいつもだったらご飯なのにな

お父さんが、好きだったからかな

そう思いながら私は東峰学園の制服に袖を通す

これを着るのも…今日で最後かぁ…

お父さん…私頑張るから


りょーととお母さんの為に、私頑張ってセントルイスの掟に《《抗うよ》》


そう決意をし仏前に行く

お父さんに力を貰うためだ


「お父さん…私、行ってくるね」


うん、わかってる

お父さん、頑張ってくるから

そう思いながらリビングに行く


7:10

行ってみるといい匂いがして、お父さんが生きていた頃こんな感じだったなって思い出させてくれる…

ほんとに、成長したねりょーとは

後ろ姿がお父さんそっくりだよ、すっごくかっこいいっ

「ふぁぁぁ…いい匂いがするねぇ」


「もうできるから座っといてっ」


「はーい」

そう言いながら座ると、りょーとが凄い驚いた表情をしている

おや?制服姿の私にもしかして見とれちゃいました?

いやまあ違うなとは分かるけど多分なんでセントルイスの制服じゃないのって事よね


暫くするとりょーとが作ってくれた朝食が置かれる

トーストとキャベツ、スクランブルエッグとカフェとかにでも出せそうなものが出てきた

「おお、今日も美味しそうだねぇ」


「よく言われる」


「ふふっ、さっすがぁ」

わしゃわしゃとりょーとの頭を撫でる

さっすが可愛い私の弟なんでも出来るねぇ

でも、うん…

こういうことが出来なくなると考えると悲しいものだねぇ…

何か抵抗を表すような顔になったからようやく解放してあげた

「ごめんごめん、食べよっ」


「う、うん」

なんか探るような言い方…

何か疑われてるのかな?

まあそうだよね、だってまだ…この子には言えない《《隠し事》》が…あるんだから

「そういえば今日のご飯…美味しい?」


「ん?美味しいよ?卵のふわふわ具合も丁度いいしキャベツの千切りもちゃんと瑞々しさもあるしパンもカリッとしてて美味しいっ」

ありのままを伝えたけど絶対疑われてると思う

やばいな…


「ほっ…」


「なんか隠し事〜?」

と気をそらすように言ってみる

顔色が変わり何か隠してるように思える


「違う違う、ただ…」


「ただ?」


「ほんとに…セントルイス行くんだね」

やっぱり…実感無いよねぇ…


「うん、行くよ」


「怖く…無いの?」

怖い…か

いつか…この生活が無くなるなんて絶対嫌


「そりゃあ怖いよ?ただ…」


「ただ?」


「りょーとがいるからさ怖いって思わないんだよね」

はぁ…嘘だよそれ…

自分でも…なんでそんな分かるような嘘を…


「そ、そうなの?」


「うんっ」

でも、疑うようなことしてないからこの子はほんとに…純粋なんだなってことがわかるよ

なんで、何にでも言えない子にしちゃったんだろな…

「ご馳走様っ」

美味しかった…けど…

味が最後らへん分からなかったのはりょーとには言えない

「お粗末さまでした」


「ふぅ、着替えちゃいな。そろそろ迎えの車が来るから」


「はーい、西鳳学園のやつでいいんだよね」


「うんっ、学校に着いたら制服採寸とかあるから」


「わかったっ」

と言い自室に戻った

私も自室に戻ってある準備の確認をする


7:40

自室

ほんとにやらなきゃ…なのか

りょーとには絶対怒られるし…どんな顔…されるんだろ

多分、今恐れてるんだと思う


これから、りょーとと私の身に何が起こるって事がこの紙に書いているのだから


・1月9日、雫は________


あぁ…

なにも…見えない聞こえない…

過呼吸にもなってきた…凄い…吐きそう…

それに…手の…震えも…


気持ち悪い…気持ち悪い…


ほんとに…これはやばい…かもだけど…っ


「はぁ…はぁ…」


堪えるのやっとだけどやっぱりきついなぁ…


たはは…


落ち着け…落ち着けぇ…


大丈夫


私は


大丈夫


まだ大丈夫…


ふぅ…


何とか…落ち着いたか…


でも、一瞬だけでもいいから…


私とりょーとがもっともっと幸せに過ごせる時間が…欲しかったな

「姉さん?準備終わったよ?」

と声をかけられた

「はーいっ、ぁ…」

りょーと…

ほんとに、ごめんね


「姉さん?」


「ううん、なんでもない。ただ、りょーとが成長したなーって!!」

と抱きついた

嫌だった

りょーとに嘘つくのが…

だから、それをかき消すかのように私は抱きついたんだ

「ちょっ…姉さん…恥ずかし…///」


「ふふっ、いいじゃんかぁ!!」


「もぅ…」

と恥ずかしがってたから解放してあげた

「えへへっ、そろそろ時間だっ」


「あっ、そっか…」

何だか名残惜しそうだなぁ…

私も…そうなんだけどね


「?」


「ううん、なんでもない行こっ」


「うんっ」

いい顔だ

これが見れるならほんとに満足だね

ピンポーン

「あ、私出るね」


「はーいっ」

と私は玄関に行く

開けるとある人が居た

「お久しぶりです、お嬢様」


「その呼び方…全然慣れないよ、前田さん」


「ふふ、お嬢様はお嬢様ですもの」

冗談…なんてこの人は言わないのはわかってるだけど、やっぱり恥ずかしいものがある

「それで、計画実行は今日ですが、大丈夫ですか?」


「…」


「やはり、ダメそうですか」


「ううん、大丈夫…でも、でもさお姉ちゃん…」


「ダメですよ、ここでその名前を言ったら」


「でも…」


「しずちゃんが弱いの知ってるけど…でもねこの事は前から決まってたのだから…ごめん…辛い思いさせて」

と抱きしめてくれた

「うん…うん…っ」


「もう、泣かないの」


「分かってる…だから、まだ泣かないよ…っ」


「うん、わかってる」

だめだ…やっぱりまだ私…子供なんだ…

でも、ここで泣いてたらだめ…

頑張って…耐えるしかないんだ…

「大丈夫?」


「うん、もう大丈夫」


「分かった、弟くん呼んでっ」


「うんっ、りょーと、行くよー」

と、りょーとを呼んだ


「はーいっ」

相変わらず来るの早いなぁ

でも、やっぱり可愛いなぁりょーとは


「あっ、あなたは…?」


「初めまして、私セントルイス学園の学園長の秘書をしています前田由紀と申します」

と言った後のりょーとを見ると凄い見とれてる気がした

「久遠さん?」


「あっ、は、初めまして…久遠凌斗と、申します」


「ふふっ…」

やば…面白い…


「ね、姉さん…」


「ううんっ…なんでもない…ただっ…ぷふっ…」

つい笑ってしまう

だって、私の前でこんな改まった姿なんて見ることないもん


「うっ…笑ってるな…」


「ふふっ」


「前田…さん?」

あらら、由紀お姉ちゃんが笑ってしまった


「いえ、おふたりともほんとに仲がよろしいんですね」


「…いえ、そういう訳では…」


「はいっ、こう見えて結構仲良いですっ」

余計な事を言おうとしたから黙らせた


「それはよろしい事ですっ」

珍しいこと言うなぁこのお姉ちゃん

「もう…」


「すっかり話し込んでしまいました、それでは行きましょう」


「「はいっ!!」」

さあ…行こう

私達の始まる場所へ


8:05

「これから向かいますが、シートベルトキツくお締めください」

あ…そうだ…

このお姉ちゃん運転やばかった


「え?」


「私の運転…実は荒いので…」


「え」


「行きますよっ!!」

と、猛スピードで発進していった

あぁ…別の意味で気持ち悪くなりそうだ…


数分後

暫くするとようやく目的地のセントルイスに着く

嫌だな…着いて欲しくないけど

あの禍々しく輝く金色の校舎

なんの疑いもなく入っていく学生達

ほんとに、あの場所は…なんでこんなにも狂わせられるのだろうか

「これ…」


「もうすぐ着きます、ようこそ私達のセントルイス学園へ。そして、おかえりなさい久遠様」


「おかえり…なさい…?」

あぁ…言わなきゃいけないのか

私達の


秘密を


「おかえりなさいって…一体…」


「それは…」


to be continued

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