地球が元に戻るまで
少し前に投稿したのを再投稿しました
この物語はこれで完結ですがスピンオフをちょこちょこ投稿しようと思います。
俺は、星野ルカ。勇者を育成する学園に通う学生だ。学校では普通の陰キャである。だから陽キャたちにいじめられている。そんな俺だが密かに思っていることがある。やっぱり奴らを見返したい。でもそんな力はないから諦めている。本やゲームの中では目立たない奴らが強くなって奴らを見返すのがよくあること。だがそんなのは起きるわけもなく、今日もいじめられている。
「おい、陰キャ。金貸してくれよ。こんぐらいさ。」といい、俺をいつもいじめてくる山本杏が人差し指を立てて言う。人を見下したような目で。ちなみに人差し指を立てているが100円でもなく1000円でもない。1万円貸してくれ。という意味だ。今月で5回目だ。もうこいつのせいで今月出るゲーム機が買えなくなった。取られた合計金額はもう二桁以上は超えている。俺が苦労してバイトでためた金はこいつに殆ど取られている。断ればいいじゃん、とか思っている君。君も陰キャだったらわかるだろう。断れないんだよ。断ったら何されるかわかったもんじゃない。怖がりなんだよ。先のことばっか考えて今のことを考えている余裕なんてない。だが今回は違う。少しずつ変わっていかないと自分が強くなれない。
「やだ。お前に渡す金はもうない。」と言ってやった。そうすると、
「は?お前は弱者なんだから私に金を渡すのが普通だろ。さっさと渡せよ雑魚。そうすれば今のことは許してやる。」と逆ギレされた。金を渡すのが普通とかこいつ頭湧いてんのかよ。こうでもしないと金を取れない弱者がよ。お前のほうが弱いぞ。
「なんだよ、その反抗的な目はよ。さっさと渡せよクズ。お前が使うより私が使うほうが社会に役立つんだよ。」と苛ついた口調で喋る。周りの奴らは見て見ぬ振りをしている。よっぽどいじめの対象になりたくないんだろうね
「なんか言えよ。ムカつくんだよ。」といいやつは何故かナイフを出す。
「お、おい。山本。流石にそれはやばいって。それ本物だろ。やめろよ。」と学級委員長が止めようとする。
「うるせぇ。まずこいつが金を渡さないのが悪いんだぞ。こいつなんていてもいなくてもいないようなもんだろ。」と山本が言うと、
「たしかにそうだね。君みたいな危険なものに頼る娘は。」と優しい女性の声がする。この声からしてクラスの女子でもないし、先生でもない。かといって山本でもない。だがその声はクラスの人たちには聞こえないのはわかるが、近くにいる山本や学級委員長はその声に反応していない。何故だと思った瞬間に、
「君だけに話しかけているんだよ。坊や。」とさっきの人の声がする。
誰だ、と思っていると、
「私かい、私は君達、いわば人間で言う悪魔ってやつだね。私と契約して様々な能力に目覚めないかい。」と語りかけてくる。どういうことだ、と思っていたら、
「簡単な話さ、君はいつも山本とか言う娘にいじめられている。だから君に私の力を与えようというわけだ。」
そんなうまい話があるか。5秒ボタンとか都市伝説だけど押すと100万手に入るけど地獄のような体験をするとか言うデメリットがあるからな。デメリットがあるかを知りたくなるのが俺なのだ。つまりうまい話の裏には悪があると思っている。
「フム。どうやら君は私との契約にデメリットがあるんじゃないのかと疑っているようだね。デメリットについては先に話しておこう。契約すると様々な恩恵を受けられる代わりに怠惰になってしまうね。そのくらいだね。」と悪魔は言う。
怠惰になるくらいか。それならいいか。と思い始めている自分がいる。
「怠惰と言ってもそんなに表に出ることはないぞ。少し眠くなりやすくなる程度にとどまるものもいれば、本当に怠惰で何もしなくなるほどになるものもいるね。まぁ本物の怠惰になるものは人間性がないやつなんだよね。そいつは人間じゃない。人間の皮を被った化け物のようなものだ。簡単にいえばこちら側の生物だ。」
と言っている
「私と契約するのか?しないのか?」と聞かれる。もう俺の中で答えは決まっている。それを悪魔に伝えると、
「そうか、嬉しいよ。ようやく私もアイツらと同じくらいに立てる。それじゃあ契約を始めるか。」と言われ教室からなにもない真っ白な空間へと移動させられる。
「それじゃあここでするよ。まずは君の名前を教えてもらおうか。」
「普通自分から名乗るもんじゃないんですかね。星野ルカだ。よろしく。」
「ふふっ、人間界ではそうなんだろうがこちら側ではそんなのはないんだよ。私は…ベルフェゴールのリリスだよ。これからよろしく。ルカくん。」自己紹介が終わり、ここから契約の儀式が始まるのだ。まぁ契約といっても堅苦しいものではなくべルフェゴールの力を俺がコピーして貰うだけのこと。だけど体が対応しないと体がパーンと弾け飛ぶらしい。まるで世界最強から力を貰った無個性くんみたいになる。まぁ一番なのは少しずつ体にコピー品を入れていって徐々に慣らしていくのがいいらしい。なにか新しいことを始めるのにも少しずつ練習するのと同じことである。
「それでは入れていくぞ。一割だがな。耐えられるように努力しなさい。」といい、少しずつ別の力が入ってくるような感じがする。それと体の中がなんか痒いい。カに刺されたような感じがする。
「なんか痒いんですけど。これもしようなんですか?」
「痒いだけで済むのか。珍しいな。普通はいたがるんだけどな。耐性が多いのかもしくは…」とぶつぶつ言っている。その後、
「少しずつ少しずつ、自分のものにしていくんだぞ。今は全体の一割くらいしか渡していないけどそれを自由に出力を変えられるようにできるようにするのを目標にしようか。」と言われた。
「制御ができないとどうなるんだ。」
「何故そんなことを聞くんだい。自分のものになるから知りたいのかい。」
「そうだよ。なにか危険なことがあったら元も子もないからね。せっかく貰ったのにそれに殺されたくないよ。」と言ってみる。
「そうか、それじゃあ話そう。」と言って、話してくれた。要約するとこんな感じ。
・力の制御ができるのがまず大前提で渡されるらしい。
・力の制御ができるかは悪魔や天使、神様は見ればわかるらしい。
・できない場合は体に負荷がかかるそう。
・負荷がかかる場合はそれを使ったところが傷だらけになる、もしくはその部分が吹っ飛ぶらしい。最悪の場合は全身+周辺が更地になる。ただしこれが起きるのはクソ雑魚体型な生物(身長に比べて体形、体重が小さい人)だけらしい。まぁ俺の場合は平均的な体型なので体が吹っ飛ぶという心配はない。だがやっぱり怖い。でも俺には”素質”があるらしく普通の人より多めの力をコピーして渡しても平気だろうという感じでリリスは話している。だが俺を面白そうというかモルモットを見るような目で見ている。怖すぎる。
「それじゃあ、その力のすべてをもらいます。本当に俺の体は耐えられるんですよね。」
「大事なコピー先に嘘なんかつかないよ。嘘をついたとしても私にメリットはないからね。デメリットがありすぎるからね。」と言われた。
あとは力をすべて受け取れば終わりだ。そうなれば想像できない力が手に入る。そうすれば山本に報復ができる。だがなにか心に重い何かがある。それは俺にこう問う。『それを本当にお前が望んでいることなのか?本当はパシリに使われるのが心地いいと感じているんじゃないのか?』
そんなことはない。あいつにされてきたことに心地よさを感じたことは一度もないはずだ。俺はそっち系ではない。だからパシリとかに使われたくないんだ。
『そうか、それならいいんだよ。自分の意思をしっかり持て。そうすれば新たな力にも対応できるだろう。精々頑張りたまえ。』とか言ったあとに心にあった何かが消えた。心残りはない。自分の意思を持って受け取ろう。
「お願いします。私に力をください。」としっかり頼み込んだ。リリアさんは、
「あい、わかった。今直ぐ準備する。」とリリアさんは準備に取り掛かっているらしく、すごい量の”気”が特になにもない俺でもわかる。怖すぎる。例えるとなにかしでかして生活指導の先生に呼び出された感じ。少し待っていると、地震が起きたかのように今俺達がいる空間が揺れ始めた。もともと地震大国の日本にいたのであまり地震に恐怖を抱かないと自分では思っていたのだが実際起きると怖すぎる。マジで規模がでかすぎる。立っていられないほどの強さで、しかも座っていても揺れがひどすぎて転がってしまう。この部屋はものすごく広く、世界の端が見えない。つまりこのまま転がっていくと普通に死が待っている。そんな気がする。危険だ。どうしよう。
今私はルカくんに力を渡すためコピーをしているんだけど、普通に怖がっているのがわかる。だってね力を渡すためにいろんな気を集めてそれが私に集中しちゃってるんだもん。しょうがないよね。今なんかブツブツ言ってる。ん?部屋が揺れてる?あ、そっか。いま力が多くこの部屋に集まりすぎてパンクしそうになっているんだわ。しかも私自身も耐えられなくなってきている。別にこの部屋で転がっても意外とすぐ近くに壁があるんだけどね。例えるとこの部屋はだいたい一つの教室ぐらい。それだけなのに彼は死ぬかもとか言ってる。そんなわけないのに怖がってるルカくん可愛すぎる。もう結婚して。もう彼は最高に可愛いの(限界ヲタク化&語彙力の消失)その魅力を言葉に出来ないのが悔しい。悲しい。自分の語彙力がないのがまじで恨めしい。最悪。あれかな自分の能力拡張しようかな。そうすればなんかいいことありそうな気がする。そうすれば私の語彙力の消失もなくなるはず。そして最終的にルカくんと…キャッ。そのために頑張らないと。おおう、一瞬力がぶれたような感じがした。危ない危ない。力が暴走するところだった。ルカくんへの愛が漏れて化学反応を起こすところだった。そうなったら爆発は回避できない。爆発したらここごとすべて塵に帰ってしまうからルカくんの存在も消えてしまうのが嫌だ。もう一人は嫌なんだ。あの人達の計画のためにもルカくんを…
準備が終わったらしく、もう力の受け渡しが可能になったようだ。その力を受け取る前に確認があった。
「本当にこの力を渡していいのかい?後悔はしないかい?」と聞かれた。だから俺は、
「後悔はしません。なので力を僕にください。」と答えた。そうすると彼女は、
「わかった。受け取ってからいらないとか言わないんだね。それじゃあ渡すよ。渡して直ぐは結構な痛みがあるから気をつけてね。」
痛みがあるのか。それは嫌だな。痛みだけは本当に勘弁してほしい。痛みはいつになっても慣れないからな。
そして、力を受け取る。力が入ってくる感じがする。一気に入ってくるのではなく少しずつ少しずつ俺の体に慣れていけるように入ってくる。心地いい感じだ。痛みはあまりない。リリアさんが痛みをできるだけ発生させないようにしてくれているんだ。だけど少しずつ痛みが出てくる。特に頭。その次に筋肉が痛みだしてくる。体が温まってくる。そして少しずつきつくなってくる。しまいには意識が朦朧としてくる。気付くと俺は意識を完全に手放していた。
「えー、星野ルカくんですが、先日から行方不明になっているそうです。昨日の夜に急に消えたと親御さんが話しているそうです。目撃情報があれば先生に伝えてください。」と朝一番に先公に言われた。真っ先に耳を疑った。毎日私がパシリに使ってたのに。というか今日も使おうと思ったのに。そのせいで家出したのか?
そんなはずはない。あいつはいつも笑顔で私に応じてた。そんなことはありえないはずだ。
いや、それは私自身が勝手に思っていたのかもしれないな。
そう思うと私は後悔し始めた。私のせいでいなくなった、と。
そんなことを考えていても理不尽に時間は過ぎてゆく。
他の原因を考えてみると、ルカがいなくなったすぐあとにワープゲートが開き化け物が現れた。その襲われた、と言うことが考えられる。だけどその化け物のせいで授業が変わり始めてるんだよね。化け物と契約をしようとか、戦闘の仕方とか普通の授業よりは楽しいからいいんだけどね。だけど急に武器を振り回すのは結構きついんだよね。全く、先公も急な授業変更について謝っていたが先公が悪いんじゃなくて政府が悪いんだけどな。政府めぶっ殺してやる。どうせ政府がルカをどっかにやったのかもしれないし。そんなことを考えても意味がないと思い、授業に集中しようと思う。
それに最近厄介な噂を聞く。遠い昔に魔王の封印が解けそうになっているとかいう話も聞く。その影響で魔物が発生したのかもしれない。
「山本さん。どうかしましたか。」
「どうもしてねえよ。」
いろんな痛みを負いながら目を覚ます。そうすると目の前には先程俺に力をくれた悪魔がいた。するとそこでリリアさんが着替えていた。生着替えである。そこで俺はそっと後ろを向こうとしたが、声をかけられた。
「ルカくん。さっきの見てた?」と聞かれた。俺が起きていたことにさっき気付いているならばとぼければいけるはず。
「いえ!何も!」
「だよね。見てないよね。信用できないから心を覗くね。」
へ?覗く?待ってそれって今考えていることを見るんだよな?やっべそれのせいで着替え見ていたことがバレるかもしれない。だけど着替えを見ていたことを考えなければバレないよな。そうしよう。とか考えてたら。
「君、見たんだ。私が生着替えをしてたのを。」
な、何故バレた。着替えをしてたなんて考えてなかったのに。どうしてだよ。
「君の思考の中から着替えという思念が出てくるんだもんそれはバレるよね。君のせいだね。」
あ、終わった。ごまかせたと思ったらそうでもなかった。本日2回目の命の危機が迫る。お疲れさまでした。
「まぁ、今回は初回なので、許してあげなくもないですけど。」と言っているが顔は真っ赤に染まっている。相当恥ずかしいのだろう。綺麗だと思った。
「恥ずかしかったんですね。だったら別の部屋でやればよかったのに。」と小声で愚痴をこぼす。
「あなた、私に愚痴を言ってるんですか。おめでたいですね。あなた。私が怒る寸前くらいなのに。やっぱり絶対にゆるさない。」
「ご、ごめんなさーい。」
「ごめんで済んだら死はいらないんだよ。」とキレられた。
今度こそ人生が終了に近づいてきた。今の俺の体はリリアさんの能力をすべて受け継いで直ぐの体なのでまだ対応できていません。つまり、動けないのでさっきも言った通り終わる可能性がある。
「とりあえずあなたは許しません。」と言われた。
このあと滅茶苦茶殺されかけた。
今の時代は俺が天に召されてから3ヶ月ほど時間が経っているらしい。こんなに時間が経っていたのかと驚いている。神界?にいたときから時間の概念が消えていたことを今思い出した。時計の読み方すら忘れかけているので正直学校に通えるかすら心配である。というかさっき歩いていたら化け物と人間が歩いていた気がする。それと今俺のとなりにはリリアさんが歩いている。なんでついてくるのかと聞いてみたら「この世界は君が住んでいたときとは全く変わっているんだよ。だから私がいても不思議ではないんだよ。」と言われた。そして今この世界の現状を説明してもらった。
・この世界では、人間が魔物たちと共存?しているらしい。
・魔物は人間の監視下に入る代わりに自由に人間と交流させてもらうことを条件に人間と暮らしている。
・法律では武器関係については軽くなっている。今現在不問にしようかと検討しているらしい。
・稀に異界へのワープゲートが開く事がある。
という感じらしい。異界へのワープゲートは毎回どこにつながるかわからない。この3ヶ月間は何十人もの人がワープゲートによって神隠しにあっているらしい。帰ってきた人は一人もいないらしく、どういう世界なのかはわからないということを言われた。ちなみに今は学校に登校しているがスマホで場所を確認しながら登校している。気づくと普連土学園高等学校の看板が見えた。とりあえず、まずは職員室にいかないとな。3ヶ月も無断で休んでいたからな。文句言われそうな感じがする。まぁ別にしょうがないけどな。
職員室に着くと担任の暁山先生が近寄ってくる。
「大丈夫だったの。行方不明になったって聞いたけど。」と心配な感じで話してくる。
「まぁ大丈夫でしたよ。怪我とかしてないですし、平気ですよ。」
という会話を少ししたあと授業日数の話になったが最近授業が変更され始めているらしく魔物と協力して最近起き始めている事件を解決する能力を身につけるための授業が始まっている。始めは魔物と契約から始まるらしいが俺にはリリアさんがいるのでその授業はすっ飛ばしていいか?と聞くと、
「そうなの?いつの間に。まぁ契約したものがいるのならみんなと同じ授業に参加してもいいよ。」と言われる。なので普通に授業に参加しようと決めそのことを先生に話すと、それなら使う武器を決めてねと言われた。そうして目の前には片手剣、両手剣、両手斧、片手棍、刀、曲刀、細剣、短剣、槍、ナックル、銃が出される。そして、改造もしてもらえるそう。もしくは自分で持っている武器を使うことも可能。双股剣を取り出し、これを使うと言う。
「わかったわ。それじゃあここに書いてね。」と言われ武器持ち込み許可証を出された。そこには名前と武器の種類と名前を書く欄があった。きちんと書いておく。ここでふざけたら何されるか分からないからな。聞いた話によるとテストでローマ字で回答した人がいるらしいが俺はそんな事しない。
職員室を出るときにリリアさんも出ていたほうがいいと思うと先生に言われたのでリリアさんも一緒に歩いている。正直言って校舎が広すぎるので移動だけでも疲れる。それと教室の場所忘れた。だけどなんとかつけた。謎だ。
教室に入ると色んな人が話しかけてくる。殆どが心配したよ。という声だった。大丈夫だったと伝えるとみんなホッとした表情を見せる。その後教室を見回すと席に座って絶望の色に染まっている山本が座っていた。
「なぁ山本はさ、どうしてあんなふうになってんだ?」と仲の良かった奴に聞くと、
「あぁ。実はさお前が行方不明になったって学校に連絡が来たときにあいつが妙に驚いていたんだよな。その後あいつは、先生に自分のせいでいなくなったとか話して、信じてもらえなくて校内で暴力事件を起こしてつい昨日まで謹慎だったんだよ。だが謹慎のときにも普通に家から出てお前を探していたぞ。」と仲のいいやつが答えてくれた。まじかよ。俺のせいであんな感じになったのかよ。てか俺が行方不明になったのってリリアさんのせいじゃねえか。ふざけんな。
「ふうん。あそこの娘がああなったのは私のせいだと言いたいのかい。確かに私が悪いとは思うよ。だがああなるとは思わなかったね。」
「というと?」
「それほど君に好意を抱いているということになるね。」
「まじかよ。」
知らなかった。やっぱり女の子の心情はよくわからないと思うのが普通だと思い始めた。難しいな。ただでさえ人付き合いが苦手なのに。ちなみに俺の席は山本の隣の席だぜ。終わったわ。正直気まずいので座りたくない。だがもうそろそろ授業なので座らないといけない。久しぶりに来たけどこんな事があっていいのか。自分のせいで病んでしまったクラスメイトを俺が治さないといけないのは当然だけど、こんなにまで病んだ子を治すのは厳しいと思うんだけど。やってみればわかるか。とりあえず話しかけてみればわかるか。
「久しぶり、山本。」やっべー、すごい気まずい。
話しかけると少しずつ山本はこちらを向き始める。その顔は青白に染まっていて学校に登校していいとは言い難い。家で休んでいたほうがいいとも感じる。それくらい危険な状況である。完全にこちらを向き、最近行方不明になっていた俺だとわかると一気に顔色が良くなる。そうして席を立ち、手を掴んで力を込め始める。
「もう、心配したんだからね。急にいなくなったから。大丈夫だったの?」と質問を投げかけてくる。質問に答えたあとも色々質問をしてきたが内容が多すぎて覚えていない。怖すぎる。クラスの連中もさっきまで死にそうな顔をしていた山本が急に元気になり話し始める姿を見て顔が恐怖で染まっている。
〜数分後〜
授業が始まる。まぁ戦闘訓練がほとんどだけど。俺は双剣だからなのか、それとも無断欠席をしていたからなのかわからないが先生が誰も教えに来てくれない。悲しいね。だけど、双剣の扱いには慣れているので教えて貰う必要はない。しかも生徒も近寄りません。よっぽど恐ろしいんでしょう。(久しぶりに来たやつが珍しい武器を使っているから近づきがたいという人が大半)とりあえず適当に剣を振ってみる。久々に剣を振るため、重く感じるが普通に振れる。正直敵相手に振ったら斬るときの衝撃で手首が消えそうな感じなので慣らしていこうと思います。手首を痛めたらもう終わりなんで気を付けましょう。手首を痛めたくない人は手首で振らないようにし、全身を使って振りましょう。テニスとかと一緒ですね。手首だけだと壊しますからね。とりあえず素振りをしておきましょう。久々なのか手首に痛みが走った。だが振っていると慣れてきたのか痛みも引いてきた。
調子に乗ってブンブン振り回しているとクラスのイキってるやつが向かってくる。
「おいおい、久しぶりに来て軽く素振りして終わりかな?それだけで疲れているのかな。あぁ、そうか、サボっていたから体力が消え失せたのか。可哀想に。僕は全然平気なのに。これだから陰キャは。だめだな。」と文句を言ってくる。
疲れてんのか?とか煽ってるふうだけど別に疲れているわけではないんだけどなぁ。というか前よりも体力が増えているんだけどな。というか身体能力すべて上昇してるからなぁ。こいつ握りつぶせられるぐらいの握力があるから平気なんだよな。
「こいつ、握りつぶしていいの?」とリリスさんが聞いてくる。
「正直握りつぶすより死ぬよりきついバツをしてもらいたいですね。」と答えると本当にしようとするかのように移動を始める。しかも笑顔で。
「ちょいちょいちょい、ストップストップ。本当にしてもらいたくていたわけじゃないんだけど。」といって止める。
「ははは、自分の使い魔の躾もできないのか?これだから陰キャは。」
「というかお前の使い魔はどこにいるんだよ。」みんなは近くに猫やら犬やら謎の生物やらがいるのにこいつだけいない。しかも外にも気配がしない。つまりこいつには使い魔がいないんじゃないのか?と読んだわけだ。答えは
「フッ。この学校の近くに僕にふさわしい魔物がいないのだよ。ドラゴンなどの最強の魔物がいいんだよ。」と答える。
「へぇ、俺の目の前にうるさくてうざい魔物はいるけどな。あぁ君だったね伊切御澪くん。」とイキリを煽ってみる。
「くっ。ただの陰キャが、この僕を侮辱するだと。そんなことは許されないんだよ。君を僕が殺してあげるよ。模擬戦扱いで戦おう。そうすればどっちが上かわかるからね。」と言ってくる。模擬戦か。いいんじゃないかな。こいつに恥をかかせるのにはもってこいだ。でも切ったら面倒だしなぁと考えていると、
「怖がるのかい、そうだよね。だって真剣だもんね。傷がつくのが怖いんだよね。」
「いや、違う。お前が死んだせいで俺が捕まるのが嫌だからね。お前が弱すぎるからね。」と反論してみる。まず、使い魔がいない時点で雑魚モブなんだよ。
「くっ、挑戦的だね。だったら今すぐやってやるよ。先生。模擬戦をします。伊切と星野でします。いいですよね。」と聞くと暁山先生は
「は、はい。大丈夫ですよ。それでは審判を私がします。それでは星野さんと伊切さん以外は離れてください。あぶないので。」というと生徒はみんな離れていく。そしてみんなは俺たちを心配するような目で見る。数人は俺が倒されるのを楽しみに見ている。安心しろお前たちが思っているように負けないからな。
先生が始まりの合図をする。その瞬間星野は伊切に向かって剣を振り下ろす。空気を斬る音がする。伊切は片手剣で防ごうとするが間に合わず、どんどん伊切の首に星野の剣が吸い込まれていく。他のやつは悲鳴を上げるもしくは目をつぶるなどの様々な行動をする。私は星野を止めるために走り出す。走りながら剣を抜き塞ごうとするが、未だに伊切の首はおろか、血の一滴もたれていない。見てみると首に当たる寸前で止まっている。それと伊切の目の前にもう一本剣が止まっている。伊切は怖さが勝ったのか泣き出してしまう。それと、下を見るとおもらしをしている。周りのやつは、おお、と感心するような声を上げたあと、伊切を見たあとクスクス笑い出す。だって学校で見下してたやつにおもらしをさせられているんだぜ。可哀想(こころにもない感情)。やっぱり伊切は雑魚だった。あいつは使い魔の儀式すらできないからみんなからはゴミカスと陰で呼ばれている。だって普通にできないといけないことをできないんだもんね。そう呼ばれても仕方ないね。しかも今プライドもズタズタにされたからもう復活できないかもね。それならそれでいいんだけどな。ウザイのが一人減るから。これでいいんだよ。
ふう、こいつクソ雑魚じゃあないか。ほんとにイキってるだけじゃあないか。素振りで疲れてるとかほざいてたけどお前のほうが雑魚いぞ。色々だめだなあいつ。終わってんね。
「な、なんでこの僕がこんな陰キャに負けなくちゃいけないんだ。こんな陰キャより強いはずなのに。なんでだよ。」
「陰キャほど力を隠してる者はいないんだよ。。まぁ、これから頑張れよ。」
「もうやだー。帰る。」と伊切は言って本当に帰っていった。先生は少し文句を言っていたが結局そのままにしていた可哀想だろ。(そんなこと思ってない)
とりあえず伊切は帰ってしまったが授業はそのまま続くらしい。
「おい星野大丈夫なのかよ。伊切に勝負挑まれてたが。」
「伊切?雑魚すぎて勝負にもならなかったぜ。それがはっきりわかっただけだ。」と言ってみる。
「何はともあれありがとうな。みんなこれでスッキリしたと思うぞ。」と学級委員長の藤原和人が言ってくれた。
「どういたしまして。まぁ俺もあいつにはムカついていたからな。というかお前は結構強そうな使い魔がいるんだな。」と返答してみる。
「まあね。俺の使い魔は天使族らしいよ。しかも強いぞ。」
「いいじゃないか。俺の使い魔?みたいなやつは悪魔族だ。しかも怠惰の悪魔だ。結構よくね。」
「君のもいいじゃないか。可愛いじゃないか。」と藤原は言う。
「やらないからな。そういう君の使い魔も可愛いじゃないか。」と言う。本当に可愛い。だけどリリアさんのほうが可愛いけどな。
「ありがと。ルカくん。」と頬を赤らめながら答えるリリアさん。可愛い。やっぱりリリアさんは最強。強いし、可愛いし。
「怠惰なんだろ。君になにか不都合がないのかい?」と聞かれる。よっぽど気になるのだろう。だけど俺には不都合はない。少し眠くなるだけだと伝えると
「そうなんだ。すごく興味深い。それにしても悪魔か。珍しいね。君が使う武器もだけど。一体どこで見つけたんだい。」と聞かれる。正直リリアさんは謎空間出会ったし、双股剣の方は親からもらったし、出どころは不明なんだよな。
「リリアさんは呼ばれて別空間にいったし、二振りの剣は親からもらったものだし。」と返す。さっきも言ったけどまじでわからない。かっこいい剣だから使っているしリリアさんはさっきも言ったが可愛い。それでいい。親からはもらったけど剣の出どころは知らない。親も教えてくれなかったからな。あとは色々と特殊能力があるけど正直使えるかわからない。初めて友達と言える存在ができて嬉しくてつい話していたら、藤原に「お前1000円分のネタを抜かれてるぞ気をつけろ。」と言われた。別に俺が話すことなんて価値もクソもないと思うんだけど、と考えながら授業に戻る。もう少し剣を振ってみるか。
久しぶりに長い時間剣を振っていたので疲労感がすごい。
「はい、お疲れ様。」
「これは、回復薬、だと。」
「ただのスポドリだよ。大丈夫?本当に頭おかしくなってない?」
「それ失礼じゃない?」となんか暴言を言われた気がした会話でした。はい。
それでもスポドリを渡したときの顔は可愛かった。最強の笑顔でした。使い魔じゃなくて母親みたいな感じになっているリリアさんであった。
授業がそのまま進み、最後に校長が出てきて驚いたけど特に何も言われなかった。先生がどんな授業をしてるかの確認をしたかったようですぐに帰っていった。教室に戻ると途中で退出した伊切のバックもなく席すらもなかった。先生に聞いたら伊切は学校をやめたようで親御さんから電話があったらしい。伊切の精神状態が異常なほどおかしくなってしまったのでやめさせるとのこと。ただの陰キャに負けた程度で精神が壊れるなんてどれだけ弱いんだよ。メンタルガラス細工かよ。プライドだけ高くてもだめじゃないか。せめて技術もつけてから煽れば自分が傷つかないのに何やってんだか。ってこんなことしてる場合じゃない次の授業に行かなくては。先生が今日は切り上げて次の授業をするって言っていたので急がなくては。
教室に着くと授業が始まる十秒前ぐらいだったので急いで席に座る。先生が来て魔術の授業が始まる。10分ぐらい経ったけど正直何言っているかわからない。もう、頭がパンクしそうなんだけど。助けてください。
「リリアさん、何言ってるかわかる?俺まじで何言ってるかわかんないんだけど。」
「まぁ分かるよ。だって魔法は得意分野だもん。」とリリアさんは言う。
「え、まじで。魔法が得意なの?じゃあさ教えてくれない?魔法苦手すぎて無理なんだけど。お願いします。授業についていけないです。」と懇願した。
「いいよー。だけど教えるのは初めてだからわかりやすく教えられるかわからないけど。」って言っていたけど教えてもらえるならば問題はない。
「ありがとうございます。それじゃあ今夜からお願いします。」となって教えてもらえることになった。やったね。剣術系の実技は全然行けるんだけど(リリアさんよりもうまい)どうしても術式を覚える分、どうしても頭に入らない。剣はもともとリリアさんに会う前にもきちんと学んでたんで大得意ですね。
俺の先祖は代々勇者だったらしく昔から剣を触ることが多かった。他の家庭からしたら頭おかしいと思うんだけど家では常識だった。俺がちょっと修行中に友人が来て真剣を持ってるとこを見られて通報されたこともある。警察が来たときに逆に友人たちが注意されてた気がする。その時は申し訳ないと思った。あ、そうそう。うちの家庭が勇者家庭だというのは全世界の偉い人と富裕層の人、公務員は知っているのでうっかり真剣を持ったまま外を歩いても逮捕はされずに注意を受けるだけにとどまっている。その時は周りの人たちからは、「は?」と言う目線を向けられるのであまり持ち歩きたくはない。剣は双股剣を親から譲り受けて使っているというふうに言っているが本当は俺が昔、急に行方不明になって帰ってきたと思ったらこの二振りの剣を持っていた、らしい。全く記憶にはないので本当かどうかはわからない。そもそも当時5歳くらいのときらしいので覚えていないのも不思議ではない、と親にも言われたので親からもらったとずっと言っている。記憶もないのに自分で持ってきたとか言っても俺自身が困惑するので言わないでおく。言うとしてもよほど信頼してないと言わないようにはしている。リリアさんには一応言ってあるが多分気にしてないと思う。もしくは話を聞いていないということもあり得る。稀に人の話を聞かないことがあるリリアさん。そのせいで色々と事故を起こした模様。人の話を聞かないのは危険なのでみんなは話を聞こうね。最悪の場合自分が死ぬ可能性もあるので気を付けましょう。話聞いててもタヒぬ人もいるので作業時は丁寧にしましょう。
授業が終わった。まず、言わせてもらうと魔術はやっぱり苦手。勇者は魔法使えるだろ、とか思っているけど。初代勇者は魔術を打てたのだが魔王討伐の際に魔術に必要な魔力を体内で生成できなくなり、なおかつ魔力の上限を増やすアイテムを使うとダメージを受けるような体になったらしい。俺は基本5属性全て暴走するのでまともに使えないので意味がない。なのに難しいとか言われている創造系は使えると来たもんだ。逆にすげえよ。むしろ魔王馬鹿だろ。初代勇者はもともと魔法は得意じゃないらしいし。回復と補助と攻撃と移動魔法を使えるけど魔力が少なすぎてあるようでないみたいな感じらしい。なぜ所持魔力を上げなかったんだろうか。それが気になる。にしても魔王がなんで一部だけ魔法を使えなくしたんだろう。全部使えなくすれば普通に勝てたのに。馬鹿なんだろう。脳が足りないと思うんだけど。もしかしたら全部封じるほどの力がないんだろうな。雑魚やん。そういえば確か、勇者が封印したって言ってたけど、その封印が解けるのが今年とか言ってたような。言ってなかったような。今までで合計11人ぐらい封印したとか言ってた気がする。それが同時に封印が解けて全員協力して一気に攻めてこないよな。そうしたらこの世界が終わる気がする。初代勇者は一人。二代目からは4人パーティで討伐してたはず。勇者が合計11人とお供が30人必要だぞ。復活したら強くなって戻ってきたりするよな。そうなったら無理だよな。みんなの実力を見てると厳しいな。俺も人に文句言えるほどの実力を持っているとは言えないんだけどね。そんな事を考えながら俺は教室をあとにした。
授業がおわって学校内を歩いていると色々と変わっていることがわかった。まず学校内にコンビニと美容院、カラオケ、ゲームセンター、病院、書店があった。もう学校じゃなくて一つの街みたいな場所だった。逆に楽しそうな感じがする。帰りに寄り道しなくてもいいんだとホッとした感じがあった。それと寮もあったよ。最高だぜ。たとえ寝坊しても大丈夫そうな気がする。しかも今日から寮暮らしというね。最高かよ。久々にふかふかのベットで寝れる気がする。最近ずっとよくわかんないほど薄いベットだったから体が固まりすぎて眠りにくかった。リリアさんが「変えたいんだけど上司が文句言ってきて変えられないんだよね。ごめんね。」って言ってたけど上司の器が小さいだけのゴミカスなのでその後ぶった切ってあげた。言ってしまえば伊切よりも弱かった。その後すごい偉い方がお礼を言ってきた。それといろんなお礼をもらった。まぁもらったものは体強化系のスキルを何個かもらったぐらいだけど。あと剣の力の開放をお願いしたら意外と簡単にできちゃったらしくあとは、呪文を唱えれば使えるらしい。使用許可は出ているが剣にも俺自身にも負荷が大きいらしく連発はするな、と念を押されている。一回使ってみたがヤバすぎた。だが一回使っただけで呪文を唱えなくても自分の意思で出せるようになった。神様は驚いていた。当たり前だろ。だってただの人間だったやつが普通に使えるようになってんだよ。怖いだろ。それと元々使える創造系の魔法を強化してもらった。魔法は限界まで使い続けて強化されるという非常にめんどくさい仕様なので一気に強化してもらっちゃった。そのおかげで空飛べるようになったし異空間作れるようになったり色々幅が増えた。
それとリリアさんのとこのベットは最上級のものになった。とても寝やすいし最高のようだった。やったぜ。そんな感じに生活環境は変わっていくのだ。
色々と気になる施設が多くて入りたくなってきちゃう。特にゲームセンター。今から音ゲーでもやってこようかな。ついでに何があるかも見に行ってこようかな。と考えながらゲームセンターに向かうとの学校最強だな。自由にできる施設がいっぱいあるから退屈しなさそう。今日は全6コマ入っていたが、普通はスカスカだったりするらしい。なので普通の日は自由に遊び放題なのだ。
ゲーセンに行きリリアさんが欲しいと言っていたうさぎの人形を取り、奇妙な壺を模したぬいぐるみを取ったりしていると鐘が鳴った。
「へぇ、今18時なの?変な音楽がなったけど。」
「そうだよ。時計を見なくても時間がわかるからみんなはありがたいと思っているけどね。」
「そうなんだ。みんなスマホとか見ればいいのに。そこまでもめんどくさいのかな?みんな怠惰じゃん。」
「時間は気にするけど、たまに忘れてる人がいるんだよね。それ対策だと思うんだよね。まぁ、チャイムを聞いていなかったら意味がないんだけど。俺は結構お世話になってるよこの鐘に。」
「ふーん。あまりわからないな。しかしこの鐘が便利なものだということはわかった。しかし奇妙だねぇ。」
「何が?」と聞くと、だって勝手になるんだろ。不思議じゃないか。と言われた。言われてみれば確かにそうだ。普通は誰かが鐘を鳴らして演奏するものだと思うはずだ。しかしこの世界では色んな記憶媒体があるためいつでも自由に流せる。便利な時代だな、と実感した。
「お腹すいたぞ、ルカくん。」
「確かにそうだね。それじゃあ寮に行こうか。」
と言い寮に向かった。手をつなぎながら。
お腹が空いたので寮に戻ってお昼と食べに戻りました。何があるのかを見てみる。カレー、ハンバーグ、チキン、ステーキ、スパゲッティ、中華、和食があった。この中から選ぶのか。今はどんな気分なんだろうか。自分の胃袋に聞いてみるとしよう。
「返事がない、ただの機能停止した胃袋のようだ。」
こいつ、何が食いたいとか言わないうちに機能停止しやがって。自分で決めなくちゃいけないのか。困るなぁ。こうなると途端に選択肢が広がっちゃうんだよな。でも、やっぱり自分の好きなものを頼むとしよう。
「すいません。あの、油淋鶏ください。」
「私はステーキを5人前ください。」とリリアさんが言って食欲に驚いた。
「わかったよ。じゃあできるまで待っててくれるかい。」
「「ハイ。」」
リリアさんを見るとよだれを垂らしていた。しかも結構ドバドバと。あの、蛇口をひねったときぐらい。料理のおばちゃん、明子さんが慌ててたらいを持ってきていた。しかも近くにいた生徒は引いてた。だってね、急に食堂に来たやつが大量によだれを垂らしてるんだもん。正直俺も引いてた。悪魔って怖ぇ。食欲が恐ろしい。なんかリリアさんを見てたら某ピンクの亡霊みたいに見えた。胃袋ブラックホールかよ、と思っていたお食事時であった。
ふと、久しぶりに会った山本の気配が様変わりしていることを思い出した。ヤンキーだった感じだったのに急に地雷?メンヘラ?みたいに変わってしまった。正直その様子を思い出すだけで背中がゾワゾワする。正直あっていない。やっぱり知り合いが急に変わると怖いね。とりあえず図書館に行こうと思い向かおうとすると、
「校内にいる皆さんにお知らせです。先程、政府から通達があり、封印されていたはずの魔王が解き放たれかけていると警告をもらいました。それと皆様には国民の避難誘導をしてもらいたいとお願いが来ました。なので先生生徒関係なくグラウンドに集合してください。」と放送が入った。非常事態だからといって未成年たちを向かわせるのか。まぁしょうがないとは思うけど、結構あぶないぞ。とあるアニメみたいに避難誘導を無視して動画撮ってたら魔法を食らって死ぬとか言う人がたまにいるから「見殺しだ。」とか文句を言われるのであまりしたくない。だったら自分でやれよって話だよな。
「リリアさん、魔王ってどういうやつなの?」となんとなく質問してみる。
「んー。なんて言えばいいんだろう。基本的にのほほんとしてて何も考えてなさそうな感じなんだけど、本気を出すと宇宙全て破壊できるみたいな人。何もしなければ温厚な人。邪魔をされると本気で殺しに来るから気を付けてね。」と答える。
話を聞いた感じ結構危ない感じはしない。なんか、リリアさんみたいな人だなと思う。怒ったら怖いのか。危険を承知しないと。どんどん暗い気持ちになってきてしまう。
気分を変えるために外を見ると黒フードの知らない人がいた。顔にペスト医師がつけていたような仮面をつけている。そして黒い杖を持っている。明らかに危険人物だ。その人物は杖を上に上げて何かを叫んでいる。耳を済ませるとなにかの呪文を唱えているようだった。止めようとしたら詠唱が終わったようでこちらを見て、不敵な笑みを浮かべて消えた。
結構な強さの揺れが起きた。しかも一度ではなく二度、三度と起きた。しかも少しずつ揺れが強くなってゆく。目の前の地面が割れた。そこから赤い光の柱が立った。それも3本。その光の元を見てみると割れた地面の奥底から伸びているようだった。少しずつ少しずつ赤い光が黒く染まってゆく。気付くと空も黒く染まっていた。そして俺は気付いた。魔王の復活が始まっていると。それにしても本当にいきなり復活するんだなと思っていると目の前が少しずつ暗くなってゆく。少しずつ意識も暗転してゆく。何も考えられなくなっていく。気付くと地面に倒れていたらしい。そうして俺は意識を失った。
目を覚ますとそこは玉座の前だった。そこには1人の魔物が座っていた。がその魔物たちが明らかおかしい。なにか強大な力を持つものしか集まっていない。周りには1人の魔物と俺とリリアさんしかいない。どんな理由で俺とリリアさんだけ呼ばれたのか。リリアさんの方を見ると青い顔をしていた。しかも小刻みに震えている。
「やばいよ、ルカくん。前にいる魔物、魔王だよ。」とリリアさんは言う。
「嘘でしょ。なんでここにいるんだよ。しかも一気に封印が解けるとかおかしいと思うんだけど。少しずつ年代が変わっているはずなのに一度に封印が解けるのはおかしいと思うんだけど。先代たちが適当に封印したとかはありえないと思うが。」
と話していると魔王が口を開く。
「すみませんねぇ。いきなりさらう感じになってしまって。本当は丁寧に接待する予定でしたが、復活するところを見られたので急いでしまいました。」と言う。
「それにしても急すぎませんか。普通数日は開けると思うんですが。」とリリアさんは言う。リリアさんは知り合いかのように話す。顔色はもとに戻っている。
「いやいや、封印が緩んだのでとりあえず出ようという話になって。でてみたら目の前に二人がいらっしゃったので復活の瞬間を見られたのでつい、焦ってしまいさらう事になっていました。すぐに国王に伝えられては困りますからねぇ。そうなるとせっかく復活してもすぐに封印されてしまいますからねぇ。つまりたまたま復活の瞬間に立ち会った君達が悪いんだよ。」と魔王が言う。自分たちは悪くない。君等が悪いんだよ、と言いたげに。まるで俺の正体に気づいてるみたいじゃないか。
「そうだよ、私達は君が勇者の末裔だということに気付いている。真っ先に君を消させてもらおうと思って。君が私達にとっては危険人物なんだよ。」本当に気付いていた。本当に殺そうとしているかのような気迫だ。だがなにか違和感を感じる。発せられている気迫に殺意が乗っていないのだ。それでも危険な感じはする。その理由がわからない。やばい。すぐに逃げないと危険だと俺の第六感が伝えてくる。だがもう足が動かない。自分の体が自分じゃなくなっているような感じがする。何もかもが終わりに近づいてきた。何も考えられない。力が抜けていく。目の前が暗くなっていく。そうして俺は魔王に敗北した。特別何もされていないのに負けた。その時俺は嬉しかった。何故なのかは俺にもわからない。
「よくやったぞ、リリア。礼を言おう。」
「ありがとうございます”お父様”。お役に立てて光栄ですわ。」
「それでは何か褒美をやらねば。何がいいかね?決まらなければ後日にしてもy。」
「でしたら、この者の遺体をいただきたいですわ。」
「あ、あぁ、それでいいのならそのものの遺体を自由に使うといい。」
「はい、お礼も申し上げますわ。それでは失礼します。」
「ごめんね、ルカくん。私魔王サイドだったんだ。ごめんねずっと黙ってて。」
と私はさっき遺体となってしまった最愛の人を抱き抱えながら走る。この場所からさっさと逃げたかった。
その後、魔王が完全に復活をした。今この世界には力の持った勇者の末裔は存在していない。そう、魔王を止められるものがいなくなってしまった。完全に魔物たちの自由な世界に成り代わろうとしている。だが、人間たちも諦めが悪い。まず、使い魔を殺し、武器をもって戦うことを義務付けた。最初のうちは魔物たちはいろんな武器によって封じ込められたかのように見えたが、魔物も成長する。それぞれの武器の弱点を見つけ、そこを重点的に殴る。そして壊す。そうなってくると力を持たない人間たちはすぐに殺されていった。だが、この世界には霊長類最強と言われた人間がいる。その名を安易には言ってはいけないと言われるほどの人物だ。箸を持つだけで銃刀法違反になり、トリプルアクセルをするだけで竜巻を起こせる人間が。魔王軍はそいつが攻めてくるのを恐れた。だが、魔王はそいつを敵としてみていなかった。いや、敵として見る必要がなかったからだ。魔王はそいつを呼び出した。
「なんのようかしら。いきなりこんなところに呼び出して。」と殺気を大量に込めながら霊長類最強が尋問をする。
「いやいや、君と私との仲じゃないですか。少しお願いを聞いてもらいたいのです。」と楽しそうに話す。
「何よ。つまんなそうだったらすぐに殺すわよ。」と血気盛んな感じの人だという印象を受ける。
「そのお願いは、この世界の住民を殺してほしいんだよ。一匹残らず。あぁ報酬は弾むよ。」
「そうね。確かにこの世界の住民はみんな弱すぎるわ。そんな奴らに生きる資格はない。」
「そうだよね。それならお願いできる?殺してほしいのは人間たちだけだから。動物、と呼ばれる者たちはそのままでいいよ。彼らにはのびのびと自由に、本能のままに過ごしてほしいからね。」
「わかったわ。それなら報酬は、私が全力で殴っても壊れない生物を大量に創ってちょうだい。それでいいわ。」
「了解です。それでは、早速お願いします。私は報酬を創りにいかなくては。」
「頼むわよ。できなかったら。お前も殺すわよ。」
「できない仕事は受けませんから。それでは。」と言ったあとに煙のように消えた。そうして霊長類最強こと紅音也様は人間どもを虐殺するために地球に降り立った。その後一瞬で世界が崩壊してしまった。人間がいた、という痕跡を一つも残らず消し去った。ビルも、公園も遊園地も何もかもが消え、きれいな自然だけが残った。その後に足元に転がってきたペットボトルを拾い上げこう叫ぶ。
「醜い人間の時代は終わりだ。これからは動物、仮想生物たちの時代の始まりだ。新時代の幕開けだ。」叫んだ衝撃で目の前にあった山が更地になったがペットボトルは傷一つ受けていない。それを大事そうに持ち、この世界を探索し始める。
荒廃した世界を歩き回って何日がたっただろう。人の気配がする。近寄ってみると勇者学園と書かれたプレートを胸に下げてる女の人が横たわっていた。だが様子がおかしい。人の気配がするが魔物のような気配もする。まさかこいつ。使い魔と融合しやがった。そこまでして生き延びたかったのか。もしくは使い魔に取り込まれたか。それを考えているとそいつが動き出した。なんと生きていたとりあえずこいつは部下にしようと思い引き入れた。
こうして一瞬のうちに人間は紅音也と使い魔と融合した先生だけとなった。
一方リリアは、目の前で父に殺された最愛の人物の遺体を抱え、自分の空間に逃げ込んだ。そして空間の中にある本棚から、表紙に赤文字で禁呪と書かれた本を取り出す。それを広げ、中に書いてあるものを実行し、魂を呼び戻し、その魂を一体の生物に落とし込んだ。これをしたあとリリアは満足そうな顔になり、少しばかりの涙をこぼした。そうして復活したものはこうリリアに話しかける。
「ただいま、リリアさん。」
と。
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