表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/53

11話



「…そんなことやった上で会社であの態度?どういう神経してるの」




「私にも分からない」




「普通さ、そんなことしたら申し訳なさそうな態度取るよね。なのにあの勝ち誇った態度。訳が分からない。なんで陽毬がこんな肩身の狭い思いを」




遥香も自分のことのように怒ってくれている。佳奈のことは残念だったが、陽毬は良い友達に恵まれたのだとしみじみ思った。




「いっそあの子の性悪な本性ぶちまけちゃいなよ」




「いやー、それは。ちょっと」




「何で?悔しくないの?報いは受けさせないと、どんどん調子に乗るよ」




真剣な表情で説得されるも、首を横に振った。




「分かってるけどさ…全部バラしたら、私も佳奈と同じレベルに落ちることになりそうというか…」




明らかにすれば、佳奈に対して周囲は掌を返すだろう。そして被害者である陽毬に好奇の目が向けられるのは、絶対に避けられない。




佳奈にダメージを与えると共に自分も無傷ではいられないのだ。




裏切られた仕返しに、彼女の所業をバラす。それは自分が佳奈と同じレベルの人間に成り下がることを意味する。陽毬はそれが嫌だった。善人ぶってると謗られようとも。




自分の状況が好転するかもしれないのに、行動に移さない。




遥香は陽毬の考えに納得出来ないのか顔を顰めている。




「バラしたって、陽毬が受けたダメージの数割にも満たないよ?大丈夫、大丈夫」




「…」




唇を引き結ぶ陽毬に遥香は嘆息した。




「陽毬は真面目だからな…佳奈が陽毬の立場なら躊躇なくバラしてたよね」




「それは分かる」




佳奈も陽毬の性格を分かった上で、好き勝手に振る舞っているかもしれない。




「性悪に正面から太刀打ちは難しい…あ!良いこと思いついた」




急に声のトーンを上げた遥香が名案を思いついたとばかりに、目を輝かせ陽毬を見た。




「向こうが彼氏(笑)との仲を見せつけるのなら、こっちも作れば良いのよ。佳奈が悔しがりそうなカッコいい彼氏を」




「無理無理、私恋愛は暫く良いんだって」




即座に拒否するが、中々に諦めが悪く、というか陽毬がやられたままなのが我慢ならないようだった。




この日は一旦引き下がってはくれたが、時折思い出したかのように話を持ち出してくる。当然強要するわけではなく、やんわりと勧めてくる程度。




しかし、陽毬の中で彼女の案を試してみるのもいいかも、と気持ちが変わり始めていた。佳奈に対する鬱憤は溜まるし、ここらで一矢報いたいと思っている。龍司よりカッコいい彼氏を作れば、彼女の高いプライドを傷つけることは可能だ。それはもう、自分がされたことをそのまま返す勢いで煽り返すつもりだ。




(考えるだけならタダだけど、行動に移すのがなぁ)




そもそもそんな不純な動機で彼氏を作るのは不誠実なのでは?と真面目な一面が忠告する。そして何より重要なこと。




(作ると言っても相手がいないし、出会いもない)




男友達はいない訳ではないが、好きになる可能性があるほど付き合いはない。恋人がいたから合コンといった出会いの場に行ったこともない。内勤だから出会いと言えば同じ会社の人間だが、佳奈の件もあり陽毬に対する印象は悪いだろう。




(前途多難てやつ)




まあ、焦ってる訳ではない。佳奈もいつまでも嫌がらせを続ける胆力があるとも思えない。何とも思ってない風を装えば、向こうも飽きる…はず。




1人で考えても仕方がない、と頭を振って気持ちを切り替える。このペースだと少し残業してしまうが、飲み会には問題なく参加出来るだろう。




久々に飲むぞ、とほんのりと口角を上げた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ