表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/53

10話



それから約1ヶ月経ち、今日は今年最後の出勤日。




(よし今日で終わり、飲み会は総務の人だけだし、明日から帰省!)




最終日だから、駆け込みで面倒な案件を持ち込んでくる人が多いため残業は必須。だが、行きの新幹線は自由席を取ったので好きな時間に乗れば良い。激混みだろうが、数時間立っているくらい苦ではない。




その他諸々の疲労は実家でグータラ過ごすことで癒すことにしよう。




(私が久々に年末帰るからお母さん達張り切るって言ってたな)




1ヶ月前、そう連絡した母からはやけにテンションの高いメッセージが届いた。陽毬が年明け少ししか帰らないことに不満を漏らしたことはなかったが、やはり寂しいと思っていたようだ。




朔夜から聞いたのか兄からも連絡が来た。適当に伝えた「理由」を信じているようで、詳しく問いただすことはしなかった。ただ「お前の部屋風通しとくわ」とメッセージが送られて来ただけだ。




その朔夜からは、あれからちょくちょくメッセージが届いている。他愛もないものだ。今日が最終日だから向こうも飲み会がある、というのは教えてくれたがそれだけだ。朔夜は少人数なら良いけど、色んな部署の人間が集まる飲み会は嫌いだと言っていたので、今日は憂鬱だろう。




彼は基本的に飲み会は不参加だが、流石に年末の飲み会くらいは参加するべきだと思ってるらしい。でも参加したらしたらで、朔夜狙いの女子社員が肉食獣のような目をして近づいてくる。朔夜が不機嫌になるのが分かってる同僚がそれとなくブロックしてくれるし、このご時世何がセクハラ認定されるか分からないからと、出席してる上の社員が目を光らせているから、それほど苦労はしないと言っていた。




朔夜は朔夜で大変そうだが、陽毬も大概である。あれ以来佳奈に彼氏が出来たという話はあっという間に広まった。佳奈は美人なので狙ってた社員は多いのだ。彼女はそれを理解してるから、彼氏との惚気を友人に聞かせ、それを噂好きの友人が広める。




すると総務部まで届くのはあっという間。というか遥香が仕入れてくるのだ。彼女は佳奈との確執を知らないのだから、仕方がない。




(何処に行った、何を貰ったとか聞きたくもないのに入ってくるの、本当に嫌…)




それだけではない。陽毬が佳奈と距離を取っていることに気づいている同期が陽毬のもとにくるのだ。




「喧嘩したの?佳奈は自分が悪いって言うだけで理由教えてくれないし…私が仲取り持つよ」




余計なお世話だと突っぱねたかったが、寸でのところで言葉を呑み込み、気持ちだけ受け取っておいた。佳奈は社交的なので上にも下にも仲の良い人が多い。そんな彼女が憂いのある表情を見せれば、お節介気質の人が陽毬の元に来るのは予想出来た。




それが狙いでやってるのは明白。由美の懸念が当たってしまったことになる。




佳奈も思わせぶりな態度を取るのに喧嘩の理由を言わない(言えるわけがない)で、周囲の同情を誘う。一部の人間の間では「陽毬が頑な態度をとり続けている」とまるで加害者のような扱いらしい。そうなってるのは佳奈と仲の良い何人かと彼女に好意的な男性社員なので、それほど多くはない。




幸いなのは総務部の人はそういう噂を気にすることなく、また根掘り葉掘り聞くこともせずに普段通り接してくれてる。


特に遥香は陽毬を心配して会社にいるときは出来るだけ行動を共にしてくれるし、休日も遊びに誘ってくれた。




2人の間に修復不可能なことが起きてることは、察してるだろうに聞き出そうとはしない。流石に彼女には話すべきだと、他言無用だと念押しして今までのことを話した。それが数週間前の休日のことだ。




反応としては由美と同じ。佳奈と龍司を心底軽蔑したと言わんばかりに、顔を歪め不快感を露わにしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ