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第2話 最強な伯父さん

「ただいま・・・」

 あたしは、つぶやくように挨拶した。


 あたしは、気まずい中で家に帰ってきた。

 ここで、あたしは目撃してしまった。


 ジーオ伯父様と、トゥリーメーステレがキスするところを・・・。

 

 ちょっと前のあたしなら、ショックだったかもしれない。

 だけど、あたしはアミーラの説得で決心ができたから・・・。


 あたしは、ジーオ伯父様を束縛しないって。


「・・・。

さっきは、ごめんだったのですわ。

それじゃあ、部屋に戻るのですわよ」


「待ってくれ、マル。

わしは、彼女ができて、それで婚約もした。

そのことを、いつかマルに報告するのを忘れて・・・」


「じゃあ、おめでとうなのですわ」


 あたしは、笑顔で返した。


「わかってくれたか、マル。

それで、わしが彼女を守るって決めたんだ。

だから、同棲していいか?」


「ジーオ伯父様・・・。

伯父さんは、大人なのだから、許可なんているのですか?」


 あたしは、あの人を「ジーオ伯父様」と呼びたくない。

 せめて、他人に見えるようにふるまいたい。


「家族全員の同意を得たかったんだ」


 あたしの予感は、当たっていた。

 伯父さんと、トゥリーメーステレは付き合って、同棲する。

 そこで、結婚までいきつきそうだ。


「どうぞ、幸せに」


 笑顔で返したあたしは、部屋に戻った。

 

 あたしは、伯父さんを恋愛対象として見ていたつもりだったけれど、あれは違ったんだ。

 あたしは、伯父さんを本気で好きなわけではなかったし、父親のようでいて、本当の父親ではなかった。

 だけど、これでよかったんだ。

 あたしも、伯父さんもお互いに解放された。

 これでいいんだ。


 あたしには、まだ心の拠り所はある。

 あたしは、叔父様がいる。

 ディーオ叔父様だ。

 ジーオ伯父さんとは、血縁関係はない。


 さっそく、ディーオ叔父様のところに駆けつけよう。


「マルディ、今何を考えてる?」


 アミーラちゃまは、あたしに質問を投げかけた。


「さあ、何でしょうね」


 あたしは、にやついた。


「笑ったり、落ち込んだり、忙しい奴だな」


「あたしは、いつでも忙しいのですわよ?

お望みなら、泣いたり、怒ったりもした方がいいのですか?」



「いいって」


「あたしには、伯父さんが離れたとしても、ディーオ叔父様がいるのですわ。

ディーオ叔父様は、まだ若いし、結婚まで考えていないのですわよ」


「お主は、執着から抜け出そうとか、考えないのか?」


「あたしは、まだ大人になんかなれないのですわ」


「にゃー」


 どこからか、黒猫が現れた。

 ここはあたしの部屋のはずで、窓も閉まっていて、扉も開いてないのに、どこから入ってきているんだろう?

 そして、その猫が話し始めた。


「解決要望です」


「ミストロー!」


 あたしたちに事件を知らせる猫たちがいて、名前はミストロー、ミステリーオ、グハイニース、ミステー、シェンミー、ミストリーの六匹がいる。

 今回の担当は、ミストローみたいだ。


「被害者トゥリメーステレ。

第三者ジーオ。

犯人は不明で、謎の集団と予想される。

依頼目的は、クウォーターエルフの末路を解決する。

任務達成の条件は、最強な伯父さんとの協力。

以上」


 ミストローが淡々と話した。


「それだけなのですか?

情報が少ないのですわね」


「こらっ!」


「はいはい、わかったのですわ。

アミーラちゃま」


「何がわかったんだ?

本当にわかっているのか?」


「何をなのですか?」


「ほら、わかってない」


 あたしは、なんだか悔しい気持ちになった。


「にゃー」


 ミストローは、その場を去った。

 どこからともなく、姿を消した。

 

 ミストローたち、この猫は一体何者なのだろう?


「さあ、本題に入ろうか。

この発言をするお主は、探偵助手に向いてないとみなし、今日からは、お主の叔父であるディーオが探偵助手に任命されることになった」


「そんな、いきなりなのですか!?」


「前々から話し合っていた。

ただ、マレディに報告も、相談もしていないだけで」


「そんな、勝手に・・・!?

あたしは、あたしは、これからどうなるのですか?」


 あたしは、動揺を隠せずにいた。

 あたしは、探偵助手失格なのかもしれないだなんて。


「転勤だ」


「転勤って?」


「転勤は、転勤だ」


「どこになのですか?」


「決まっておる。

日本だ」


「日本なのですか?

どうやって?

飛行機に乗るのですか?」


「飛行機に乗る以外、何がある?

泳ぐのか?

それとも、船か?」



「どちらも、無理なのですわよ」


「相性からして、ディーオの方がいいじゃないか、と前々から思っていたことだ。

わかってくれるか?」


「わからないのですわ。

わかりたくないのですわよ!」


 いやだ。

 アミーラちゃまに見捨てられるくらいなら、ディーオ叔父様を裏切り者とみなす。


「ということだ。

マレディ、アミーラもいろいろと我慢してきたんだ」


 声のした方を見ると、ディーオ叔父様が扉を開けていた。


「ディーオ叔父様・・・?」


「吾輩とジーオさんはここに残るけど、あとはみんなで飛行機に向かう。

これでいいか?」


「よくないのですわよ!」


 どうして?

 どうしてなの?

 あたしの何がいけないの?

 誰か、教えて・・・。

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