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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
19.サキュス沖海戦 エリオvsサラサ

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その17

「さて、どうしたものか……」

 エリオは、いつものやれやれ感満載でそう呟いた。


 最高位に評価されている人物がこれでは、リンクもかわいそうである。


 それに真面目に戦っているサラサでもある。


 そのぉ、なんだ、敵味方の一水兵達に至るまで、何だかなと言った感じだろう。


 こう言う時に、緊張の糸が切れるのだが、しっぱなしも良くはない事は明白だ。


 適度に、エリオが緊張の糸を切る事により、いざという時に目一杯力が発揮できていた。


 無論、意図してやっている訳ではないのが、残念な所である。


「閣下の思い通りに戦いは推移しているのでは?」

 マイルスターは、いつもの和やかな口調でそう聞いた。


「うん……」

 エリオは、いつも通り歯切れが悪かった。


(まあ、閣下の思い通りとは、全く戦わない事なんだろうが……)

 マイルスターは、エリオの本心を悟って、呆れる他なかった。


「膠着状態に持ち込めたのはいいのだが、このままでは左翼部隊が持たないだろう」

 エリオは、真面目に戦況を述べていた。


 正直な所、自分が楽できるのはいいが、その為に他人が苦労するのは何か違うと感じていた。


「!!!」

 マイルスターの方は、その言葉にびっくりした。


 まあ、総司令官なのだから当然考えるべき事なのだが、真っ当な言葉が出てくるとは思わなかったからだ。


 よって、思考が停止してしまった。


「やっぱり、中央・右翼部隊を左翼方向に寄せつつ、敵の攻撃を引き受けるしかないな……。

 それによって、左翼部隊を後退させて、少し休んで貰うか……」

 エリオは、再びやれやれ感を前面に出しながら、地図上の艦隊配置をいじっていた。


 マイルスターの思いとは関係なく、エリオは総司令官としての仕事をしていた。


(また、そんな神業みたいな事を……)

 マイルスターは、心の中で呆れてはいたが、出来ないとは思っていなかった。


「……」

 エリオは、紙とペンを手元に引き寄せると、一心不乱に何やら書き始めた。


「……」

 マイルスターは、それを無言で覗き込むように見ていた。


 それは詳細の艦隊陣形だった。


(この人の頭の構造は一体どうなっているのだろうか……?)

 マイルスターは、またまた呆れながらも、それを見守っていた。


「さてと……」

 エリオはそう言って書き終えた。


 そして、その紙をシャルスに押しつけるように、渡した。


「これを伝令せよと?」

 シャルスは、紙を見ながらそう言った。


「そう、頼むよ」

 エリオは、そう答えた。


「……」

 厄介な命令だが、シャルスは眉一つ動かさないで、無言で紙を見詰めていた。


 そして、一呼吸置いて、伝令係に指示を出そうとした時、一枚の報告書を受け取った。


 シャルスはそれを一読すると、伝令係に指示する前に、

「閣下、シーサク王国海軍に動きありとの事です」

と報告した。


 一応、書いておくが、シーサク王国は、バルディオン王国の隣国である。


 そして、スヴィア王国の同盟国でもある。


 単純化させると、バルディオン王国の敵国になる。


「ああ、そういう事か……」

 エリオは、その報告にそう反応すると、安心してしまった。


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