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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
19.サキュス沖海戦 エリオvsサラサ

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その11

「敵艦1隻、撃沈!

 敵総旗艦艦隊の艦です」

 バンデリックが、サラサにそう報告した。


 うぁっー!!


 水兵達から歓声が上がった。


 無理もなかった。


 強く、忌々しい敵をやっつけたのだから、士気が高揚するのも無理がなかった。


「調子に乗るな!

 敵の反撃を喰らうわよ」

 サラサは、注意を喚起した。


 そして、その表情は、何故か強張っていた。


 戦果を上げたのだから、喜ぶなり、安心するなりしてもいい。


 これまではそうだった。


 だが、サラサには、これは困難な戦いの幕開けに過ぎない気がしてならなかった。


 このままでは済まないと。


 エリオも感じていたが、サラサの方も戦い始めて見て、思っていた以上にとんでもないヤツだと感じていた。


 損害が出ても、微動だにしない。


 いや、それどころか、敵の動きがスムーズになった気がしてならなかった。


 サラサの思いに、すぐに艦隊の面々は反応し、気を引き締め直した。


「艦隊陣形を維持したまま、取り舵!!

 転針した敵艦隊に対して、攻勢を続行!」

 サラサは、気が引き締まった自分の艦隊に対して、命令を下した。


 ここで、攻勢を止めると、反撃を喰らいかねない。


 なので、命令は理に適っているものである。


 ただ、相手はエリオ。


 一方的に打ち破れる相手ではない。


 したがって、慎重にかつ、大胆に攻勢を続ける他なかった。


 ヒューン、ボッカーン!!


 取り舵を取り、敵中枢部へと攻勢を開始した時、サラサ艦隊の1隻が集中他を浴びて、あっさりと吹き飛ばされた。


 ……。


 艦隊の面々が茫然自失する中、

「7番艦、撃沈されました!」

とバンデリックがなるべく事務的な口調でそう報告した。


 こんなにあっさりと被害を受ける程、陣形が乱れていた訳ではない。


 そんな事より、こんな簡単に撃沈された事は未だかつてない。


 艦隊に動揺が走った。


「分かっている……」

 サラサの反応は、バンデリックが思っていたのとは違って、物静かだった。


 だが、決して、落ち込んでいる訳ではなかった。


 と言うか、性格上、落ち込む事はないだろう……。


 ある意味、サラサの残念な所である……。


(選りに選って、一番叩かれてはいけない所を痛打してきた)

 サラサの表情は悔しさで一杯だが、極力表には出さないようにしていた。


 7番艦の位置は、攻勢に出る為の要という位置だった。


 なので、撃沈されて出来た穴を放っておく訳には行かなかった。


「旗艦を中心に、一旦各艦の距離を詰めて、陣形を立て直す」

 サラサは、悔しがりながらも、ジッと耐える事を選択したようだ。


 要をあっさりと突かれたのだから、一旦陣形を立て直す必要があった。


 このまま攻勢を続行したら、空いた穴から艦隊をバラバラにされかねない。


 それが分かっていたので、サラサはジッと我慢する他なかった。


 その為、サラサ艦隊の出足が止まった。


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