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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
19.サキュス沖海戦 エリオvsサラサ

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その9

 ボッカーン!!ズッカーン!


 アスウェル艦隊にもその轟音が聞こえてきていた。


「どの艦が撃沈された?」

 参謀ヴェルスが、轟音の確認をした。


「総司令官4番艦の模様!」

 副官のラルグが、慌てて報告をしてきた。


「公爵閣下が下手を打つとは……。

 それとも、敵がそれ程優れているのか……」

 いずれにしろ、ヴェルスは信じられないと言った表情だった。


 その隣にいた艦隊司令アスウェル男爵リンクは、奥歯を噛みしめていた。


 ……。


 何の反応がない司令官に、ヴェルスとラルグが黙ってしまった。


 異様な光景だった。


「我が艦隊が脚を引っ張った……」

 リンクは、忸怩たる思いで何とか言葉にした。


「えっ?」

「えっ?」

 ヴェルスとラルグが、司令官の言葉に耳を疑った。


「敵が優れていると言うのは間違いではない。

 ほんの些細な隙を突かれたのだからな。

 しかし、その隙を作ったのは、我が艦隊だ!」

 リンクは、何も分かっていない2人に、ちょっと苛ついていた。


 勿論、それ以上に自分にも苛ついていた。


「……」

「……」

 ヴェルスとラルグは、思いも寄らない言葉に絶句した。


「王国最強とか、煽てられている内に、総旗艦艦隊と我が艦隊の技量差は絶望的な差になってしまった」

 リンクは、珍しく感情を露わにしていた。


「しかし、閣下……」

とヴェルスは、反対意見を言おうとしたが、リンクの一睨みで再び絶句した。


「分からぬか、この戦いの異常さを。

 最初の主導権争いから、異常すぎだ。

 敵味方とも、最高の一手を打っている」

 リンクは、分かっていない面々にそう説明し出した。


「……」

「……」

 ヴェルスだけではなく、ラルグも怪訝そうな表情になっていた。


「ふぅ……」

 リンクは2人の表情を見て、大きな溜息をついた。


 恐らく、アスウェル艦隊所属の大半は、2人と同じ考えなのだろう。


「最初の砲撃、総旗艦艦隊と同じレベルの砲撃が出来るか?」

 リンクは、現実を突き付けた。


「ぐぅ……」

 ヴェルスは正にぐうの音も出ないと言った感じだった。


「そう、我が艦隊と総旗艦艦隊では、雲泥の差がある。

 心して掛からないと、また我らが総司令官閣下の足を引っ張る事になる」

 リンクは、何時にない強い口調で断言した。


 ヴェルスとラルグは、司令官にここまで言われては気付かない訳には行かなかった。


「了解しました」

「了解しました」

 2人は、ハモるようにそう言うと、同時に敬礼した。


「それにしても、砲撃数こそ少ないが、その正確な砲撃を抜けてきた敵……。

 正に、総司令官閣下が警戒していただけの事はある」

 リンクは、そう言うと深刻そうに考え込んだ。


 その光景をヴェルスとラルグは、固唾を呑んで見守る他なかった。


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