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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
19.サキュス沖海戦 エリオvsサラサ

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その7

「敵艦隊、我が方の砲撃を擦り抜けています」

 シャルスは、極めて事務的に報告した。


 大ピンチに陥りそうになっている事は、本人も分かっていた。


 だが、感情任せに言っても仕方がないと思っているのだろう。


「全く足止めにはなりませんでしたね。

 それどころか、加速させてしまいました」

 マイルスターは、いつもの和やかな口調でそう指摘してきた。


 こちらも大ピンチに陥りそうになっている事は認識していた。


 だが、指揮を執っているのは自分ではないのでどうしようもないと言った感じだった。


 要するに、この2人は、エリオに早く対処せよと暗にプレッシャーを掛けていた。


「敵のやる気がこれ程までとは……」

 エリオは、予測していた悪い方の流れになった事を悟った。


 とは言え、予測している所が、何とも度し難いかも知れない。


 ドッカーン!!


 砲撃音がした。


 これは、サラサ艦隊からの砲撃だった。


 ばっしゃん、ばっしゃん!!


 傍の水面が砲弾により、泡だった。


「どうなさいますか?反撃しますか?」

 マイルスターは、今度は言葉で、エリオの命令を促した。


「いや、先手を取られた。

 全艦隊、東に転進せよ。

 敵の攻撃を受け流す」

 エリオは、後手に回ってしまった事で、こう言った命令を出さざるを得なかった。


 とは言え、エリオが先手を取るという事は、あまりないので通常通りに戻ったのかも知れない。


 全艦隊は、特に慌てる様子を見せずに、進路を東に向けた。


 この行動は、後手に回ったとは言え、想定されたシナリオの一つにすぎなかった。


 いや、筈だった。


「ん?」

 いち早く気が付いたのは、エリオだった。


 いつも通りの滑らかな艦隊運動を期待していたが、どうも違う。


 それは傍目から見ると、分からない程ではあった。


 ドッカーン!!


 敵からの砲撃は間断なく続いていた。


「まずい、急ぎすぎるな!」

 エリオは、総旗艦の右前方にいる4番艦に指示を出そうとした。


 エリオ艦隊とアスウェル艦隊の連携が微妙にずれており、そのしわ寄せが4番艦の動きに大きく影響を及ぼしていた。


 ヒューン、ドーン!


 だが、それより早く、敵砲弾が4番艦に直撃した。


「4番艦に直撃弾!!」

 シャルスが報告するまでもなく、不味い事態に陥ったのは明白だった。


 ドッカーン!!


 敵からの砲撃は更に続いていた。


 そして、エリオが退避を伝達する前に、第2の直撃弾が4番艦を襲った。


 ボッカーン!!


 4番艦は爆発炎上し、ゆっくりと沈み始めた。


「……」

 流石のマイルスターも沈みゆく4番艦を見て、いつもの和やかな表情を保てなかった。


 エリオ艦隊として認められてから、初の被撃沈だったからだ。


 無敵を誇っていたエリオ艦隊に損害が出た。


 当然、艦隊には一気に動揺が広がっていった。


 ただ、これは戦いの幕開けに過ぎなかった。


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