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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
18. 激突 エリオvsルドリフ

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その9

「閣下、もの凄く順調に作戦が進行していますね」

 目をキラキラさせながら、マキオがエリオに話し掛けていた。


 マキオは、ティセル男爵の息子であり、今回は艦隊の一部隊を任されていた。


「それは、閣下の立案した作戦が優れていたからですね」

 同じく目をキラキラさせながら、サキオがエリオに話し掛けていた。


 サキオは、アトニント男爵の息子であり、同じく艦隊の一部隊を任されていた。


 色々あって、いや、実際大した事はないのだが、2人は、エリオを兄貴のように依然として慕っていた。


 この時、エリオ艦隊は、陸砲の破壊に成功していた。


 そして、帝国北方艦隊を港内に封じ込める事にも成功していた。


 今は、作戦後の補給中であった。


 封じ込めの方は、ティセル艦隊とアトニント艦隊に移管されていた。


 2個艦隊全艦で常に封じ込めるのではなく、ローテーションを組む事になっていた。


 また、2つの艦隊は、艦隊編成を変更し、4つに分かれた。


 4つの内、2つは、それぞれ2人の男爵が担当した。


 残り2つは、男爵達の息子であるマキオとサキオが担当する事になった。


 封じ込めローテーションの順番は、ティセル男爵、アトニント男爵、マキオ、サキオであった。


 エリオは、補給中で一段落していた所に、その2人の訪問を受けた。


 お互いが、ちょっとした空き時間になっていたからできた会談だった。


 あ、まあ、2人はともかく、エリオは何だか居心地が悪かった。


 エリオは、基本的には人当たりがいいが、余り社交的ではない。


 そして、おかしな面があった。


 馬鹿にされる事は慣れていたので、平気という面である。


 だが、この2人は、永遠に自分を持ち上げてくる。


 なので、滅多にはいないタイプなので、苦手な人間達だった。


 まあ、そんな相性はともかく、エリオは色々と確認したい事があった。


「お2人とも、対外戦闘は初めてだと思いますが、今の所、どうでしょうか?」

 エリオは、自分が持ち上げられている話題を無視して、全然違う質問をした。


 とは言え、よく考えてみると、変な質問の仕方だった。


 余程居心地が悪いのが影響したのだろう。


「……」

「……」

 マキオとサキオは、一瞬、無言でお互い顔を見合わせた。


(質問が不味かったか?)

 エリオは、2人の反応を見てそう思った。


「そう言えば、そうでしたね」

「ええ、言われてみれば、初めてですね」

 マキオとサキオは今気付いたとばかりに口々にそう言った。


 2人は周辺海賊との戦闘経験はあった。


 だが、外国の正規軍とは初めての戦いだった。


 公式的には、これが初陣になる。


 2人は、エリオと同い年なので、現在18歳。


 年齢的には、この歳での初陣は別に早くもなく、遅くもなかった。


 と言うか、エリオが早すぎるのだ。


 ウサス帝国との戦いは、12歳の頃からやっており、ルドリフとの戦闘は6年間続いた(?)事になる。


(???)

 エリオは、先程の反応とは、真逆で2人が自分の質問の意図を察していた事に驚いていた。


「まあ、閣下の立案した作戦ですから、何の心配もありませんでした」

「ええ、すんなりと作戦を遂行できました」

 マキオとサキオは、何の心配をしているのだろうという反応に変わっていった。


「あ、いや、作戦を立てた人物ではなく、内容をまずは気にして欲しい」

 エリオは、何だかおかしな方向へと行っている気がしてならなかった。


「……」

「……」

 マキオとサキオは、今度は首を傾げつつ、無言でお互い顔を見合わせた。


(えっ、俺、変な事言った?)

 エリオは、どうも調子が狂うと言った感じだった。


「ですから、作戦内容は素晴らしいと申し上げています」

「はい、水も漏らさぬと言った具合です」

 マキオとサキオは、何を言っているんだとばかりに、エリオにそう言った。


「……」

 エリオは、頭を抱えた。


 話は通じているみたいだが、どうも迂回路を使われているような気がしてならなかった。


 とは言え、ここで、立ち止まっている場合ではない。


 2人は、いつもこんな感じだ。


 一々、気にする必要はない。


 ともかく、戦闘中、パニックになったりしないようだ。


 まずは、指揮官としての最低限の資質は備わっていた。


 まあ、今の所、勝ち戦だからそうなのかも知れないが、取りあえずは、大丈夫だろうと、エリオは考えた。


 頭を抱えているエリオを見て、2人は不思議そうな表情を浮かべていた。


 だが、いつもの事だと思ったのか、何も言わなかった。


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