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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
18. 激突 エリオvsルドリフ

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その8

「港内の敵艦隊に動きなし」

 シャルスがそう報告してきた。


「偽装ではないですよね?」

 マイルスターは、シャルスの報告に対して、一応確認した。


 その事に関しては、既にエリオの思考の範囲内とは思っているようだった。


「それも有り得るけど、まあ、大丈夫だろう」

 エリオは、特に考えなしと言った感じで、答えた。


 まあ、いつも考えていないと言った感じなので、特に変わった所はなかった。


 あ、でも、当然、ボケッとしているだけで、考えがない訳ではないと思わない訳でもなかった。


 じゃないと、生き残れてはいないだろう。


「全艦、全速!

 まずは、射程の長い陸砲を潰す」

 エリオは、答えたの後、間髪を入れずに命令を下した。


「全艦、全速。

 攻撃目標、港周辺の陸砲」

 シャルスが、復唱して、伝令係に指示を出した。


 この作戦行動は一見すると、やはり何も考えていないようなに進んでいた。


 だが、すでに準備は済んでおり、状況も把握済みである。


 したがって、然るべき手順で作戦を進めているのに、過ぎなかった。


 ・港周辺に敵艦が見当たらない事


 ・港内の敵艦隊に動きがない事


 ・偽装だったとしても、動きなさ過ぎるので、行動可能になるまでは時間が掛かる事


 ・待ち構えられているとしても、陸砲は潰さないと今後の作戦に影響が出る事


 以上の点から、多少のリスクを負っても、作戦を決行したのであった。


 艦隊は、エリオの命令通り、一気に加速して、サキュスの港へと向かって行った。


「陸砲を視認」

 マスト上から報告されてきた。


「全艦、敵からの砲撃に注意しつつ、そのまま進め」

 エリオがそう命令した。


 射程は向こうの方が長い。


 なので、一方的に攻撃される恐れがある。


 そして、戦いにしか才能がないエリオの言う事だ。


 当然、艦隊の水兵達の緊張感は高まった。


 いつ撃ってこられるかという緊張感のまま、艦隊は命令通り港へ急速に接近した。


「間もなく、有効射程ですが……」

 マイルスターが、エリオの注意を促すようにそう言った。


 まあ、でも、言うまでもない事だとも思っていたが、一応参謀なので、言ったまでだった。


 と同時に、敵が1発も撃ってこない事に関して思いを馳せた。


(やはり、閣下は想定していたのだな……)

 マイルスターは、また感心しながら呆れていた。


 準備が出来ていない敵が撃ってこない事を想定していた事には、感心していた。


 そして、それをしれっと、おくびにも出さなかったのには、呆れていた。


 気付いているのは、マイルスターとシャルスだけだった。


 なので、艦隊全体は極度の緊張状態にあった。


「全艦減速、斉射準備」

 エリオは、敵の動きを確認してから、満を持しての命令を下した。


 艦隊内は、当然、「えっ?」と言う空気になった。


 だが、次の瞬間、それを寸分違わず、実行してしまう自分達がいた。


 騙された!!


 水兵達の恨みの念が、湧き上がろうとしていた。


 砲撃戦になる事を覚悟していたからだ。


 それも不利な砲撃戦を予想していた。


「砲撃開始!!」

 エリオは、そんな事お構いなしに、湧き上がる前に命令を下した。


 ドッカーン、ドッカーン!!


 全艦の大砲が、同時に目標に向かって放たれた。


 砲弾達はきれいな放物線を描くと、敵の陸砲に降り注いだ。


 ドーン!!


 派手な火柱が、直撃した事を知らせていた。


 まず一門。


 難なく、破壊に成功した。


 普通は素直に喜ぶ所だが、先に騙されたと言う感情が処理し切れていなかったので、どうにも微妙な気持ちになってしまった。


「よし、次の目標に移るぞ!

 取り舵!」

 エリオは、また、そんな事お構いなしに、命令を下していた。


 そして、水兵達は、即座にその命令に従っていた。


 当然、モヤモヤしながらである。


 エリオ艦隊が戦果に対して、歓喜しない理由は、ここにあるのやも知れない。


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