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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
16.対面

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21/173

その1

 ぱたぱた、ざぁざぁぁ……。


 航海は順調だった。


 視線の先には、孤島であるモルメイア島が確認できるようになっていた。


 話は、エリオとサラサが遭遇した後の話である。


 そして、更に話が進んで、ティセルからモルメイア島へと航海してきた時の話である。


 と言う事は、更に時間が進んだ事になっている。


 筆者は、とっちらかしすぎであると思われているだろう。


 まあ、それはともかくとしてしよう。


 航海が順調すぎて、やる事がないせいか、エリオはあまり言葉を口にしなかった。


 興味がない時や喋る必要性がない時は、無理に話をするタイプではないので、口数はそれ程多くはない。


 だが、今回は何か異質な雰囲気が漂っていた。


 ただ、それは敵などの危険を察知している訳ではないようだ。


 その場合は、先回りして指示が飛んでくる筈だからだ。


「……」

 エリオは、無言で、ただ、ボケラッとしている風にも見える。


 いや、見えるのではなく、ボケラッとしているだけだった。


「閣下、どうかなさいましたか?」

 マイルスターは一応聞いてみる事にした。


 傍にいるシャルスが全く気にする様子がない事から、そんな大した事ではないのかも知れないが、念の為である。


「ん?何でもない」

 エリオは、心ここにあらずと言った感じでそう答えた。


 マイルスターは、そんなエリオを見て、不安しかなかった。


 今は、「漢のロマン」に向かって、突き進んでいる筈である。


 なので、いくらエリオでも、希望に満ち溢れた表情になってもいいものである。


 え、あ、まあ、エリオがそんな表情が出来るかどうかは、まあ、そのなんだ……。


 ええっと、それはともかくとして、もうちょっとなんかあってもいいものだと、少なくともマイルスターは感じていた。


 マイルスターは、取りあえず(?)、無言になった。


 ……。


 エリオは、勿論、黙っていた。


 シャルスは、暇そうにしていた。


 まあ、いつのも風景なのだが、エリオの様子が気になるマイルスターは、居心地が悪かった。


 そんな事を他所に、エリオは考え事をしていた。


 いつまでも、ボケッとしている訳ではなさそうだった。


(それにしても、今回は、何か妙だな……)

 近付く島を眺めながら、エリオは思った。


 まずは直近の事を思い出していた。


 そう、サラサに絡まれた件だ。


 とは言え、それは大した事はないと思っていた。


 まあ、絡まれ体質のエリオにとっては、日常茶飯事だったからだ。


 艦隊戦になりそうな事案が、大した事ないというのは、傲慢すぎると思われた。


 ただ、今回、絡まれた事は意外だったが、戦闘にならない事は、お互い、織り込み済みだったので、そう言う考えになるのだろう。


 歴史上では記録されない海戦であるが、神経戦による海戦であるという認識は、エリオとサラサにはあった事は事実である。


 それより気になるのが、ラ・ライレとリ・リラの態度であった。


 リ・リラの方は、今回の事はあまり良く思っていないのは薄々感付いてはいた。


 でも、今回はそれをストレートにぶつけてこない所は妙だと思っていた。


 恨みがましいような、戸惑っているような、照れているような……、それはもう、複雑すぎる感情を感じ取れた。


 エリオは、基本的には鈍いが、ただ鈍いだけではなかった。


 でも、まあ、それより変だと思ったのが、ラ・ライレだった。


 年の功か、と言っても、本人にそう言うと、怒りまくられるが、そのせいか、理(利)がある場合は、それ程反対はしない。


 渋い顔をしながら、認めてはくれる。


 だが、今回の妨害は首を傾げるものばかりだった。


 その癖、長い時間は掛かったものの、自分の提案を全面的に受け入れた。


 どうも、妙である。


 それに、反対していたのに、一転して意気込み出したりしていた。


 そして、極めつけは、何だか、切羽詰まっているような、焦っているような感じがした。


 それに対しては、今思えば、嫌な予感しかしなかった。


 それは、島が近付くにつれ、嫌な予感は強くなった気がする。


 憧れの「漢のロマン」を実行しているのにも関わらずだ!


 しっかし、まあ、正に、大伯母の心、大甥知らずといった感じなのだろう。


 あ、それと、朴念仁も付け加えておこう。


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