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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
26.幼き時

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その4

 さて、銀髪少女である。


 彼女は、一応、港で落ち込んでいて黄昏れていた。


 まあ、傍目から見ると、怒っているような苛ついているような感じしか受けないのだが……。


 その辺が、銀髪の少女サラサの残念な所ではある。


 それはともかくとして、サラサが落ち込むだけの事件があったのは事実だった。


 7歳になったサラサは、ルディラン侯爵家の跡取りとして、自他共に認められる存在へとなっていた。


 そして、それを公にする必要があるために、王宮で開かれるお披露目会へと出席する事になった。


 毎年、7歳になった貴族の子息達が、各地から王宮に集まっていた。


 この年は、7侯爵家からはサラサ1人だったので、サラサの注目度は増すと思われた。


 それに浮かれるサラサではないが、一つ大人になるという点では、有頂天になっていたのやも知れない。


 子供らしい期待を抱きながら出席したサラサではあったが、トラウマになるであろう体験をさせられた。


 国王への挨拶を恙なく終えると、オーマと共に諸侯への挨拶回りとなった。


 一応、礼節を持って対応されるものの、例外なく冷ややかな視線を向けられていた。


 サラサは、最初、自分が何か失礼ない事を仕出かしたのと思っていた。


 とは言え、いくらサラサでもやらかしたという事に心当たりはなかった。


 だが、ヒソヒソ声からその理由を悟った。


 不吉な目の色、変な髪色。


 面と向かって言われている訳ではないが、こういう声は結構漏れ聞こえてくるものである。


 周りはそういう態度だったので、挨拶以上では、諸侯はサラサ達に近付かなかった。


 それがあからさまに出たのが、子供達だった。


 他の7歳の子供達は互いに言葉を交わしているが、サラサには誰も近付かなかった。


 そして、時々、サラサをチラ見しながら嘲笑するのであった。


 これは、大人達の反応が、子供にはそれ以上に伝わったのだろう。


 そして、この出来事で、サラサは初めて思い知らされたのだった。


 ワタトラにいた時には、自分の風貌はまわりとちょっと、いや、大分違う自覚はあった。


 だが、こう言う状況に初めて陥ると、サラサは自分が差別の対象になるを知った。


 そして、それが今までのワタトラの人達への不信感が芽生え始めたのだった。


 そんなサラサを見て、オーマは声を掛けなかった。


(さて、どうしたものか……)

 オーマは、事の対処に悩んではいた。


 と同時に、サラサの性格から考えると、何を言っても逆効果になる事が想像するに難くはなかった。


(頭のいい娘だから、いずれ折り合いを付けてはくれると思うが……)

 オーマは、悩んでいるようで、安心しているような感じである。


 ただの親バカなのかも知れない。


 とは言え、父親としては、娘が困っているのは結構辛いものがある。


 だが、ある意味、自慢の娘がこういった状況をどう乗り越えていくのかに、興味があった。


 やはり、親バカである。


(まあ、この状況の半分以上は、ルディラン家が関わっている事なのだが……)

 オーマは、自嘲していた。


 何度も説明しているが、バルディオン王国では、ルディラン家は特殊な立ち位置にある。


 特殊さ故に、優遇されており、手出しもしにくい。


 それが、やっかみとして、跳ね返ってきているのは言うまでもなかった。


 そういった家に対して、サラサの風貌は格好の攻撃材料なのだろう。


 色々、事情を述べてきたが、攻撃対象にされているサラサにとっては、非常に迷惑な話である。


 しかも、まだ7歳でこんな状況に置かれている。


 さぞ、絶望感満載の落ち込みようなのだろう。


 と言う事で、サラサは、港で黄昏れていたのだった。


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