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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第2巻  作者: 妄子《もうす》
14.リーラン王国沖 エリオ艦隊vsサラサ艦隊
1/173

その1

―――


 本物語は、「クライセン艦隊とルディラン艦隊 第1巻」の続きの物語です。


挿絵(By みてみん)


―――


 第2巻、本文は以下からです。


挿絵(By みてみん)


 セッフィールド島沖海戦に勝利したサラサ艦隊は、帝都ナラーバラに入港した。


 勝利したサラサはさぞかし上機嫌だった……と言いたい所だが、違っていた。


 これは戦いの最中の態度からある程度予測できた事だった。


 あ、予測したのは言うまでもなく、バンデリックだった。


 そして、それに関してはなるべく触れないようにしていた。


(これまでの戦いだったら、終わって、すっきりしていたけど……。

 今回は流石にそうは行かなかったわね……)

 サラサはモヤモヤした気持ちを持ちながら、艦の接岸を待っていた。


 ぎよ、ぎよ、くぉーん……。


 上空には楽しそうに飛んでいるカモメが目に入った。


 まあ、あくまでもサラサの目から見て、楽しそうだと思っただけで、カモメは必ずしもそうは思っていないだろう。


 それはともかくとして、サラサの脳裏には今までの自分の戦い振りが浮かんでいた。


 戦果もそれなりに上げてはいたので、得意気になっていたようだった。


(今考えると、恥ずかしい……)

 サラサは何だが自分の黒歴史を振り返っているような気持ちになっていた。


 とは言え、客観的事実に基づけば、それはそれで、悪い事ではなかった。


 立場が変わったので、役割も変わらざるを得なかった。


 寧ろ、そのままの乗りで行ってしまう方が、遙かに問題だった。


 いずれ、オーマ辺りに諭されるだろう。


 しかし、今のサラサにそういう風にアドバイスしてくれる人はいなかった。


 なので、落ち込むまでは行かないまでも、モヤモヤした気持ちにはなってしまっていた。


(しっかし、成る程、艦隊全体の指揮を執るとなると、戦いに慎重にならざるを得ない訳ね……)

 こう思いながら、サラサの脳裏にエリオのぬべーっとした表情が浮かんでいた。


 当然ながら、サラサは脳裏からそれを追い払おうとして、首をぶんぶんと大きく振った。


 そして、当然ながら、それを心配そうに見ているバンデリック。


 とは言え、何を考えているかは想像が付いていた。


 サラサの考えている事を心配していると言うより、それに伴う行動の方を心配していた。


 まずは自分にとばっちりが来ないかの心配。


 そして、ここは外国なので、突飛な行動に出られると大変である。


 でも、まあ、バルディオン王国内だとしても、突飛な行動は控えて貰いたいとバンデリックは考えている。


 そうこうしている内に、艦は桟橋に接岸した。


 タラップが架けられ、サラサとバンデリックはゆっくりと桟橋に降りていった。


(何よりもムカつく事は、同い年のアイツがあたしより早くこう言った事をやっている事ね!)

 サラサはライバル心剥き出しにそう考えていた。


 言うまでもないが、エリオの方が1つ年上である。


 サラサとバンデリックは、そのまま言葉を交わす事なく、桟橋を歩いて行った。


(とは言え、やってみないと分からない事って多いのね……)

 サラサは今回の事を総括するように、そう思った。


 そして、目の前に止めてある馬車に、バンデリックと共に乗り込んだ。


 2人を乗せた馬車は、宮殿へと向かうのであった。


 この後の出来事は、サラサにとってあまりいい思い出にはならないだろう事が予想できた。


 ならば、帝都に寄らずに、そのまま王国に帰還すればいい。


 それが非礼に当たるから出来なかったのは言うまでもない。


 でも、あま、作戦前ならいざ知らず、作戦後なので、いくらでも理由を付けられるからだ。


 だが、それはしなかった。


 帝都に立ち寄った最も大きな理由は、傷付いた艦の応急修理と補給が必要だったからだ。


 いくら何でも無傷の勝利とは行かなかったからだ。


 その為には、この後に行われる面倒臭い行事にも参加しなくてはならない。


(艦隊司令官は見た目は格好いいかも知れないけど、色々と辛いわね……)

 サラサは宮殿に向かう馬車の中で、憂鬱な気分になるのであった。


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