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祝福

作者: 袖野 霧亜

「おめでとう。良かったよ、上手くいったみたいで」

「おう、ありがとうな!」

「ありがとう、いろいろと相談にも乗ってくれてたみたいで」

「ううん、僕は大したことはしてないよ」

「んなことねぇーって! ホントに助かったぜ! 一人だけだったらそもそも告白も出来て無かっただろうしな!」

「うん、私もずっと勘違いしてたかもしれないし。だって、まさか好意を持たれてたなんて思ってもみなかったもん」

「あはは、そうだよね。はたから見ててもそういう風にしか見えなかったもん」

「なんだよ! まるで俺がぶっきらぼうとでも言いたげに!」

「まさしくその通りでしょ?」

「うん、そうだね」

「酷くないか!? ……いやまぁ、そうかもしれないけどな」

「もう、そういじけないの」

「そうだよ。これからは理解者もいるし、恋人もいるんだから」

「……そうだな! 本当に良い奴らに出会えたもんだ!」

「もう、調子がいいんだから」

「それで? 今日はどうするの? せっかく付き合えたんだからどこかにデートでも行くの?」

「あー……、それもいいんだけどな」

「ほら、雨が降ってるから、別の日にゆっくりしようかなって」

「そっか。なら、先に僕だけでも帰ってようか? 二人きりになりたいでしょ?」

「いやいや、待ってくれ」

「うん、一度待とう? お願いだから」

「……なんでさ、交際初日だよ? 言っちゃえば記念日レベルだよ?」

「うぐ……。そうなんだけど、な?」

「たぶん緊張して、間が持たないかもというか、なんというか……」

「…………はぁ~。これだから恋愛初心者は……」

「う、うるせっ、人のこと言えるほどないだろ!」

「そ、そーだそーだ!」

「ふーん、僕は既に初恋は終わってるもんね」

「え、マジかよ! 初めて聞いたぞ!」

「ホント、結構長い間一緒にいるけど聞いたことないかも」

「ま、いいじゃん。僕の恋愛事情なんてさ。それよりも、だよ」

「……今後の俺に期待、ってことで」

「……右に同じく」

「やれやれ、この調子じゃあキスどころか手をつなぐところまではまだ先かもね」

「……」

「……」

「……え、何その反応。……まさか?」

「い、いやいや!? なんでもないぞ!?」

「そうそう! なんでもないよ! まさかキスまで終わらせたなんてそんなまさかね!」

「……語るに落ちるって、こういうことを言うんだね」

「ま、待て! 勘違いだ! 誤解だ!」

「そうだよ! ちょっと躓いてバランス崩れた時に当たっちゃっただけでワザとじゃないんだから!」

「はいはい、わかったわかった」

「あ、あー! 雨さ、全然止まないなー!」

「そうだねー! 雨がこんなんじゃなかなか帰れないねー!」

「……はぁ、そうだね」


「雨、止みそうにもないね」


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