いつも守ってくれる
「本を使って防御するなんて卑怯じゃん!」
「私、本を使っているつもりはないけれど……」
アクアから逃げ続けるアリアの背後に、本が光を放ち、アリアには道を灯し、アクアの魔術を跳ね返している
「お姉ちゃんは、薬草だけ使っとけばいいじゃない。その代わりに私は魔術を極めるから、その本を……」
アクアが杖を大きく振りかざすと、大量の水がアクアの周りに溢れだし、そのままアリアの方へと水が向かっていく。アクアの姿が見えなくなるほどの水量に驚いて、少し足がもつれたアリアがドスンと前に倒れた
「痛いっ……」
少し足を擦りむいてしまい、すぐに立たずしょんぼりするアリア。本がそれに気づいて、アリアの周りをグルグルと回り、あたふたとしていると、すぐ目の前までアクアの魔術が迫っていた
「アリア、危ない!」
突然聞こえた声と共に、アクアの魔術がアリアから逸れると、目の前からコツンと足音が聞こえた
「あれ、ミオ。なんでここに?」
「それは私が聞きたいよ。目覚めたらお城の中で誰もいないし、強い魔力を感じて探っていたら、いつの間にかここに……」
ミオがアリアに手を伸ばし体を起こし、擦りむいた場所を手ではたいて、二人で話をしていると、追いついたアクアが、二人の会話を聞いて苛ついた顔をした
「それ、私と同じ杖だ」
アクアの声にアリアとミオの会話が止まり、ミオが持っている杖に目を向けた
「そういえば、お母様が誰かに渡したって言ってた……」
またアクアが独り言のように呟くと、その声が聞こえたミオがアリアの耳元で話しかけた
「ねえアリア、何が起きてるの?なんでアクア様がここに?」
「それが、私にもまだよく分からなくて……」
二人がアクアを見てヒソヒソと話していると、アクアが持っている杖を大きく振り下ろした。すると、アクアの周りに浮かんでいた水が雨のように降り注ぎ、バシャッという水の音を鳴らし、アリアとミオへと一歩近づいた
「炎と水の魔術、どっちが強いか対戦しよう。きっとアリアお姉ちゃんよりも、楽しい対戦になるよ」




