心を読まれないように
「早く魔術を使ってよ!逃げるだけじゃ、つまんないじゃん」
アクアの魔術を避け続けるアリア。二人とも息切れをすることもなく逃げたり術を使い続けている。アクアがアリアに向けた風の魔術が木に当たり、枝や葉っぱが大きく揺れている
「あっ。そういえば、さっき……」
アリアが術から逃げている途中、ふとアクアの言葉を思い出して足を止めた。隣にあった大きな木が突然ドンッと大きな物音と共に倒れ、アリアとアクアの間に土埃が立ち込める
「私の事、アリアお姉ちゃんとか言っていたけど、どうして?」
と、アリアが問いかけると、杖を両手に持ち術を唱えようとしていたアクアの表情が一瞬固まった
「なんで一緒にいないの?」
アリアの問いかけに答えるように小声で呟き杖を振り下ろす。杖の先がコツンと地面について、アクアの足元にあった落ち葉が数枚ヒラヒラと浮かび舞う
「どうしてお姉ちゃんだけ外で魔術も使えて、色々な人と出会えるの?」
アリアの方へと一歩進みながら今度はアクアが問いかける。その言葉にアリアが不思議そうに首をかしげた
「あなたもたくさんの人達に会えているよ。たくさんの人がお城にいたし、はじめて見た日も村の人達に歓迎されていたし……」
そうアリアが返事をすると、アクアが持っている杖をぎゅっと強く握り直した。すると、ヒラヒラと地面に落ちそうだった落ち葉がまた舞い上がり、アクアと共にアリアへと向かっていった
「二人を助けにいかないと」
お城の魔術室で二人の様子を見ていたクリアが隣にいるユーノに声をかけるが、ユーノは二人の様子を見たまま、ゆっくりと顔を横に動かした
「あれは二人の夢の中だ。我々が入ることは不可能だ。今この状況は、あの子達だからというべきだよ」
と、二人が見ていた横では、用意された部屋でスヤスヤと眠るアリアと寝室で眠るアクアの姿が写されていた。ユーノとクリアが交互に術を見ていると、魔術室の外からバタバタと騒がしく走る足音が聞こえたすぐに後に、バンッと勢いよく扉が開いた
「ユーノ様、アクア様が倒した木が、現実でも同じように倒れています」
そう報告してきた魔術師が一冊の本を広げると、アリアとアクアが出会い、ユーノがさっきまでいた場所の木々達がなぎ倒されていた。それを見て、ユーノが二人を写す二つの術から少し離れると、稽古場に隠していた一冊の本がユーノの前に現れ、パラパラとページがめくられはじめた
「本に書かれたままに二人は今、夢の中で動いている」
ユーノの前にある本のページの上に、動くアリアとアクアの姿が現れ、次々と木々をなぎ倒し、草花を燃やしている
「それに、私達が二人をこうして見れるのもあと数秒というところかな、二人の魔力に我々では、もう追いつかない」
ユーノがアリアとアクアがまだ対戦をする姿が写る術を見ると、術がユラユラと揺れはじめ、二人の写る姿が途切れ途切れになった
「やっと会えたのにね。本当つまんないの……。お母様よりも楽しく対戦できると思ったのに」
ユーノ達の術にアリアとアクアがあまり写らなくなってすぐ、逃げ疲れたアリアが木に隠れ、息を整えている。一方アクアは、疲れた様子もなくゆっくりと歩き近づいていると、足元にアリアが見せていた炎に使える薬草を見つけ薬草をつまみ取り、ジーッと見つめた後、空に向かって薬草を投げフフッと笑った
「今すぐ、お姉ちゃんを倒してあげる。痛くしないから安心してね」




