私が代わりに
「まだアリアに会えないんですか?」
「ええ、まだ起きていないので…」
アリアが起きて少し経った頃、アリアの様子を見に来たミオが警備の人達に止められていた。家の中に入れず、しょんぼりするミオの顔を見て、警備の人達が申し訳なさそうに顔を見合わせる
「じゃあ、机にあるアリアのレポートを……」
と、ミオが代わりに取ってもらおうとした時、ミオの後ろから誰かが近づいてきた
「皆さん、ちょっと良いですか?」
警備の人達と同じ服の女性が声をかけてきた。玄関の扉を開けたまま家の中に入ると、ミオに聞かれないようにヒソヒソと話しはじめた
「行かないとなると、今日はミオさんとアリア様を会わせても大丈夫ということ?」
「そうですね、ミオさんの魔力くらいなら、ユーノ様の結界に影響は出ないだろうから大丈夫かもしれないけれど……」
「お二人は、ミオさんなら会わせても何も言わないだろうから。私達が警戒しておけばなんとかなるかも」
そう言いながらミオを見ると、玄関にいたままアリアの姿が見えないかと体を動かし家の中を見ていた
「ミオさん、お会いしても大丈夫ですよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
しょんぼりしていたミオの表情が一変して嬉しそうにペコリと頭を下げた。パタパタと小走りで警備の人達の横を通り過ぎると一目散にアリアの寝室に行き扉を開けた。スヤスヤ眠るアリアの寝顔を見て、ホッと胸を下ろしつつ頬を軽くつついた
「そうだ。アリアが学校に提出しないといけないレポートもあったので取っても良いですか?」
寝室の入り口で二人の様子を見ていた警備の人達に問いかけた
「レポートですか?」
「はい、昨日の校外学習のことを書いたみたいで」
またパタパタと小走りで寝室を出ると、アリアのレポートが置かれた部屋の方へと向かっていったミオの後を追いかけると、机の上に置かれていた書きかけのレポートを見つけたミオが手に取っていた
「えーっと、薬草の調合と魔術の関係性についてって書いていますね」
「……えっ」
ミオが書きかけのレポートをパラパラとめくり言うと、警備の人達が驚きざわめきはじめる。キッチンでミオのお茶を用意していたお城の家政婦達が騒ぎに気づいて、部屋の方を不思議そうに見つめている
「えっと、レポートには、薬草の調合には特定の魔術と合わせると……」
レポートの中身を読みながら、ミオが寝室の方へと歩きだした
「まって、ミオさん、読んでは!」
読み進めていく慌ててミオを止めようとしたその時、突然ベッドに眠るアリアの隣にミオがバタンと倒れ、そのまま眠ってしまった。持っていたレポートがベットの側に落ち、警備の人達や家政婦達が驚いていると、寝室の窓の側に困った顔をしたユーノが立っていた
「ちょっと危なかったかな。アリアの書いた書物なら危うく魔術が発動していたかもしれないね」




