疲れたら一時の休息を
「アクア、そんなに不機嫌にならなくても……」
「不機嫌じゃないもん。疲れただけ」
庭にあったベンチに座るアクアにユーノが声をかけると、アクアが顔を背け頬を膨らませ返事をした。その様子にユーノが困った様子で苦笑いすると、アクアの頭を優しく撫でた
「疲れただけか。それなら少し部屋で休むと良いよ」
「うん、そうする……」
ため息混じりに返事をして、トボトボと足取り重く部屋へと戻っていくアクアの後ろ姿を見届けた後、入れ違いでクリアがユーノの所にやって来た
「ちょっとやりすぎじゃないか?」
「アクアに勝てるのはいつまでか分からないから、ついね」
フフッと笑って謝るクリアに、ユーノがまた困った様子で苦笑いをすると、二人が対戦で壊してしまった稽古場を見た後、空を見上げ所々壊されてしまった魔術の結界を見てまた苦笑いをした
「二人で結界も壊してしまったし、また修理に時間がかかるな」
「アリア、まだ眠たいの?」
その頃、やっと起きたアリアと共にご飯を食べているミオが声をかける。時々、目を閉じ体が揺らしながら、アリアが小さく頷いた
「うん、ちょっと疲れているのかも……」
「そうだね。校外学習もあって、レポートも書いてたし、薬草の調合もしていたからね。それは疲れるよ」
ゆっくりとおかずを食べるアリアを見ながらミオが言うと、アリアが何か思い出したかのように、部屋の方をちらりと見た
「そうだ。失敗した薬草を燃やしてくれる?ついでにゴミもお願いしてもいい?」
「了解」
先に食べ終えたミオが椅子から立ち上がり、アリアの部屋に入っていく。ガサガサと薬草やゴミを集めている間にアリアもご飯を食べ終えて、二人分の食器を洗うためキッチンへと向かっていく。ミオがカチャカチャと食器の音を聞きながら片付けていると、机からアリアが昨晩書いた魔方陣を見つけ、その魔方陣を見ながらアリアがいるキッチンへと向かっていった
「ねえアリア、この魔方陣間違ってる……」
そう声をかけながらキッチンを見ると、椅子に座りスヤスヤと眠るアリアがいた
「ちょっと、大丈夫?」
ユラユラと体を揺らし起こしてみても、全く起きる気配のないアリア。寝息がスースーと聞こえて、ミオがしばらく困った顔でアリアを見た後、頬を軽く叩いて起こそうとしても全く起きない
「アリア、起きて!眠るなら部屋で寝ないと!」
と、体を揺らしながら聞いてみても返事はなく寝息が聞こえてくる。仕方なく、寝室まで運ぶため、アクアの杖のレプリカを何処からともなく取り出して、杖の先を床にコツンと当てると、アリアの体がほんの少し浮き、そのままミオと一緒に寝室へと向かうと、アリアをベッドに寝かすと、ポケットに入れていた魔方陣が書かれた紙を見た
「アリアが魔方陣なんて書くの珍しいなぁ。ちょっと直したいからこれは残しておこうかな」




