病院に運ばれましたが
ニュースでよく聞く。事故のニュースで、よく聞く。《病院に運ばれましたが》というフレーズ。
このフレーズを聞くたびに、疑問が浮かぶ。かなり混乱する。ほとんどが《病院に運ばれましたが》と逆接で読み上げる。
どこの局も、ほとんど逆接を使う。どんなときであっても、逆接を使う。
ほぼ傷を負ってない場合も。かすり傷の時も。重体の時も。亡くなってしまったときも。《病院に運ばれましたが》を、決まって使う。
よく分からない。みんな、逆になるのか。みんな、病院に運ばれたことの反対側にいるのか。
軽傷も、重傷も、意識不明も、死亡も。全部同じってことか。
みんな、病院に運ばれたことの反対側にいるってことか。みんな、流れに逆らっているということか。いや、違うだろう。
じゃあ、病院に運ばれたその先の、普通ってなんだ。そこで、みんなが予期していることってなんだ。
そんなものはないのか。逆接を使うしかない。そんな、特殊な立ち位置にあるのか。
テレビのニュースで《病院に運ばれまして》というフレーズは、ほぼ聞いたことがない。それはつまり、特殊案件ということだ。
ニュースは、言葉遣いのプロがいる。だから、きっと特殊なケースなのだろう。きっと、そうなのだろう。