表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

謀計の翼 【月夜譚No.64】

作者: 夏月七葉

 たとえ翼を手に入れたとしても、鳥のように大空を飛べるとは限らない。――そんなことは、最初から解っていたのだ。

 空を飛ぶ為の翼を手に入れて、さあ飛ぶぞという段階で、翼の動かし方を知らないことに気がついた。

 空の青さに魅入られてそこに行きたいと願い、ここまで頑張ってきた。だが肝心の翼の使い方が判らないのでは、まるで意味がない。翼を手に入れた時の安堵感から一転して、絶望の最中に突き落とされた。

 足が地に縫い付けられたようで、見上げる蒼穹はどういうわけか翼を手に入れる以前より遥か遠くに感じる。地面の上にいるはずなのに、地中深くまで潜ったみたいだ。夢見た青はくすんで暗んで、美しく見えていた頃の景色が思い出せない。

 こんなことなら翼なんて要らなかった。手に届かなくとも、美しい空のままでいて欲しかった。

 ――だが、翼はこの背に生えている。もう前のようには戻れないのだ。

 クツクツと、腹の底から笑いが零れた。戻れないのならば、今をどうにかするしかない。飛ぶことができないのならば、今いるこの場で足掻くしかない。絶望に沈んだその瞳の奥に、一閃の光が怪しく灯った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ