はじめての植えつけ
「もりびと? 守り人のことですか? 何を守るのでしょう?」
「ふむ。たしかにそういう意味もあるだろう。だが、そうじゃない」
「というと?」
「森の人、という意味の森人だ。そして、森には木が生えているだろ? 苗木を植えて木を育てる。それが森人の役割の1つなんだよ」
「森人ですか。なぜ地球の救世主が森人と呼ばれるのかはわかりませんでしたが、苗木を買える謎は解決しました」
「それは良かった。それで、買うのかい? 買わないのかい?」
「買います」
「まいどあり」
【所持金】
100ジュルム→20ジュルム
小早志は小屋まで戻って、さっそく苗木を植えることにした。
ちなみに、苗木はどこにでも植える事ができるわけではない。
野菜の種は畑に植え、稲は田んぼに植えるように、苗木にも植えるべき場所がある。
苗木を植える事ができる場所は、地面が比較的柔らかい土で、周りに大きな木は生えておらずそれなりに開けた場所であり、それは小屋から少し離れたところにある。
なお苗木を植えることが出来る場所は、今のところ、それほど広くはないが今後拡張していく事ができるようだ。
小早志はシャベルで地面を軽く掘り、苗木Aを植えた。
「これでよし!」
苗木を無事に植え終えた小早志は、早々に小屋に戻り、ベッドでごろごろしているうちに寝てしまった。
次の日。
お昼前に目を覚ました小早志は、なんとなく小屋の中の探索を始めた。
初めてこの小屋にやって来たときはベッドしか目に入らなかったが、実は他にも何かあるのではないかと思ったのだ。
探索と言っても、この小屋はたいして大きくない。6畳くらいだろうか。
だから、探索はすぐに終わるはずだったのだが、ベッドの下を探っていた時、小早志は不思議なものを見つけてしまった。
なんとベッド下の床に、扉があったのだ。
おそらく地下へ続く階段があるのだろう。
小早志は、一旦ベッドをどかしてから扉を開けようとした。
しかし、鍵がかかっているのだろうか、扉はうんともすんとも言わない。
長い時間、扉を開けようと格闘していたがついには疲れてしまい諦めてしまった。
「……すん」
落ち込む小早志。
そして、ふてくされるようにベッドに横たわっていると、いつの間にか眠ってしまった。
次の日。
先日、街に行った時は万屋にしか行かなかったので、ほかのところも見て回るため、街をぶらぶらとしていた。
それなりに楽しい一日を過ごした。
次の日。
ついに苗木を植えてから3日が経った。
苗木Aの説明文に成長には3日かかると書かれていたので、ちょうど成長が終わった頃だ。
小早志は意気揚々と苗木の様子を見に向かったのだが……。
なんと、苗木は枯れてしまっていた。