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各駅停車を待つあいだ  作者: 佐倉 穂波
1/2

中学校 一年生の春

気がついた時には、もう、一番の友だち(はつこいのひと)だった。




「おはよう、太刀川くん」

「―おはよう」


目を合わせることは、中学に入った頃から、難しくなった。

同じ中学に通えて、とっても嬉しかったのに。




私が通っていた小学校は、3つの中学に分かれて進学になる。その内、一番人数が少なくなるのがこの高濱中学校だった。

小学校の同級生は少ないけど、塾で新しく友だちになった子もいた。そして、幼馴染みの()()()()()()も。

しょうちゃんは、となりのクラスだった。


入学式。

私は、浮かれていた。

幼稚園から一緒の礼ちゃんと同じクラスで。

ほんとにうれしくって。

しょうちゃんもとなりのクラスだし。

うれしくてうれしくて。

廊下で礼ちゃんとふたり、しょうちゃんが教室から出てくるのを待っていた。

そしたら。


「ねぇっ、カッコイイひといて、よかったねー!なんだっけ、名前!」

「ー()()()()()だよ!」


テンション高く教室を飛び出してきた子。それは、塾で友だちになった原田さんだった。

うれしくてたまらないといった表情の原田さんが、こちらを向く。

目が合うと、手を振って小走りにやってきた。

「千野さん!」

私も、手を振る。


緊張で、胸が、ドキドキする。


「ねぇ、千野さんって、太刀川くんと小学校一緒だったよね?」


その時、もう、呼んじゃいけないんだって、分かった。


しょうちゃん、って。




となりで、あーちゃんが凍りつくのが分かった。

「…これは」

わかりやすいなーと、思う。これは、フォローをいれとかないと。


「あーちゃん、知ってる子?」


「え…ああ、あの塾が一緒なの。原田亜弥子ちゃん」

「よろしくねー。篠崎 礼です。1組、アタシの双子の兄がいるんだよ!そっちもよろしくね」

いきなり話しかけたからか、原田亜弥子サンは、一瞬真顔になって、思い出したように笑顔を見せる。

「篠崎…くん、いた!似てるね!男女の双子ってすごいねー」

「よく、お揃いの服 着せられたりしてさー。もうホントにヤだったよー」


いつもよりテンション高め、声大きめでしゃべる。もう、早く気づいてよ!


「おー!いつもいつもうるさいなぁ、レイ!」


やっと来たか。


「あんたもね、タカ!」


制服が、だっぶだぶである、私の兄。義鷹。

やっと、あーちゃんが戻ってきた。

「あっ…鷹くん」

「あーちゃん、レイのことよろしくー」

「礼ちゃんと一緒で嬉しいよ」

「ショウはぼけーっとしてるよ!また、手で口隠してる」

あーちゃんは、小さく笑った。


「緊張してるんだね」


笑った。

私まで笑顔になる。

あーちゃんの笑顔が、大好き。


「オレがメンドーみとくから。任せとけ」


あーちゃんにそう言ったあと、

「大丈夫だから」とアタシにうなづく。

うなづき返した。


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