官僚はそこまで優秀じゃなくてもいいんじゃないかと思ったり
官僚の給与が高過ぎるという意見があります。
それに対し、給与が良くないと優秀な人が来ないという、反対の意見が上がります。
給与が高いのかどうかはよく分かりませんが、優秀な人が来ないという反論には問題があると思っています。
優秀な人材とは何を以て言えるのでしょう?
どのくらいの優秀性なのでしょう?
そもそも、公務員に優秀な人材は必要なのでしょうか?
そして、正当な給与とはいくらなのでしょう?
以下、私の意見を述べてみたいと思います。
私は、官僚にはそこまで優秀な人材は必要無いと思っています。
優秀な人材には、民間企業で十分に稼いでもらった方が良い。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏などなどを思い浮かべると簡単ですが、彼らが役人になる必要がありますか?
優秀な人材は民間にいた方が良くないですか?
こう言うと反論があがるでしょう。
彼らは特別で、ある意味で天才だから、彼らレベルを優秀としたら優秀な人材なんて世界でも稀だ、と。
まあ、その通りです。
では、優秀な人材とは、ビル・ゲイツ氏まではいかないレベルでの優秀さという事ですか?
でも、それでもどうなんですかね?
世界的な企業の創業者ではなくても、例えばトヨタ自動車の経営者は、優秀な人でなくては務まらないのでは?
今の官僚の中で、トヨタ自動車を率いれる人がいますか?
いや、多分探せばいるとは思いますよ?
でも、それは特別な人の話ですよね?
国家公務員は全員、トヨタクラスの会社を運営出来るのですか?
中小企業の社長なら出来る?
そんな訳がありませんよね。
中小であればある程、金儲けの臭覚が鋭敏でないと儲けにはつながらないのでは?
ですから、中小企業の社長も役人には無理な気がします。
役人は常時判断を迫られるトップではなく、部長とか課長といった仕事なら向いていそうです。
経営の判断をする役柄ではなく、決まりきった職務の中で日々の仕事を遂行する、みたいな。
公務員に求められる優秀性とは、民間で言えば現場ではなく、それを補佐する能力?
そうなのかもしれませんね。
それをトヨタ自動車で考えてみます。
トヨタ自動車には様々な部門があります。
大雑把に言うと開発、製造、販売(営業は系列店が行っているのでしょうが)、事務でしょうか。
その中で更に細分化される事は置いておくとすると、考える人と作る人、それを売る人と事務で製造業は成り立っているかと思います。
考え、作り、売る人の仕事は売上に直接関係しますが、事務はお金を稼ぎません。
でも、事務がいないと給与の計算も出来ませんよね?
どれも会社の運営には必要な仕事です。
でも、事務をやる人に優秀性はそこまで必要ないのでは?
トヨタ自動車としては、素晴らしい車を設計し、開発する技術者が一番大事だと思います。
会社の部門的には最も優秀な人材が必要だと思うのです。
でも、全ての部門で優秀な人が必要なのは当然ですよ?
求められる優秀さに違いがあるのだと。
開発部門では新しい発想、独創性などが必要でしょうか。
製造部門では求められる品質のモノを低コストで作る技術、毎日コツコツと作り続ける能力ですか。
販売部門では勿論商品を売る能力ですね。
顧客のニーズを会社にフィードバックする能力も必要かもしれません。
広報も含まれるのでしょうか?
では、事務では?
目の前の仕事を正確に黙々と処理していく能力や、部門間のコミュニケーションを円滑にし、会社内の問題を解決する能力といった事でしょうか。
それぞれに優秀な人材が必要でしょう。
それを踏まえて考えると、国家公務員は国家という組織の事務方だと思うのです。
政治家が方針を決め、役人が法律を整えて予算をつけ、民間が稼いで国家に税を納める。
この中で一番優秀な人材が必要なのは?
民間でしょう。
民間が優秀であればそれに越した事はありません。
政治家は民間人の中から選ばれるし、官僚に民間を超える能力は必要ないからです。
つまり、必要な優秀性は民間>政治家>官僚です。
そんな官僚に必要な優秀性は、民間の活力を損なわない様に国家の運営を行う力だと思います。
正直、二流で良い。
一流は民間へ、です。
民間に活力があり、十分に稼いでいれば、事務方が多少仕事が出来なくても困らないと思います。
では、国家運営の事務方に必要とされるのはどんな能力なのか?
独創性では無いでしょうし、創造性でも無さそうです。
暴論かもしれませんが、与えられた仕事を期限内にきっちりと仕上げる力なのではないかと。
憲法と法律、前例に照らし合わせて、政治家の作る素案を形にする、みたいな。
既存の法体系から逸脱しない法律を作るのは、勿論優秀な人材がいなければ作れないでしょう。
でも、それって学者というのか民間でも出来る事ですよね?
官僚じゃなくても問題は無い筈です。
官僚に、新しい法律を考える能力なんて必要ありません。
あるべき国家の姿を思い描かなくても良い。
そんな能力のある人は政治家になれば良いのです。
もしくは、政策秘書ですね。
そっちで活躍してくれれば良い。
そういう意味で、日本にはシンクタンクが必要でしょうね。
官僚は、政治家の決める事、役所としてやらなければならない事を黙々とやる。
それが出来る優秀さがあれば十分だと思います。
その能力を図るのは、現状暗記教育なのでしょうね。
受験勉強が出来る人が東大を目指し、国家公務員を目指す現状は、実は正しい姿なのかもしれません。
問題は、勉強と出世競争のみが得意な者が役所のトップになる事でしょう。
減点主義ですと、そういう弊害が生じるのでしょうか。
前なんとかさんが教育関係のトップになり、やっていたのは女性の貧困調査ですからね。
アメリカみたいに政権が変われば、役所の幹部を変更出来る制度が必要なのかもしれません。
そこまで含めての政治家選びな方が、役所にも緊張感が生まれる気がします。
そしてそんな国家公務員に対する正当な報酬はいくらなのか?
正直、これに関しては分かりません。
日本と言う国家の事務方ですから、それなりには必要でしょうが、そこまでの好待遇は要らない気がします。
何故なら、高い給与が欲しいなら民間に行けば良いだけだからです。
民間でバリバリ稼いで、税を治めれば良いのだと。
公務員は、安定を選びたい人が行けば良いだけでは?
それか、国家の安寧に尽くしたい人ですかね。
でもまあ、役所は許認可権とかあるから、単純な話ではないのでしょうが・・・
明治新政府では、国作りが始まったばかりで、官僚には優秀な人材が必要だったとは思います。
けれども、時代は変わっておりますから、今の時代の官僚にそこまでの優秀性は必要なのか?
それよりも、政治家の政策秘書にこそ優秀な人材が求められている気がします。
政治家には異なる意見や利害を調整し、未来のビジョンを描く能力。
政策秘書にはそのビジョンを実現する為の法律案作り。
官僚は役所の運営能力。
民間は国家の運営を任せるに足る政治家を選ぶ事。
そんな感じの分業が必要なのではないかと思ったりします。