私を守る世界
夢の世界、というのは、私を守ってくれる、小さな逃げ場の1つである。
その世界は、小さくて小さくて、私1人しか入らないし、今にも壊れそうなほど、脆い。
だから私は、布団と毛布という外壁で、その世界を包む。
でも、その外壁だけでは心許ないから、秘密の魔法の言葉を、そっと唇に乗せる。
それだけで、外壁は最強の守衛となる。
夢の世界は、時に甘く、時に苦い。
守ってくれる世界なのに、時々、悪いものが入り込む。
悪いのは、『不安』や『哀しみ』という名の思い。
これらは、夢の世界を黒く暗く塗り潰す。
この『不安』や『哀しみ』を置いて、その世界へと逃げれば、その優しい世界は、私の心が壊れないようになるまで、匿ってくれるのだ。
なんて、なんて優しい夢の世界。
辛い時の1番の味方が、嬉しい時の1番の聴き手が、その世界となる。
いくら、身内や友人が少なくても。
いくら、私がどんな奴だとしても。
その世界だけは、いつでも、どんなことがあっても、優しく、優しく包んでくれる。
静かなる父であり、暖かな母である、その世界に旅立つ時は。
おやすみ……という魔法をかけて。
今日も、私は、夢の世界に守ってもらう。