10円は拾った
文章書くのって難しいです。
二話です
チリリリーン... チリリリーン...
「ん...うるさい...」
耳障りな音が俺の耳を容赦なくぶち抜いてきた。
「昨日はなかなか寝付けなくて寝不足なんだよ...」
と目覚まし時計相手にぼやきながら時間を確認したとき、
ようやく現在の状況を理解した。
「ちょ、もう9時!?ヤバイなんてもんじゃねーじゃん!?」
もう既に登校時間を過ぎており、一時間目が始まるぐらいの時間だった。
「どうしよう、休んでもいいけど後であいつがうるさいしなぁ。」
悩みながらもとりあえずテレビをつけ、落ち着こうとした。
「今日、6月18日土曜日の天気は晴れ、全国的に心地よい晴れになるでしょう。」
「え、土曜日?マジで?」
念のためカレンダーを確認すると確かに土曜日だった。
「はあ...焦って損した。むしゃくしゃするし気晴らしついでに日課を始めますか。」
日課、それは近所の自動販売機周辺をあさって10円を探すこと。
いつもは全然見つからずすぐあきらめようとしてしまうのだが、
今日はついていたらしい!!!!!!!!
「おおおおおあおおおおあお⁉︎ 久々に見つけたぞ!
どれどれ、レアものかな...ん?」
拾った10円をじっくり観察すると、訳の分からないことが書いてあった。
「あれ、発行された年代が書いてあるとこが全部✖だぞ...
なんだよこれ、おもちゃってことか?」
前言撤回、やっぱり今日は最高についてないようだ。
「はぁ~、朝から本当に地味な不運ばっかだな...」
とぼやきながら偽10円をさわさわしていると、
「ユーザートウロク、カンリョウ
〈IoX〉ログインカイシ...」
「え、今なんか聞こえ...!?」
その瞬間、俺は見たことのない場所に立っていた。
現実とは受け入れがたい不思議な場所。
まさしく『異世界』という言葉そのものな場所に。
「....どこだよここ、何がどうなってこんなところにいるんだ!」
そう叫びながら、見渡せば見渡すほど信じられないものが飛び込んできた。
空に浮かぶ数々の島、見たことのない植物、空想上にしか存在しないはずの生き物...
目に入るものすべてがここが現実でないことをはっきりと告げていた。
「くっそ、わかんねー、ほんとにどこなんだ?」
「そんなことも知らずに、オレを拾ったのかよ~
拾ってあんなに喜ぶもんだからてっきりやる気満々なのかと思ったぜ。」
「え、なんだこの声?誰がしゃべってんだ?」
唐突に聞こえてきた声はそんな俺を無視して続けた。
「仕方ない、一から教えてやろう!
ここはな...『IoX』っつうゲームの中だ!」
「ゲームだって...?ていうかこの声、この偽10円から聞こえてるような...」
「偽とは失礼な!オレは正式な[Xcoin]第一号だぞ!
まあいい、これから一緒に戦うんだ、そんぐらい許せなくちゃだめだよなうん」
「...訳分かんねぇぞ、なんなんだこいつ!」
でもはっきり分かったこともある。
「これからよろしく頼むぜ、素人さんよ!」
10円好きってやめたほうがいいんじゃないかということが。
ゆっくりと地道にやっていきます