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なんでも屋たちのとある議事録

総合評価20,000pt突破記念。

読んでくださっている皆様、ありがとうございます!

 第3隊・第4隊合同会議 議事録 /花月フロレアル1日


 議 長 イヴァン・ファウネル第4隊隊長

 副議長 キーン・ダルカイス第3隊副隊長

 書 記 グイド・アラリー(第3隊)



 議「本日の議題だが、まずは先日の襲撃について……と言いたいところだが、先にセレスティーノ・クレメンティ第3隊隊長についてを議題にあげたいと思う。我々第3・第4隊のほぼすべての隊員が、昨年の竜討伐を経験しているはずだ。つまり、皆、本日見送らせていただいた“シャボン玉の聖女”殿については知っているな?」

 ガ「はい」

 副「はい、ガルヴァノ」

 ガ「ルチア・アルカ殿は、竜討伐の際、不思議なシャボン玉で我々の心を癒してくれた恩人です。そして、此度の襲撃でも、一般人でありながらルフ、オーガ、オーグリスに対して多大なる功績をあげられた方です」

 議「そう、我々は特に表立ってはいなかったが、それぞれがあの少女に、名前を知りたい、再会したら礼を言いたい、褒賞を与えたいなどと思っていたはずだ」

 ブ「隊長許すまじ」

 議「それが、彼女が王城へ来ていたことを知り、一足先に知り合ったというのに、それを隠匿していた奴がいる」

 ア「はい」

 副「はい、アスカリ」

 ア「オレらの隊長っすね」

 ブ「隊長許すまじ!」

 副「ブリッツィは挙手してから発言を」

 議「そう、セレスティーノ・クレメンティ。奴は3ヶ月の間、ルチア殿の存在を隠匿していたばかりか、独占して1人だけ仲良くなっていた」

 ゲ「はい」

 副「はい、ゲラルディーニ」

 ゲ「クレメンティ隊長は、この3ヶ月、天気のいい日は昼食を持ち機嫌よくどこかへ行っていました。また、近隣の魔物討伐も慣例と違い午後から出発することが増えていたことから、このお昼にルチア嬢と会っていたかと思われます」

 ブ「隊長許すまじ」

 議「ルチア殿が親しく名前を呼んでいたことから、だいぶその仲は深まっていたと思われる」

 ヒ「はい!」

 副「はい、ヒックス」

 ヒ「ですが、彼女は隊長の本名を知らないようでした。つまり、隊長は“竜殺しの英雄”として名高い本名を隠し、彼女から警戒心を奪いつつ、距離を詰めていたかと思われます。偽称罪ですね。顔がいいことを武器に、彼女を手に入れようと画策していたんでしょう」

 コ「別にいいじゃねえか」

 副「コヴァル、発言は挙手をしてからお願いします」

 コ「はいよ」

 副「はい、コヴァル」

 コ「おたくらの隊長さんもよぉ、男だったってことだろ? 大方一目惚れしたとかじゃねぇの? 大分地味な娘だったけどさぁ」

 ブ「黙れよこのオヤジ」

 副「ブリッツィ、静粛に」

 コ「青春じゃん、許してやれよ」

 ブ「許せるか!」

 副「ブリッツィ!」

 ブ「……はい」

 副「はい、ブリッツィ」

 ブ「1人で隠匿した挙句にルチアさんを手に入れようなんて、騎士の風上にも置けません! 仮にも英雄と謳われる人間がこうでは、国民に示しがつきません! ファウネル隊長、うちの隊長に厳罰を求めます!」

 議「だいぶ私怨が入った意見だな。だが、示しがつかないというのは同意だ」

 副「ブリッツィは、件の少女に一目惚れしていたようで……」

 議「あー……なるほど。たしかにそれは激昂するな。は〜、どいつもこいつも若いなぁ……」

 副「議長、若さを羨んでいないで、進行を」

 議「コホン。まあ、セレスティーノの気持ちもわからんでもないが、たしかに隊長としても英雄と名ざされる者としても、褒められる行動ではなかったな。欠席裁判になってしまうが、こいつは」

 ブ「有罪ギルティ!」

 副「ブリッツィ、静かに」

 ラ「いや、ブリッツィの言うとおりだろ! 俺らはただでさえ女の子との接触がすくねぇんだ! 彼女を作る機会を奪ったクレメンティ隊長は有罪だろ!」

 レ「そうだそうだ! あいつは抜け駆けしなくてもよりどりみどりだろーが! なのに貴重な女の子を掻っ攫うとか、鬼畜の所業!」

 副「ブリッツィ、ランディ、レハール、会議が混乱するので勝手に発言しない!」

 オ「はい、議長」

 副「はい、オーティ」

 オ「恋愛云々を抜かしても、彼女にお礼を言いたかった人間は多いですし、我々に魔法をかけたことへの報酬も渡していません。騎士団として彼女にしなければいけないことはたくさんあったのに、クレメンティ隊長の行動はそれを妨げたことは事実かと思われます」

 議「ふむ、たしかにそうだな」

 ブ「隊長許すまじ隊長許すまじ隊長……」

 ア「すいませーん! フェデーレが毒吐いてまーす」

 副「ブリッツィ、これ以上続けるようなら退席しなさい」

 ブ「……気をつけます」

 議「では、セレスティーノが帰り次第事情聴取。追って沙汰を出すことにしよう。さて、次の議題だが--」

ブ「隊長許すまじ、隊長フラれろ」

ア「毒通り越して呪いだろ、それ」

ブ「ついでにジェレミアも失恋しろ」

ア「酷くね!? オレは今んとこ順調だし! 今度デートする約束取り付けたし!」

ブ「隊長の裏切り者〜!」

ア「……呑みに行くか、フェデーレ」

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