お風呂で2人。
関係が明らかに変わる瞬間って,どのタイミングなんでしょうかね。私は,呼び方が変わるとき,と考えました。なので,本編の途中で突然2人の名前を,苗字から名前で表すように変わります。「あ,なにかが2人の中で変わったんだな。」と考えていただければ,OKです!
「お風呂沸かしたら,入る?」
リビングのソファーに座っている柴木に声をかける。
「岡田の好きでいいよ。」
と,返事が返ってくる。
・・・・どうしよう。この3年間,いや人生の中で一番幸せかもしれない。
柴木から帰ってきた返事は,これからセックスをする相手への返答として,間違いなかった。
「じゃあ,お風呂掃除してくるから,テレビでもなんでも,好きなことしてて。見られて困るようなもはおいてないから。」
そう残して,風呂場へ向かう。
しばらくしてから,リビングからテレビの音が聞こえてきた。
1LDKなので,洗面所のドアを閉めてもリビングの音は聞こえてくる。
・・・・あ,コンドーム・・・。
なんて間抜けなんだろう,と思う。
しかしここまできたら,相手に内緒でこそこそ悩むのもあほらしい。
「ねえ柴木-,コンドーム,どうする?」
洗面所のドアを開けて堂々と聞くと,柴木は一瞬驚いたような顔をしてから,鼻で笑った。
「俺は別に。そんなの女次第だろ。」
たしかにそうかもしれない・・・・・・が,
「じゃあさ,生でヤッて,もし妊娠しちゃったりしたら,責任とって結婚してくれんの?」
「あー,別に。こんなにきれいな嫁をちゃっかりもらえんならむしろラッキーだと思わねえ?」
「うわ,下劣~~~・・・」
・・・・とかいいながら,「ならばいっそ妊娠してしまえ!!!」とすら思う。
「お風呂・・・・・。もうすぐ沸くよ。」
「おう。」
「先に入る?」
「おまえはどうしたい?」
・・・・「一緒にはいりたい♡」などといえるものなら・・・・
「じゃあ一緒に入るか。」
「・・・・別に,いいけど?」
強がった岡田を,柴木がまた鼻で笑う。
そして,テレビを消して立ち上がる。
「・・・・・じゃあ,脱がせてよ。」
「なに,急に素直になったな。」
岡田のお願いをさらりと受け入れ,いまだ柴木にはに余裕がうかがえた。
柴木が岡田のワイシャツのボタンを,一つ一つはずしていく。
「前から思ってたけどさ,お前乳でけえよな。」
「うわっ,でた!突然のセクハラ発言!」
岡田の反応に,柴木がクスクス笑う。ボタンが外されて開いたワイシャツの隙間から,胸に柴木の息がかかってくすぐったい。
そして,するりと肩からワイシャツが滑り落ち,柴木が岡田の腕からワイシャツをぬきとり,床にヒラリとおちた。
続いて少しかがんで,柴木がスカートのホックに指をかけると,ピンッと軽やかな音がしてホックがはずれ,スカートも床におちた。
「・・・・ねえ,そろそろあんたも脱がないと不公平よ。」
岡田がそういうと,柴木も「はいはい」といいながら,いっきにワイシャツとインナーを脱ぎ,上半身が裸になった。
「どうだ,これで2対2だぞ?」
・・・・なんだそのドヤ顔は・・・・と突っ込むところだが,正直かわいすぎてキュンキュンだ。
そしてその3分後には2人とも浴槽の中で,柴木の足の上に,岡田が乗っかるようにして重なって,お湯に浸かっていた。
「せめェし・・・」
ぼそっと呟いた柴木の声が,耳元から聞こえる。
「あわよくば風呂の中でさっさとヤッちまおうと思ってだけど,これじゃあさすがに動けないもんなぁー。お互い,3年越しに発散するには,ちっと満足できんだろうな。」
「そういうことをさらっとぶっちゃけなくていいから。」
とはいいつつ,やはりいちいちきゅんきゅんきてしまう。
「・・・・でもさ,あんた,まだたってなくない?」
「ばぁか,女と風呂入ってる程度でいちいち反応してられるか。そんなに青くさくねえから安心しとけ。」
・・・・今日,セックスをした後,また明日から,私たちの関係はどうなるんだろう。
ふと思った。
もうこれきりで,今夜だけの関係なのだろうか。それとも,セフレのように,付き合うこともなく,ただし長く関係を持っていられるのだろうか。もしくは,さっき冗談めかしく言った通り,付き合うことになり,そのうち結婚までちゃっかりこぎつけることができるのだろうか。
「ねえ,柴木・・・・いいえ,諒助?」
「なに?」
「あたしの事,こういう事してる限りは,ちゃんと麻衣ってよんで?」
「いいよ,分かった。」
「・・・それとも,小春,ってよんでもらっても,とりあえずかまわないけど?」
「言っただろ。誰かの代わりとして抱くつもりは全くない。」
「・・・じゃあ,好きになって。あたしのこと。」
「そうだな・・・・麻衣。」
ベットの上に,麻衣は仰向けに倒れこむ。その上に,またぐような体制で諒助がかぶさる。
切ないようで,激しい夜は,こうして過ぎて行った。
・・・つづく・・・
エロかったですかーーー!?え,まだ足りない???いえいえ,これ以上やると,話の趣旨が変わっちゃうんで・・・・(汗)
さて,次話は日常に戻ります。・・・・その時みんな,それぞれなにを思うのでしょうか・・・・