居酒屋に4人。
前回・・・居酒屋で,柴木と岡田は,遅れてくる相沢を待っている。・・・・が,岡田が柴木にふざけて甘えていたところに,幼馴染の小春と遭遇!!!
小春と柴木家は家族ぐるみで仲がよいため,誤解を解かなければあっという間に柴木の母もろもろに,この話が伝わってしまうっ!ピンチだ,柴木!!!・・・・といったところから,三話目スタート!
「あ,ごめん,お邪魔だったねっ」
慌てて背を向けて立ち去ろうとした小春の肩を,柴木がガシッと掴む。
「待て,激しく誤解をしている。まずこいつはそういうのじゃない。俺はこれを女と思うほど飢えていない。」
「なんですってぇ?!」とケンカ腰になった岡田を「どうどう」と黙らせて続けてまくしたてる。
「それに今日は別に2人きりで来たわけでもない。少し遅れてくるってだけであって,もう1人男が来る。な,分かったな?」
柴木は必死だ。なぜなら,小春と柴木の母,典子は,個人的な友人レベルで仲がいいからだ。もしここで小春の誤解を解くことができなければ,間違いなく小春から柴木の母へ
「大変!りょうちゃんが居酒屋で女の人と腕くんで親しげにお酒飲んでた!」
などというメールが送られてしまうことは,まず間違いない。
ちなみに,柴木はいまだ実家暮らしだ。(一応毎月自身の給料から決まったがくを収めている)。さらについでだが,柴木の弟の隼人と妹の彩は大学生だが,いずれも実家を出る気配はない。
「あ・・・・ああ,なんだ,びっくりしちゃった。」
小春がえへへと笑う。しかし顔はまだ半信半疑のようだ。
「・・・・ちょっと柴木ぃ,説明,当然あたしにもあるわよねぇ?」
と,横から明らかに先ほどまでとは比べ物にならないほどの不機嫌マックスの岡田の声が聞こえてきた。
「・・・・おう,こちらは俺の幼馴染の宮下小春さんで・・・・」
「そんなこと話の流れでわかるわよっ!あんたあたしのことなんだと思ってんのよっ,って聞いてんの!」
「・・・・すまん,つい・・・・・な,つい。」
「なによ,その含みのある言い方!つい,本音が出たって捉えてよろしいのかしら?」
みるみる不穏になっていく柴木と岡田をみて,小春は困ったようにだたへらへらと笑っている。
いやオイ,助けろよ・・・・
とそこに,
「あーーー,はいはいはいっ,遅れてごめんねー。はい,そこまでにしようねー。」
という声が割って入ってきた。
「あぁ~~~~~!相沢ぁ!!!待ってたのぉ~~~~!!!」
岡田がコロッと顔色を変えて,すぐに相沢に甘え始める。
「ねぇー,聞いてよね。柴木がね,あたしのこと女じゃないって・・・」
「はいはいはい,そんなこといつものことだろ。それより柴木,そこに立ってる女性が困ってるだろ。・・・・とりあえず,座敷席に移るか。な,岡田,ホラ,歩けるな?」
相沢がスッと岡田を立たせ,4人掛けの座敷席に座らせる。
「あ,もしお時間が大丈夫なんでしたら,一緒にどうですか?」
と,さりげなく小春にも声をかける。
「あ,じゃあお言葉に甘えます。」
といって,小春も靴を脱いで座敷席にあがった。
流れで,奥から岡田,相沢が並び,向かいに小春,柴木となった。
「えーっと,俺,相沢瞬っていいます。で,このべろんべろんの女が,岡田麻衣。」
「私,りょうちゃん・・・・あっ,柴木諒助の幼馴染の,宮下小春です。」
「宮下さん,でいいですか?」
「あ,いえ。私,何か知り合いみんなに小春,とか,小春さんとしか呼ばれなくて・・・なんか宮下さんって変な感じがするんで,よかったら小春,でお願いします。」
「ははは,そうですね,宮下さん,よりも,小春さん,のほうがしっくりきます。」
オイオイオイ,なにチャラッとなじんでるんだよ・・・。岡田,さっきまでの不機嫌どうした。小春,なに俺と相沢見比べて,「りょうちゃんも見習ったら?」みたいな顔してこっち見てんだよ。
「相沢さんと岡田さんとりょうちゃんは,会社の同僚とかですか?」
やはり小春はまだ柴木と岡田の関係を疑っているようだ。
「あー,いや。部署は同じだけど,課が違う。でも同期だし,ホラ,こんな奴らだし,結構定期的に3人で飲みにくんの。」
「あ,そうなんですか。なんだ,そっかそっか・・・・。」
オイ,さっき俺が同じような説明しただろ。
「ねぇー相沢ぁ,あたしと柴木2人にするなんてひどいじゃない。あたし,相沢がいないと寂しい~。」
・・・・お前(岡田)こそ俺をなんだと思っていやがる。
「そんなこと言うなって。どうせ俺のいない時は,柴木にさんざん甘えてたんだろ?」
オイ小春。「全く,女性とはケンカするんじゃなくて,相沢さんみたいに,スマートに流せないとだめよ?こんな風にね。(鼻で笑いながら)。」っていうソレやめろっ!
「それにしても,私こんなにきれいな人,見たことないかも。いいなぁ,本当に,お肌もきれいで,顔もきれいで,スタイルもよくて・・・・」
「知ってますぅ~,自分が美人だなんてこと知ってますぅ~」
「コラ,岡田。お前は考えなしにそういうこと言うから,酔いが覚めてからいつも後悔するんだろ。ホラ,ごめんなさいは?」
オイそれでいいのか?!と思うほどの相沢の甘いたしなめに,岡田は「べーっ」と舌をだす。
「すみませんね,こいつ,酔うとタチ悪くって」
相沢が「はははっ」と小春に言う。
「お前が甘やかすから懲りねえんだよ。この大酒女は。」
「またお前は。そういうこと言うなって。」
柴木の茶々入れに相沢が軽く叱責するが,岡田の耳にも届いたようだ。
「誰が大酒女ですってぇ・・・・?」
「岡田もいちいち間に受けるなって・・・・」
相沢の止める声も無視して,岡田がテーブルに手を突きグイッと身を乗り出した。
そして,テーブル越しの斜め向かいに座る柴木に接近しながらぼそっと
「そのポーカーフェイスもここまでよ。」といった。
そして・・・・・・・
どうして俺は,こんな目にあいやすいんだ・・・・・!
身を乗り出した岡田の顔と,反応が遅れた柴木の顔がぶつかり・・・・
柴木は本日2人目のキスをしたのだった。
・・・つづく・・・
さあ,色男,柴木諒助!どうなる次話!!!
・・・・こじれろこじれろ!・・・・行き当たりバッタリて書いております・・・・(汗)