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7/7

なんというか、避けては通れぬフラグ立て

妹が転校してきてから早五日。

僕の生活は一転・・・・まではいかないけど、半転くらいしてしまった。

・・・・反転してもとに戻された、とも言うけどさ・・・。


妹と朝ごはん。

妹によるファッションチェック。

妹と登校。

昼休みも妹が来て妹と昼ごはん。

そして・・・今日もまた、妹と一緒に帰宅するお時間である。

・・・・・・正直きつい。


もともと、僕は社交的な人間ではない。

限られた数人の同志(オタク的な意味でも生き様的な意味でも)とのみ、深く親交を深めていく、そんな心安らかに生きたい人種だ。

昨日の深夜のアニメについて語り合い、新作ゲームの考察の論争を繰り広げ、今期の覇権アニメ予測を行い、嫁キャラの魅力について共感を得る・・・そんな静かに楽しい一日が送れればそれで十分である。

妹とはいえ、学園のヒロイン(詐欺)に連れまわされ注目を浴びる、というのは全くもってうれしくないことである。

とはいえ、家族は家族だ。

妹で、しかも向こうのブラコン設定上仕方ないのかもしれない。


だがしかし。

今日のこれは違う。

妹との朝ごはんと妹によるファッションチェック。ここまでは想定内。

問題はここからだ。

妹と、なんの間違いか、学園のメインヒロイン(こちらも詐欺)こと来栖愛梨との一緒に登校イベント。

ひとつ言わせてもらおう。

これは、ギャルゲーではない。リアルだ。

こんなことされてうれしいのは画面をまたいでいるからであって、リアルな話、約束もなしに玄関先に突如学園のメインヒロインが現れて思うことはひとつだ。

怖い。まともに怖い。

周りの目。これだけじゃない。

我らが学園のメインヒロイン様は中身は悪魔である。

無礼な真似でもしようものなら、即、この世からバイバイである。

なんたること。奇跡の恐怖コンボ。フルコンボだドン。

昼休みも妹だけでなく、愛梨とまで食べることになったのだ。

ここでも様々な心労があったのけれど、正直、もう思い出したくないので割愛する。

機会があったら・・・この悲劇もどこかで語られる日があるのかもしれない。



そして、満を持して今だ。

夕日のオレンジ色が鮮やかに教室を照らす時間。

つまるところ下校時間。

僕の前には二人の少女がいた。


「さあ、帰りましょうか、お兄様」

当然のように現れた妹(中等部なのに高等部の教室とか来てても大丈夫なんだろうか)の言葉にあわててうなずいて、もう一人のスルーを図る。

「あ、うん、かえろっか」

そう言ってドアに足を向けた瞬間、慌てた愛梨の顔に同情が頸をもたげたけど、だまされてはいけない。顔は天使でも、中身は悪魔だ。

こんなときはさっさと立ち去るに・・・立ち去れない。

僕はこんな最悪なヒロインにいまだ未練たらたららしい。

我ながら情けない。

「え・・・と?」

「か、帰る時間でしょ」

「え、うん、そうだね」

「だから・・・」

「ああ、また明日」

「え、じゃなくて!」

なにを言いたいんだ。

「・・・この・・・」

どうやらいたくご立腹らしい。

「あー、はい、いいですよ・・あ、あの、一緒に帰ってもいい?」

「・・・え、あ、・・・うんもちろん」

ふがいないと笑え。でも僕には無理だ。禍の種とはわかっていたところで、想い人の(一見)こんなかわいらしいお願いをむげにはできない。たとえどんなに中身が恐ろしくても!

「あ、ありがと、・・翔真」

いつもの笑みとはちょっと違う笑みに内心どきっとする。


「・・・・お兄様?帰りましょう?」

・・・・。

振り返ればそこに、近年まれにみる機嫌の悪さがにじみでる妹がいた。

・・・妹の仮面の危機だ。


帰ろう。僕らは帰路へ向かう・・。

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