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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

声劇用台本置き場

来ない待ち人(台本形式)

作者: 結衣

登場人物

健二……公園に本を読みに来た男。社会人。

絵里……公園で誰かを待っている女。社会人。

男1:女1の台本です。

時間は10〜20分くらい。(実演したら15分くらいでした)


※ニコ生やこえ部での使用は自由です。

強制ではないですが、連絡くれるとうれしいです。

あと可能ならURLの記載をお願いします。

 よく晴れた休日の午後4時すぎ。

 公園のベンチに絵里が座っている以外、誰もいない。

 時折公園の入口に目をやるなど、何かを待っているようでもある。

 健二が一冊の本を携えて登場。


健二 「あの、ここあいてます?」

絵里 「あいてるわよ。見て分からない?」

健二 「座ってもいいですか?」

絵里 「え? うーん……」

健二 「あ、誰か来るんですか?」

絵里 「待ち合わせ中」

健二 「座っちゃダメですかね? 友達が来るまででいいので」

絵里 「……そうね、来るまでなら。でも邪魔はしないでね」

健二 「もちろん」

絵里 「邪魔したらただじゃおかないから」

健二 「……しませんって」

絵里 「どのくらいここにいる?」

健二 「暗くなって本が読めなくなる頃には帰ります」

絵里 「本?」

健二 「はい。この前映画で見たんですよ。熱血教師の物語。本当にかっこよかったんです! 特に主人公が公園のベンチで本を読む姿はなんというんですか、めっちゃかっこいいんですよ! しかもその主人公運動神経も良くて……」

絵里 「それと本とどんな関係が?」

健二 「俺も主人公みたいになりたいんですよ! だからまずは彼のように本を読もうと思って」

絵里 「つまり、本を読みに来たということ?」

健二 「はい」

絵里 「単純ね。本を読んだところで、主人公になれるわけじゃないでしょう?」

健二 「でも、本を読むのは悪いことじゃないでしょ?」

絵里 「まあ、そうだけど。その主人公、最後どうなったの?」

健二 「同僚の教師と両想いになったんですよ。公園のベンチでお互い告白しあって。いいな、俺もあーゆー美人と付き合いたいですよ。顔良し性格良しって最高じゃないですか?」

絵里 「映画って最後はうまくいくのよね。現実はそんな甘くないのに」

健二 「主人公が救われない映画もありますけどね。俺はハッピーエンド以外は好きじゃないけど」

絵里 「キレイなものが好きなのね。汚れたものは嫌い?」

健二 「苦手ですね」

絵里 「随分キレイに育ったのね、あなた」

健二 「……じゃあ、お隣失礼しまーす」


 健二、絵里の隣に座って本を読み始める。


健二 「名前なんていうんですか?」

絵里 「私? 佐々木絵里」

健二 「俺、大原健二っていうんです。短い間ですがよろしくお願いします」

絵里 「それより本を読んだらどう? 主人公さん」

健二 「本を読んでも主人公になれないっていったくせに」

絵里 「気に障ったの?」

健二 「別に」

絵里 「主人公みたいになりたいって言ってたから、呼んでみただけよ」

健二 「ふぅん。……(数ページ読んだ頃に)そういや、友達はいつ来るんですか?」

絵里 「さあ」

健二 「待ち合わせしてるんですよね?」

絵里 「いつ来るのかしら」

健二 「待ち合わせ時間じゃないんですか?」

絵里 「あなた、聞くタイミングが悪いわよ。四時になる前にここに来て聞いてくれたら四時だって答えられた。だけど四時半になった今、彼がいつ来るかなんて言えない。だって彼が来るはずの時間はもうすぎたんだもの」

健二 「……そうですか」

絵里 「いつ来るのかしら。もしかしてあいつ……」

健二 「ま、そのうち来るって」

絵里 「なんでそう言えるの? あなた、彼の知り合い?」

健二 「いや、知らないですけど」

絵里 「彼の名前も知らないのに、どうしてそのうち来るなんて言えるの? 彼の名前は『飯島たかし』。今年35歳になる銀行員。なんと東大出身。栃木県が出身で、今は東京スカイツリーの近くに住んでるわ。赤い屋根の家。知ってる?」

健二 「いや……」

絵里 「さらに言えば小学校の頃から友達に囲まれて明るかったみたいで、昔からクラスの委員長とか、遠足のリーダーとかやってたみたい。そうそう、実は辛いものが大の苦手で、回転寿司に行けばお寿司は必ずサビ抜き。あとはーー」

健二 「ちょっと待ってくれ。知らない。そんな知り合いはいない。第一俺は栃木出身じゃないし」

絵里 「(電話がなる)あら、失礼。(でる)もしもし、ええ。え? そう……わかったわ。ええ。うん。わかった。(切る)はぁ……」

健二 「友達ですか?」

絵里 「ええ」

健二 「……来れなくなったんですか?」

絵里 「違うわよ。電車が遅れたんですって。電池が切れてたから連絡もできなかったみたい。はあ、これは私にはどうすることもできないし、待つしかないわね」

健二 「でも、よかったですね」

絵里 「何が? 私が彼に会えないのが嬉しいの?」

健二 「違いますよ。すくなくとも、約束をすっぽかされたわけじゃないってわかったんでしょ? 待ってれば来るんですから。待ってましょうよ」

絵里 「最初からそのつもりよ。えっと……何の話してたんだっけ……」

健二 「佐々木さんも栃木出身なんですか?」

絵里 「ええ。実家をでてこっちで一人暮らし」

健二 「いいなぁ。俺はこっちにでてきた弟と二人で暮らしてます。弟こっちの大学受けて合格したんで」

絵里 「そう。私も姉と二人暮らしをする予定だったんだけど、一人暮らしにしたの」

健二 「どうして?」

絵里 「だって一人のほうが気楽じゃない。家で何をしてもばれないし。自分の好きなインテリアにできるでしょ? 好きな人をいつだって家に呼べるし、好きな人の写真も自由に貼れる」

健二 「写真? 好きな人の?」

絵里 「ええ。おかしい?」

健二 「いや……壁に?」

絵里 「好きな人のことは少しでも長く見ていたいじゃない。実家にいる頃は、気持ち悪いって姉に馬鹿にされたわ。そういうのが嫌だから、一人暮らしにしたの」

健二 「はあ……大丈夫だったんですか?」

絵里 「何が?」

健二 「一緒に暮らす予定だったのに一人暮らしをして」

絵里 「問題無いわ」

健二 「いいなぁ。俺も一人がいいよ。弟が卒業するまでの辛抱だな」

絵里 「弟さん、卒業いつ?」

健二 「四年後です、今年入学したばかりだから」

絵里 「長いわね」

健二 「こればっかはしょうがないですよ」

絵里 「そうやって諦めるからダメなんじゃない? 本気で何かを望むなら、諦めちゃダメよ。諦めたら何も手に入らないわ。最後まで諦めないのが、主人公だと思うけど?」

健二 「そんな事言われても……」

絵里 「私なら、弟さんを殺してでも一人暮らしするわね」

健二 「……え?」

絵里 「冗談よ。怯えないで。そんなことしたら大変なことぐらい、私もわかってるわ」

健二 「で、ですよね」

絵里 「考えなしにそんなことはしないわ。……現実的に考えるなら別のアパートを探して、家賃払うからって住まわせるとかかしらね」

健二 「そんな余裕ないですよ俺に」

絵里 「そう……あら、あなたその服、新品?」

健二 「はい。よくわかりますね」

絵里 「タグがついてる。(と、服のタグを示す)」

健二 「あ、ほんとだ。でも今、はさみないしな……」

絵里 「切ってあげる。(カッターを取り出す)」

健二 「カッター!? なんであるの!?」

絵里 「持ってきたからよ」

健二 「普通カッター持ってきますか? 待ち合わせですよね」

絵里 「さっきコンビニで買ってきたの。使ってたやつ、刃が錆びちゃって使い物にならなくて。タグ、切ってあげようか」

健二 「いや、大丈夫。貸してくれますか」


      絵里、カッターを手渡す。

      健二、服についたタグを切る。


健二 「……まだ、来ませんね」

絵里 「ええ。でもそろそろ来るはず。電車は降りてるみたいだし」

健二 「そうですか」

絵里 「……たかし、どうしたのかしら」

健二 「あの、聞いてもいいですか?」

絵里 「答えられることなら」

健二 「もしかして待ち合わせしてるのって、友だちじゃなくて恋人ですか? ほら、下の名前で呼んでるし、夕食を食べにいくのかなって」

絵里 「……友達、よ」

健二 「そうですか」

絵里 「今はね」

健二 「え?」

絵里 「今日、彼に呼び出されてここに来たのよ。大事な話があるって言われたの。きっと告白よ。私に愛の告白をしてくれるんだわ。彼には恋人がいたんだけど今はいなくて、やっと私の魅力に気づいてくれた の。ほんと、人を待たせて罪なんだから。(健二を見て)あら、何か言いたげね」

健二 「告白って決め付けるのは、まだ早いんじゃ……」

絵里 「告白よ。あなた、私と彼のこと知らないのに文句言うの?」

健二 「言いませんけど」

絵里 「彼に振り向いてもらうためになんだってしたわ。私と彼はようやく結ばれるの。邪魔しないで」

健二 「しませんよ。でも、そのたかしさんって人には恋人がいたんですよね。何で別れたんですか?」

絵里 「……さあ? 急に行方不明になって、まだ見つかってないのよ。もう何ヶ月も前の話よ」

健二 「……いいんですか、その恋人は」

絵里 「いいのよ。彼女のせいで彼は苦しんだんだもの。いないものにとらわれる必要はないでしょう? 彼は間違った恋愛をたくさんしてきた。でも今日、私が真実の愛を教えてあげるのよ。そうね、まずは夕食でも食べて……ホテルにでも行って、心身ともに一つになって……きっと幸せになれるわ」

健二 「……そうですか」

絵里 「で、私の部屋で暮らすことになるんだわ。早く来ないかな……」

健二 「自分の世界に入っちゃったよ……俺も本読むかな」


 健二、本を読み始める。少しの間。


健二 「嘘だろ……」

絵里 「どうしたの?」

健二 「これ、推理モノなんですよ。で、今第二の被害者がでたんですが……この人女なんですけどね、なんか、太郎って人の恋人と勘違いされて殺された疑惑がでて……これが本当なら被害者かわいそうですよね」

絵里 「かわいそう?」

健二 「だって、何の理由もなく殺されちゃうんですよ!」

絵里 「恋人と勘違いされたって理由があるじゃない」

健二 「だけど被害者は恋人じゃないんです。何もしてないのに殺されるなんて……」

絵里 「誤解される方が悪いのよ。誤解されなければいいだけの話」

健二 「……被害者が悪いって言いたいんですか?」

絵里 「疑われるような状況を作ったのは被害者でしょう? 自業自得よ。第一、本当に恋人になってしまう可能性だってある。そう考えれば、悪いのは被害者よ。被害者が太郎に近づかなきゃよかっただけだもの」

健二 「そうですかね……」

絵里 「ええ。疑わしきは罰せず、なんて恋愛には通用しないのよ」

健二 「はあ……来ないですね、たかしさん」

絵里 「ええ。早くご飯食べて、一緒になりたいわ」

健二 「……告白じゃなかったらどうするんです?」

絵里 「告白よ! 間違いないわ」

健二 「もしもの話ですよ、そんな怖い顔しなくても……」

絵里 「大丈夫。例え告白じゃなくても、私は彼と一緒にいるつもりよ」

健二 「どうやって?」

絵里 「さあ? どうやってかしらね?」

健二 「怖いっすね」

絵里 「そんなことないわ。彼と私は結ばれるんだから」

健二 「はあ……」

絵里 「あ、彼から電話。『もしもし? たかし? どうしたの? え、一緒にいる男? ただの知らない人……え? さっきから話してるじゃないかって? 違うわ。誤解よ。え? 待ってよ。私、何もしてないわ。あなた一筋よ。あなたのことだけを考えてる。え、「他の男を見つけてくれて安心した。俺、最初からお前と付き合う気ないから。もうつきまとわないでくれ」?ちょっと、待って。待ってよ! どこにいるの? どこかで見てるの? 見てて。何でもないってこと、証明するわ! 見ててね、たかし』」


 絵里、健二をすごい形相で睨みつける。


健二 「佐々木さん、どうしたんですか? そんな怖い目して……」

絵里 「たかしがね、私と付き合う気がないっていうの」

健二 「そ、そうですか」

絵里 「他の男ーーあなたといるところを見られたからよ」

健二 「えぇ!?」

絵里 「だからあなたとは何もないってことを、証明しなきゃいけないの」


  絵里、ハンドバッグを勢い良く健二にぶつける。中から物がこぼれ出る。


健二 「いて! なんで急にバッグでなぐ――え? 何これ。カッターが一、二、三、四……しかも全部血がついて……って、なんで俺にカッター向けてるの!?」

絵里 「言ったでしょ? 邪魔したらタダじゃおかないって。あなたのせいで、私は彼に誤解されてるの。このままじゃ彼と一緒になれないじゃない」

健二 「いや、さっき聞きましたよ!? 最初から付き合う気はないって。俺、関係ないでしょ!?」

絵里 「ふふ……ふふふ。邪魔者は排除。彼と付き合うためなら、何だって排除するわ。友人でも、元カノでも、姉でも、誰でも……」

健二 「に、逃げなきゃ!(恐怖のあまり転ぶ)うわっ」

絵里 「……」

健二 「や、やめろ!」

絵里 「現実はハッピーエンドとは限らないのよ? 主人公さん?」

健二 「(カッターで胸を刺される)うっ……」

絵里 「カッター、また買いなおさなきゃな。邪魔はいつくるかわからないもの。『もしもし? たかし? 見ててくれた? 私とこいつ、何の関係もないから。だから、一緒になりましょう? ね? ふふ、楽しみだなぁ』」


  横たわる健二。楽しそうに笑う絵里。

  たかしは一部始終を見ていたのか見ていなかったのかは分からないが、でてこない。






R15、残酷な描写あり

これって、この作品に該当するかわかんないけど念のため。

ちょっとこわい感じにしてみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いですね! 今度やってみたいです。 [気になる点] 佐々木さんのしゃべり方がたまに他と違うところがあったように思います。 例えば最後の 「買いなおさなきゃな」のところ。 「買いなおさな…
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