四国攻防戦 その2
戦艦大和は長崎から四国へ北上した。
指令室に通信が入る。「大和クルーの皆さん。四国へようこそ」「貴方は?」「四国海底隊。代表のソウマです。我々の海底基地をお使いください。今、護衛を出しました。誘導します」「海底基地?四国にもあるのか?」「エエ。墜落した隕石の情報は長崎だけではありませんよ。日本全国にあります。中継に使って下さい。補給物資もありますから」「ありがたいソウマ代表。私は有賀。有賀幸作。大和の艦長です」「初めまして。有賀艦長。ヒビキさんも一緒ですかな?」「アア。新政府軍、ヒビキ。ここにいます。今、護衛艦が見えました」「こちらも確認しました。ついてきてください」
大和は四国海底隊の基地に入った。
「長旅ご苦労様です。ソウマです」恰幅の良い、グレーの軍服の男が降りてくる。「わざわざすいません。ソウマ代表。本来は我々が挨拶に向かわなくてはいけないのに」「お気になさらず。で、どこを目指してます?」「アンデットの絶滅。それにヤマトタケルと九人の守護神を探しに。手掛かりはありません。何かご存じで?」「ヤマトタケルと九人の守護神?…………サアー。聞いたことありませんね。確か、島根県にはヤマトタケル縁の地、出雲があります。陸地を散策してみては?」「フム。他に行く宛も無さそうですからね」「アア。それから注意点が1つあります。鳴門海峡には近づかないように。飲み込まれて帰ってきた者はいないので。王蛇様の呪いですかね」「王蛇?」「知りませんか?王蛇伝説を。昔、王蛇と名乗る魔神がいましてね。かつてはその魔神が支配していました。ですが一人の修行僧と青年が彼を封印した。名を弘法大師とヤマトタケルと言った。見たものはいないので神話ですね。四国に伝わる。有名なんですよ。どうぞお掛けください」
ソウマはクルーを会議室に通した。「アノ〜…………僕はそのヤマトタケルの生まれ変わりでして…………」「ハッハッハッ…………神話ですよ。神話。昔話ですから。紅茶で良いですかな?」「隼人君。いずれにしても情報収集が必要だな。明日から陸地を散策しよう。その、九人の守護神が必ずしも海底にいるとは限らないだろう。白虎はたまたまかもしれんからな」
「デ、そのアンデットの分布なのですがね。都心に多いらしいんですよ。我々も捜索してましてね。彼ですよね。ショットガンナーのシェラ。違います?」「イヤ。我々が交戦したのはタナトス部隊。ソノ〜…………シェラは知りませんね。一応、タナトス部隊の基地は爆破してますから。本隊は知りませんがね」「タナトス部隊か。聞いたことはある。青年犯罪の首謀者、タナトス。彼らに麻薬を売りさばきその手下にしている男、タナトス」「やはりそうか。我々が交戦したのは氷山の一角らしいな」「ハイ。紅茶。私のブレンドですから。ソウマスペシャルです。どうぞ。落ち着きますよ」「隼人君。私はしばらくソウマ代表と打ち合わせがある。君らは少し散歩でもしてきたらどうかね?四国は初めてだろう?鮎が旨いぞ。自由時間にしよう。しばらく停滞するさ」「わかりました。ありがとうございます。行こうぜ美香さん。ご馳走してやるよ。名物料理を」「エエ。ちょうどお腹も空いてたわ。気分転換にショッピングでもしましょう」
こうして隼人達はしばらくの間、陸地で気分転換をした。
続く