四国攻防戦 その2
注意。この話しはフィクションですので実際の世界とは関係ありません。
新宿のとある銀行。月末の決済日近くの話だった。
「ショット。任務を与える。こいつを始末しろ」「フン。容易い。金はキャッシュのピン札で。期日は守れ。さもないと貴様を始末する」とある人物をビルの屋上から狙うショット・ガンナー。シェラがいた。「風は無風。誤差修正。ターゲットロック」大切そうにカバンを抱えるその人物は周りを気にしていた。「大丈夫ですよ。社長。銀行から護衛を出しますから。ご安心下さい」「ムフッ。ワシの金やからな。なにせこっちなんや。君」社長は手を反した。「ウラ…………ですね。どうぞご安心下さい。うちの金庫は破られた事など無いので」銃弾に撃たれ、仰け反る社長。札束の雨を鳩が舞う。混乱の中、音もなく走り去るシェラ。
「今、帰りました。マスター」「ご苦労。報酬だ。君はアンデットの誉れだな。シェラ」「金は確認した。では」「待て!シェラ。良いから座りたまえ」「乗らぬ。話は金次第だ。一分だけくれてやる。要件を話せ」「四国に行って欲しい。報酬は一人、2億。場所は深海30000。我々も部隊を貸そう。好きに使え」「要らぬ。替わりに戦闘機をよこせ。一人2億で異論は無い」
四国、島根県沖。海は何事も無くそこにあった。高台から腕を組み見つめるシェラ。「フン。戦艦大和か。今回のターゲットは。まだ来ぬか」「待ちなよ。シェラ。なあシェラさんよ。譲ってくんねーかな?このタナトス様によ。オメーは次だ」「手を出すな。外道。神聖な儀式だ」「殺しが儀式ねー。まあ良いや。二番煎じは気に入らんがな」「なら煎じなきゃ良かろう。手を組む気もない。儀式だ。俺一人でやる」高台の一軒屋を奪い取り、ココで待つと決め込むシェラ。「カーッ。つれねーなー。奴は。どこまでムッツリなんだよ。まあ邪魔が始末されれば都合が良い。サッ。俺も仕事かな。麻薬でも捌きに行くか。1つ稼がせてもらうぞ四国さんよ」その時、三度笠を被り、杖を持つ男がいた。杖には鈴が付いていて。歩くたびにシャンシャンと音がした。「何だよ。アイツ。今さらお遍路のつもりか?んな事しても人間の罪なんて消えやしないぜ」足取りが止まりタナトスを見据える三度笠の男。「辛気臭いなー。シッシッ。ホレ。お賽銭やるからあっち行けって!」「キサマ…………アクダナ?」「アク?兄ちゃん。いけねーな。人を見た目で判断しちゃ」「予言しよう。貴様はココで朽ち果てる。時が満ちたのだ。大師様からの伝言だ。伝えたぞ」「………何だ?アイツ。まあ気にするこたぁねーな。さあ、仕事、仕事。たんまりあるんだクスリは」タナトスはリュックを背負い後にした。
「ワーッ!見て!綺麗な海ね」「海底30000メートルだからな。不純物が無いんだ」隼人が美香に近寄る。「いわゆるこの海域がひとつの結界になっている」「確かにね。だからお魚や海草もイキイキしてるのね。不思議な世界だわ。ダイヤモンドみたいねこんな所で結婚式なんて素敵だわ」「よく言うぜ。相手もいないくせに」「失礼ねぇ。貯金が足りないだけよ。愛の貯金がね」「四国の名産は何だっけ?ひつまぶしか?食いてーなー。ウナギをよう。コーやって。で、お茶漬けにしてよー……………」「相変わらず食い気ね。隼人君。白虎は?元気してる?」「ウン。暴れ足りないってさ。ウルサイんだアイツ」「アイツって守護神でしょ!しょうがないわよ。退屈しないで良いじゃない?」「まあな。次の奴はおとなしめを希望してるよ」「何か話してるの?白虎は」「イヤ。何も。知らないんだよ。アイツ。たぶん」「ところでさ。隼人君は私の事どう思ってるの?」「どうって………良いパートナーさ。いつもエアーライドに乗ってくれるし、アドバイスもしてくれる。僕がやれるのも美香さんのお蔭さまさ。ありがとう」「恋愛感情は?好きとか………」「幼馴染みだよ。そんな関係になるわけ無いじゃん。そりゃあ…………綺麗だよ。可愛いよ。ウン。だからこそだよ。いい人と出会って欲しいのさ。じゃあね」
「隼人。なあ隼人君よー。良いのか?彼女、その気あるよ。ウン。キューピットになっても良いぜ」「アキト君。見てたのか?」「アア。あのな、隼人君。彼女は試してんだよ。隼人がどう思ってるのか。羨ましいじゃないか。君は。俺にはわかるぜ。彼女は内気なんだよ。いいかい、さっきひつまぶしの話し、してたよね。なんでそこで美香さん、ご一緒にいかがですか?っていかないんだよ!」「僕は、ナンパしにきた訳じゃないから!九人の守護神を集めに来ただけだから!充分かい?じゃあ」「………お互いに内気なのか?ありゃ、ダメだな。イヤ、ダメでは無いだろうが、確率がな。とことん少ない」「どうしたの?アキト君。困った顔して」「イヤ、ナニ………恋のキューピットになろうかなーなんてな。美香さんは気があるんだろ?隼人君に」「聞いてみただけよ。遊びましょうって誘っただけよ。良いわ。四国で少しは自由時間があるみたいだから。気分転換するわ」「隼人君は?」「知らない!あんなの!ほっといてよ!」美香は立ち去った。「…………終わった。破産だ。ありゃ。最短記録達成か?」「ナニやってんだ?アキト」「ザベル。どう思う?あの二人」「元気そうだが。調子悪いのか?」「なんでもねーよ!」「………ナニ、怒ってるんだ?アイツ。ストレスか?」
続く