２００字集

雄弁背面

　背中は語る、守ることを。

　背中は語る、戦うことを。

　背中は語る、生きることを。

　それ以外を知らないとでも言うように無骨に語り続ける。

　その背中に私は惚れた。

　よしよしと甘やかして可愛がるのでもなく、これこれと理論を言うでもなく、びしびしと厳しく辛く当たるのでもない。

　もくもくと自分の全てをさらけ出す。

　そんな背中を追い続けた。

　惚れた人を追うのは当たり前、理由なんて後からつける。

　だから今は、その背中に手を伸ばす。