第37話 花嫁(♂)と機関銃
正直に言う。
おれが短気を起こしたせいで間合いの調整が甘かった。
正義の怒り(?)に燃えるおれは、軽機関銃二刀流でウマ野郎ジャミスに思いっきり撃ち込んだ。
白無垢姿の花嫁(♂)が両手に機関銃を構えてぶっぱなす姿。まるでB級映画のクライマックスシーンだな。
ドタタタタタタタッ!!
「ぐわわっ!」
ジャミスは顔面と心臓を両腕……もとい前足で防御する。
それと同時に左右のアニマルゾンビ軍団が駆け出してウマ野郎の盾になってしまう。
数体のアニマルゾンビをその場で撃破したが、ジャミスに致命傷をあたえることはできなかった。
こいつ、見た目以上に身体が硬い。ちょっとやそっとじゃ倒せそうにないぞ。
急所ははずれたとはいえ数発の弾丸を浴びたのに、ジャミスはまだまだピンピンしていた。
「てめえ~! ツンデレって枠を超えてんぞバカ女!」
「バカはテメエだそろそろ気づけ!」
おれは被っていた綿帽子をつかんで投げ捨てた。
数日前屋上でいたぶった男だと知り、やつは驚愕する。
「て、てめえ何でまだ生きてんだ!? とっくの昔にゾンビになってるはず!」
「特異体質なんだよおれは!」
おれは再び軽機関銃を連射する。
しかしもうアニマルゾンビ軍団の壁が厚くなっていてやつまで届かない。
「ふざけんな女をよこせって言ったろ、男に用はねーよバカ!」
「バカはテメーだ「はいそうですか」って渡すわけねーだろバカ!」
バカ、バカ、と低レベルな言い争い。
突撃部隊のリーダーは声をあげてそれをさえぎった。
「こうなったら勇戦あるのみだ、いくぞー!」
「オオーッ!」
黄金の槍をかまえたマッチョな全身プロテクタ―軍団が突撃を開始した。
同時に周囲のアニマルゾンビ軍団が一斉に襲いかかってくる。
「ふせろみんな!」
おれは叫びながら軽機関銃を持つ両手を左右にひろげ、グルグル回転しながら乱射しまくった。
ドタタタタタタタッ!!
360度すべてが敵の群れだ。バラ撒いているだけなのに当たる当たる。
「スパロボやガンダム幼稚園ならローリングバスターライフルって感じだが、今のおれじゃまあこんな所よ」
言いながらおれは弾倉を入れ替えた。
同時に脳内コンピューターを使った通信で後方に合図をおくる。
全面戦争が開始された。
「どりゃー!」
ジルヴァの錬金術でコーティングされた黄金の槍が猛獣のゾンビたちを次々と宝石の破片に変えていく。
ガシャーン! バリィィン!
前評判通りの一撃必殺だ、とんでもねえ威力。
しかし使えば使うほど黄金の輝きは薄れていく。どうやらほんのちょっとしか術の効果がもたないらしい。
「くそっ敵の壁が厚い……!」
味方の口からグチがこぼれるのを聞いた。
たしかに。味方も強いが敵も強いのだ。
せっかくの奇襲なのに押しきれない。
「そうだ後ろの味方を……!」
おれはあえて目の前のボスではなく、うしろに目をむけた。
ここにたどり着く前に分断された味方がうしろに残されている。
彼らと合流すればなんとかなるんじゃないか?
敵をなぎ払いながらちょっと後ろに行くと、そこでも戦闘がおこっていた。
おれは敵の背中を撃ち倒して分断されていた仲間と合流する。
「数が足りねーんだ、一緒に来てくれ」
「うむ、エスコートは任せたまえよ花嫁クン」
「ん?」
そんな冗談を言われて、おれは自分が花嫁衣装を着ていることを思いだした。
つい苦笑する。
「頼もしいね」
「もっと頼もしい人が後ろからきているぞ!」
グイっと親指でしめされたその方角をみると、多くの松明が続々と近づいてくるのが見える。
「街の本隊か!」
先代所長・南鞠勝が率いる街の主戦力が最前線に到着する。
イカレた結婚式もいよいよ本番だ。
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