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ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


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第29話 敵襲、アニマル軍団!

 それからしばらくは平和な日々がつづいた。

 おれはやっぱり基礎体力をあげなきゃ話にならんと思い、周囲がやっている錬『筋』術という名の筋トレを開始。


 紫織は部屋そうじについてジルヴァとギャーギャー喧嘩ケンカしつつも錬金術を学びはじめた。

 どうもあの子はおれ以上に自分の将来、というか『将来どんな自分になるのか』ということを気にしているらしい。

 身体が小さいから腕力も弱い。だから大火力の武器を使えない。

 だからといって天才美少女というわけでもなく、十を学んで一とか二をおぼえるのがやっとの日々。

 兄を助けなきゃいけないというプレッシャーをかかえながら。

 しかもいつ死ぬかわからない危険な世界で。

 そんな思うようにいかないきびしい現実のなか、紫織は頑張っている。 

 ……楽じゃねえよな、人生って。


 一方おれのほうも身体をきたえながら先代所長にもてあそばれる日々。

 少しずつ身体のブヨブヨしていた部分が引き締まってきて、強くなってきた感はあるもののまだまだゴールまでの道は遠いと思われた。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「カズヤ、身体をきたえるのはいいものだろう」


 今日もひと通りブチのめされた後、まさる老人はおれにそう言ってきた。


「男女年齢の区別なく、筋肉というものは鍛えれば増えるようになっている。内臓や神経とはそこが違う」

「あれ、そうでしたっけ?」

「そうさ、骨折したあとにリハビリ治療とかするだろう? 年寄りになったら筋肉は減るだけ、というのではあんな事をしても無意味だ。ケガをしても復帰できるのは筋肉に年齢も性別も関係ない証拠さ」

「ふーん」


 大の字になって草原に寝転がるおれ。

 動きまわって火照ほてった身体に、そよ風が心地いい。


「だから私は周囲に筋トレを推奨すいしょうしたんだ。ひとつあれば誰でもできる。成果が上がればそれは成功体験になる。成功体験が積み重なれば、未来への希望になるだろうと考えてね」

「それが行きすぎてジェッ〇マンのパクリ歌か?」

「ガハハハハハ!」


 老人は豪快ごうかいに笑った。


「あれはさすがにやりすぎだったな! しかしなかなか気づいてもらえなくてね、逆にさみしかったよ!」

「気づいてもらえないボケってのは辛いっすね」


 雑談を楽しむおれたち。

 しかしけたたましい騒音そうおんが空気を一変させた。


 ヴー!! ヴー!! ヴー!! ヴー!!


 広大な敷地内にサイレンが鳴り響く。初めて聞くおれでも普通のことじゃないと分かった。


「むっ、緊急警報だ。おそらくゾンビの群れでもあらわれたのだろう。危険だから小屋で休憩きゅうけいしていたまえ」

冗談じょうだん! 実戦で鍛えていくのがおれ流だよ!」


 おれたちはかたをならべて現場へ急いだ。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞。


 すでに戦闘は始まっていた。

 研究所の防壁をはさんで攻防戦がひろげられている。

 敵ゾンビは、人間ではなかった。

 シカ。イノシシ。タヌキ。サル。

 動物のゾンビたちだ。

 地元の動物たちがZ-ウィルスに感染してゾンビ化してしまったらしい。


 対する人類は感染予防の全身プロテクターを装備したマッチョ軍団。

 かべの内側から弓矢や槍といった武装で抵抗している。


 戦況はパッと見た感じ互角ごかく

 種族がバラバラの動物軍団なのに一糸乱いっしみだれぬ統率力で戦えているのには、理由があった。


「メエエエエ! メエエエエエ! 進め進めケダモノども!」

「グオオオオッ! 一気に踏みつぶしてしまえー!」


 敵軍の奥のほうで騒いでいる、二足歩行の動物が二匹。

 日本語をしゃべるヒツジとトラだ。

 モフモフの毛皮の上からよろいなんぞを着こんでいる。


「あいつらまさか……天使か?」

「どうやらそのようだね」


 プレイヤー同士の意見が一致いっちした。

 ネクロスにつづき、天使軍団とのバトル開始だ。

読んでくださってありがとうございます。

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