表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/41

第27話 そりゃ文句も言いたくなるわw

 ここではあえてプレイ時間と表現しておこう。

 数か月におよぶプレイ時間のすえ、おれはようやく自分以外の「プレイヤー」に出会うことができた。

 しかし相手はすでに隠居いんきょした老人。

 彼の「遅すぎる」という口ぶりは、ずっと長い間ほかのプレヤーに出会えなかった事を意味していた。


南鞠みなみまりまさるだ。君は?」

「あっ、カズヤです」

「……名字みょうじは?」

「ありません。目覚めた時からずっと記憶きおく喪失そうしつでして」

「むむ、そうなのか?」


 若干じゃっかん話がかみ合わない印象をうけた。

 まあたったこれだけのコミュニケーションで100%理解しあえるわけもないが。 


「……ベル。初めてで勝手がわからん。どうするべきかな」


 まさる老人はおれから視線をそらしてベルという名を呼んだ。

 おそらく老人の脳内にも、脳内コンピューターがあるのだ。

 直後。

 おれの脳内コンピューター『ノヴァ』がメッセージを寄こした。


「プレイヤー・カズヤ。真正面にいるプレイヤー・マサルの脳内にも私ノヴァと同種同系統のスーパーコンピューターが存在しています。データの共有を求められましたがいかがなさいますか? Yes or No?」

「……イエスだ」


 目には見えないラインでおれ達はつながれた。

 おそらく老人の脳内におれの情報が公開されている。

 数秒後、老人は絶望的な表情になった。

 

「ああああ……」


 老人はズルリとイスからすべり落ちた。


「お、お父さん!?」


 養女の南鞠真美所長が駆け寄る。

 一番わけの分からない状況にいるのは、実はこの女性だろう。


「いや大丈夫だ、あまりのことに力が抜けてしまった」


 老人は助けを借りることなく自力で立ち上がった。


「彼がね。私が探し求めていた人物なのだよ」

「えっ、カズヤさんが?」

「しかし参った……まさか二十年もまたされるとは……」


 先輩プレイヤーはあきれた顔で俺を見る。


「君は、ほとんど最速で私に会いに来てくれたんだね。それでも二十年かかるとはなんたるクソゲーなのか」


 どうやらまさる老人は、おれにあきれているのではなく、二十年も他のプレイヤーに出会えなかったことにあきれている様子だ。


「それってつまり、おれとあなた以外にプレイヤーはいないってことですか?」

「可能性は高そうだよ」


 老人はイスに座りなおした。

 おれたちにも着席をうながす。


「とっくの昔に死んだか。あるいは初めからいないか。隠れて時期をうかがっているのか。いずれにせよこの年寄りが生きているうちに三人目に出会う可能性は、低いと言わざるをえない」

「もう一つ可能性があります。おれみたいに冷凍睡眠コールドスリープ状態で放置されている可能性です」

「ふむ……、君と私では何もかも違うようだね」


 そう言いながら、自分のこめかみをツンツン指でつつく。


「共通点はコレ(・・)だけか」


 頭の中にコンピューターが入っている(らしい)。

 そしてそのコンピューターたちはこの世界を『ゲームだ』という。

 なんなんだよこの状況。


「あーノヴァ。新しく公開される情報とかはねーのか?」

『今はありません。世界を探索してまわり、見聞けんぶんを広めてみるのはいかがでしょうか』


 素っ気なくそう言われるだけだった。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


 二十年前。

 南鞠勝みなみまりまさるさんはまだ中高年と呼ばれる年代だった。

 ある日、交通事故にであい三か月意識不明のまま病院のベッドで過ごす。

 意識を取り戻したその時、なぜか頭の中にコンピューター『ベル』がいたのだという。

 医者や看護師に聞いてみても変な顔をされるだけ。

 逆に精神異常をうたがわれだしたのでだまるしかなかったのだとか。


 カズヤ(おれ)とちがい記憶喪失きおくそうしつにはならなかったらしい。

 ひょっとしておれの記憶喪失って外科手術で『ノヴァ』を埋め込まれたダメージのせいだったりするのか?

 それはさておき。


 脳内で話しかけてくるAIの声に非常に困惑しながら、ケガの治療とリハビリにはげむ勝さん。

 病院というきわめて衛生的な環境だったのは、彼にとって幸いだった。

 その時、世界はすでにZ-ウィルスによるパンデミックが始まっていたのである。

 どんどん生き地獄と化していく世界。

 しかし病院という生活環境は、勝さんが交通事故のダメージから復活するまでの時間をかせいでくれた。

 それは同時に脳内AI『ベル』の指導をうける時間でもあった。


 せまり来るゾンビ軍団。

 そしてゾンビ軍団を指揮する、『天使』を名乗る強力な超能力者集団。

 勝さんは脳内AI『ベル』から学んだ『錬金術』を駆使して敵と闘った。

 そして人々を首都圏から避難させ、この『錬金術研究所』をつくるまでに群れを発展させたのだという。

 病院のベッドで目覚めた日から今日までの歳月さいげつがおおよそ二十年。

 いつか出会えると言われていた『他のプレイヤー』にも出会えず、孤独こどくな闘いの日々にも限界を感じやがて現役引退を決意する。

 そんな今さらのタイミングでカズヤ(おれ)が来たらしい。


 ……うん、遅いって文句いいたくなる気持ちは分かるなw

読んでくださってありがとうございます。

投稿のはげみになりますのでぜひ☆やブックマーク、いいねをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ