表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/41

第26話 ゴミ屋敷は思い出の宝庫

 結局このゴミ部屋のあるじ・ジルヴァはいっさい掃除をすることなく、着替えて仕事にいった。

 しばらく外部へ出かけていたので、本来の居場所である研究棟での仕事が山積みになっているらしい。

 仕事がいそがしいから部屋の掃除ができない―――という言いかたをするともっともらしく聞こえるが、24時間365日忙しいわけでもないだろう。

 ジルヴァのだらしなさを帳消ちょうけしにできるほどの理由にはなっていなかった。


「えっほ、えっほ」


 大きなガラクタを建物の外へ運び出す。

 こわれた家具とか高そうなつぼとかはまだしも、ケン〇ッキーおじさんの像とか薬局のケロ〇ンなんかが発掘・・されてきたのはホントなぞだ。

 こんなでけえのよく部屋の中におさまっていたな?


「こんなもんどっから集めてくるんだアイツ?」


 室内洗濯物(せんたくもの)しと成り下がっていた『ぶら下がり健康器』を肩にかつぎ、『ヌイグルミがぎっちり詰まったふとん圧縮袋あっしゅくぶくろ』を小脇こわきにかかえて外にほうり出す。


「自己管理できねえコレクターってのは厄介やっかいだなあ」


 などとぶつくさ言いながらガラクタの山をとにかく一度外へ出しつづける。

 ジルヴァの基準ではどうだか知らないが、おれ基準ではガラクタの山としか言いようがないのだ。


「やれやれ、まだ半分にもならねえなあ」


 もうすぐ昼メシの時間だ。

 一日では片づけきれない可能性を感じ、ウンザリした気持ちになりながらまた部屋に戻る。

 ……と、その時。


「ぎゃーっ!?」


 部屋の中でゴミと格闘していた紫織が悲鳴をあげた。


「どうした!?」


 まさかゴミの中にゾンビまでもれていたとか!?

 全速力で急行するおれ。

 部屋までたどり着くと、紫織は恐怖に顔を引きつらせながらベッドの上に。

 指で何かをつまんでいた。


「こっ、これっ、これっ」


 それはジルヴァが使う錬金術のはりだった。

 刺さった対象を一瞬で宝石に変えてしまう超危険物。


「わっ、わたしんだっ、とがってないほうっ! あぶっ、あぶっ!」


 どうやらとがっていない方を踏んだので死なずにすんだらしい。


「あいつー!」


 おれは外へ飛び出した。

 ズボラにもほどがある。運が悪かったら紫織の足が宝石になるところだった。

 ひと言説教してやらないと気がすまない。

 これは命にかかわる事件なのだ。

 しかし、ジルヴァがどこにいるのか分からなかった。

 適当に敷地内をウロウロ歩いているうちに……。

 

 迷 子 に な っ た 。


「どこだここー!?」


 完全に知らない場所に来てしまった。

 建物がほとんどない自然風景。広々とした草原だ。

 すぐ近くに川が流れていて、川のそばに木造の山小屋が一軒。

 ハ〇ス名作劇場に出てきそうな光景だ。


 あの山小屋に誰かいたら道を聞こうか。

 そう考えておれは草原を歩き近づいていく。


「あれー? どうしてこんな所にいるんです?」


 途中、うしろから声をかけられた。女の声だ。


「あっ、南ママリ真美、さん」

 

 そこにいたのは所長の南鞠みなみまり真美まみだった。


「はい、み な み ま り ま み です」


 所長は怖い笑顔をおれにむけた。

 ごめんよー、マ行は苦手なんだよー。


「すいません道に迷っちゃって、あの家に誰かいたらなーって思いまして」

「あらそうでした? あそこは私の育ての親が住んでいるんですよ」

「育ての?」


 南鞠所長はちょっと表情をくもらせた。


「ほらこんな時代でしょう。親は助からなくって私だけ……ね」


 なるほど。

 この筋肉村は他より圧倒的に安全な雰囲気ふんいきだが、こう(・・)なる前には悲しい物語もあったようだ。


「せっかくだから紹介しますよ。この研究所を作ったすごい人なんですから」


 つまり先代の所長か。

 南鞠所長が二代目ということだったので、もう故人こじんかと思っていたがまだ生きていたんだ。

 断る理由もない。誘われるまま所長についていったが、突然脳内AI『ノヴァ』がおれにメッセージを寄こした。


『プレイヤー・カズヤ。新しいメッセージが届きました。通信可能範囲内に他のプレイヤーがいます』

「なにい!?」


 思わぬ言葉につい大声を出してしまった。


「どうしました?」

「あ、いやその、さっき腹が立つことがありましてその時のことを」

「はあ……?」


 不審そうな南鞠所長をどうにか誤魔化す。

 通信可能範囲内って、周囲は誰もいない草原。

 山小屋の中にいるとしか思えない。

 つまり、これから紹介してもらう先代所長こそが―――。


 キィ、と軽い音をたてて木戸が開かれる。

 木製の粗末そまつなイスに座る、総白髪そうしらがの老人がいた。


「今さら何の用だ?」


 開口一番。皮肉な笑みを浮かべた老人はおれにそう言った。


「見てのとおりの年寄りだ。いくらなんでも遅すぎやしないかね」


 どうやらあちらさんは、長期のソロプレイで性格がひねくれてしまったご様子だった。

読んでくださってありがとうございます。

投稿のはげみになりますのでぜひ☆やブックマーク、いいねをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ