第6話 ヒーロー養成学校で悪役講師をやることになった
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「は? 俺が講師ぃ?」
朝っぱらから管理局に呼び出された俺は、思わずコーヒー吹いた。
担当官が言うには、“ヒーロー養成学校”で**「悪役実習」**をやってほしいとのこと。
「うちの生徒、ヒーロー理論ばっかで、実戦感覚ゼロなんですよ。
で、“リアルに悪役をやってくれる人”って探したら……アオトさんしかいなかったんです!」
「……嫌な光栄だな。」
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こうして俺は今日、教壇に立っていた。
目の前にはピカピカの訓練スーツを着た10代の生徒たち。
壁にはでかでかと書かれたスローガンがある。
『正義こそ、未来だ!』
……ああ、頭が痛い。
「えー、今日から“悪役実習”を担当する、ブラック・アオトンだ。」
ざわめく教室。
「ほんものだ……!」「あの人、ニュースで見た!」
「悪役なのに、普通に喋るんだ……!」
おい、悪役だって人間だよ。
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「さて、質問。ヒーローの仕事ってなんだ?」
「悪を倒すことです!」
「はい、アウト。」
「えっ!?」
「ヒーローが悪を倒すだけの世界になった結果、どうなった?」
「……怪人が、いなくなった……?」
「正解。つまり、ヒーローの仕事がなくなった。正義の使い道が減ったんだ。」
教室が静まり返る。
俺はホワイトボードに“バランス”と書いた。
「正義と悪は、天秤だ。どっちかが消えれば、もう片方も腐る。」
「……かっけぇ……」
「感心してる場合か、バランス取りなさい。」
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実習では、俺が悪役役、生徒がヒーロー役。
「じゃあ行くぞ。俺が街を襲う! お前らは止めてみろ!」
ドガァァァンッ!
煙の中から飛び出した俺に、生徒たちは慌てて構える。
「こ、この街は渡さない!」
「いいね、そのセリフ勢いある! でも、声震えてるぞ!」
「すみません!」
1時間後――
全員ボロボロ。
(※もちろん怪我はしてない。精神的に。)
「なあお前ら、倒すだけが正義じゃねぇぞ。」
「……じゃあ、どうすれば……?」
「誰かを守る覚悟を、まず“敵”にも向けてみろ。
悪役だって、戦う理由があるんだ。」
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放課後。
片付けをしていると、女子生徒が駆け寄ってきた。
「アオト先生!」
「ん?」
「今日の授業、すごく楽しかったです! 悪役にも信念があるって、初めて知りました!」
「そうか。……じゃあ、ヒーローになっても忘れるな。」
彼女は笑顔でうなずいた。
その笑顔を見て、俺は少しだけ、世界も悪くないなって思った。
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夜。
帰り道の街角。
大型ビジョンには、例によってヒーローの広告。
でもその横に、学校のニュースが流れていた。
『ヒーロー養成学校、新カリキュラム“悪役実習”が話題!』
「……悪役が、教育に貢献してんのか。世も末だな。」
そう言いながら、ちょっとだけ笑った。
――正義が溢れた世界で、悪役は今日も必要とされている。
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次回:
第7話「ヒーローたちのSNS炎上対策、なぜか悪役が呼ばれる」
「“ヒーローが飯食ってる動画”が叩かれてる? 落ち着け、俺が火消ししてやる!」




