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『職業:悪役(たまに正義の相談役)』   作者: よしお


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44/98

第43話 悪役、人気投票でまさかの一位になる



──悪役が愛される時点で、この社会はだいぶ疲れてる。



朝。

ミレイがタブレットを見ながら固まっていた。


「マスター……ニュース見ました?」

「ニュースなんてロクなもんじゃねぇ。」

「“今期の人気ヒーロー&ヴィラン投票”で、マスターが一位です!」

「は?」


タブレットには確かに書いてある。


第1位:アオト(元悪役・現カフェ経営)

コメント:「皮肉が優しい」「悪なのに癒やされる」「ブラックアオトンて名前、ダサいけどなんかいい」


……なんだその理由。



昼。

カフェ・ヴィランは異様な賑わいだった。

「投票したよ!」とか「悪役推しです!」とか、

なんかもう、誰もコーヒー飲みに来てない。


「マスター、今日の予約30件入りました!」

「……営業妨害だろこれ。」


しまいにはテレビ局までやってきた。

「一言コメントを!」

「悪役が人気って、どう思われますか!?」


俺はカメラを見て、

いつも通りの無表情で答えた。


「……社会が限界なんだろ。」



放送翌日、SNSがざわついた。

《#悪役に癒やされた》《#コーヒーで救われた》

トレンド入りしてる。


ミレイが笑いをこらえながら言った。

「マスター、今“悪役界の良心”って呼ばれてます!」

「悪役に良心がある時点で、ジャンル崩壊してるだろ。」


「でも、みんな喜んでますよ。」

「……そうか。」



夜。

閉店後の静かな店内で、

カウンターに一枚の投票用紙が置かれていた。


【推しコメント欄】


あの人の言葉で、自分を責めなくていいと思えた。


裏には、ただ一言。

“ありがとう”


俺はそれを見て、

ふっと笑って、コーヒーを一口。


「……人気なんて一瞬で冷める。

 でも、冷めたあとが本物だ。」



☕️ 次回予告

第44話「悪役、街の落とし物を拾う」

――「拾ったのが財布じゃなくて“夢”だった件。」


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