表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『職業:悪役(たまに正義の相談役)』   作者: よしお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/104

第2話 悪役にも、労災は出るらしい。


俺の仕事は、ざっくり言えば――ヒーローの踏み台だ。


朝の9時。

“正義の祭典”の裏口で、俺はいつもの着ぐるみを被っていた。

黒いスーツに赤いライン。肩には謎のトゲ。

その名も――《怪人ブラック・アオトン》。

……うん、自分でもダサいと思う。


「アオトさん、今日の脚本届いてます!」

スタッフの少女が台本を差し出してくる。

表紙には、明朝体でこう書かれていた。


『ヒーロー・プリズマスター、悪の陰謀を打ち砕く!』


「プリズマスター……今日の相手か。」

「はい! 新人さんですけど、SNSフォロワーがもう十五万人!」

「おぉ……時代だな……」


俺はため息をつき、着ぐるみのマスクを被る。

視界は狭く、息苦しい。でも、これが俺の“正義の形”だ。



ステージが始まる。

子どもたちの歓声。スポットライト。

そして、ヒーローが登場する。


「待て、悪の怪人ブラック・アオトン! この街を脅かす悪は、俺が倒す!」

――眩しい。いや、ヒーローのスーツが反射で本気で眩しい。

LED加工とか、やりすぎだろ。


俺は低い声で唸る。

「ククク……人間どもよ! この街を恐怖で包んでやるのだァー!」


(……セリフ、完全にアドリブなんだけどな。)


剣が交わる。火花が散る。

本来なら、ここで俺が吹っ飛んで終わり。

だけど今日の新人ヒーロー、やる気がありすぎた。


「喰らえぇぇぇっ!! プリズマ・インパクトォォッ!!」


ドゴォォォォン!!!


――派手すぎる。

マジで衝撃波飛んできた。


「うわあああっ!!」

(……え、これ台本にないって!!)


俺は吹き飛ばされ、ステージ裏のテントに突っ込んだ。

背中が焼けるように痛い。煙が上がる。


スタッフが駆け寄ってくる。

「ア、アオトさん!? だ、大丈夫ですか!?」

「……だ、大丈夫。軽い……労災、案件だな……」



控室で湿布を貼りながら、俺は苦笑した。

「ヒーローも新人ラッシュ。怪人も、命がけだな……」


その時、スマホが鳴る。

《依頼:明日もお願いします。リアルで最高でした!》


……リアル、ね。

こっちは命削ってんだよ。


だけど、俺は笑った。


それでもヒーローが輝けるなら、

悪役が一人くらい、ボロボロになってもいい。


……いや、よくはねぇけど。


「……明日も、やるしかねぇか。」



次回予告:

第3話「ヒーロー審査員にスカウトされた件について」


――「君の“悪役ぶり”は完璧だ。正義側に来る気はないか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ