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ロストプラネット  作者: 饅頭
chapter1【ノア】
4/5

ep3『地球』

 部隊名アンチコアが地球に到着してから1時間。

 僕たちはポイントネモへ向けて森を進んでいく。

 ポイントネモまでの道のりは事前に調べた最も安全とされるルートを進む。

 だが先の襲撃もかんがみて誰一人声を出さずに進んでいく。

 気候は予想されていたよりも過酷で生身の人間であったら到底生きてはいけない。

 行軍は一列で行い本来先頭を進むはずの隊長にシグナル5の新人類デザイナーチャイルドであるDCI52のアリスが先導する。

 その後ろにエル・ヒトマルヨン、シグナル6のDCA53アレフとエル・ヒトマルゴ。

 そのあとにシグナル7のノアとエル・フタマルイチ。

 最後尾にシグナル8のDCI55スピカとエル・フタマルニ。

 作戦予定時間より大きく後れるが急げば警戒レベルが落ちる。

 本来であれば着地地点より着地合図を送る予定であったが予測されていた安全航路が敵に襲われた今、そのような行為は敵に居場所を知らせるのみとなる。

 故にノアたちは重装備を背負い雪道をひたすら行軍する。

 

 更に1時間進んだあたりで不意にエル・フタマルニが倒れる。

 「ちょ。フタマルニちゃん!?」

 バディのスピカは急いでフタマルニへと駆け寄る。

 「ス・・・ピカ・・・。ワタシ・・・」

 フタマルニの声にノイズが走る。

 ヒトマルヨンがすぐに状態を確認する。

 「まずいですね。彼女のOSが感染してます」

 「ミ、ミナ、ミナサン。ワ・・・・タワタttタシ、ハ・・・・オイッテ、さくセンを」

 「エル・フタマルイチさん」

 「私の名前に継承は不要。ノア、私とあなたは対等。それで何?」

 「あ、いえ。彼女、フタマルニさんの感染ってそんなのいつ」

 「恐らくシグナル4のベガとヒトマルサンが敵機の群れに突っ込んだ際に敵機が張った弾幕の流れ弾」

 「新型モデルに対応する汚染弾丸を所見で用意した!?」

 「それは考えられない」

 ヒトマルゴが会話に割って入る。

 「多分隊長機体のエル型を分析したんだ。隊長たちの防御網が破られた時にはその解析ができていたんだろうよ」

 ヒトマルゴの声色には怒りの色がある。

 「だとしては発症タイミングが不自然。おそらくすべてを解析したわけではなく一部を解析したうえで有効ととされる攻撃をした。即効性がないのは不幸中の幸い」

 「そうですね。フタマルイチのいう通りです。完全浸食はされていないので急いでポイントネモに行けば間に合います」

 「そうも言ってられねぇぞ」

 アレフがEMPロングライフルを構えて全員に戦闘態勢のジェスチャーを送る。

 そう、僕たちは気が付かなかっただけでずっと前から徐々に敵は近づいていた。

 フタマルニに感染したウイルスは単に彼女を汚染するものではなくそれ自体がヴェノスたちを引き付ける信号を放っていた。

 周囲を取り囲むのは機械型のヴェノス。

 データで見た機械型二足歩行剣術式(マシンベース・ヒューマンモデル・ブレードタイプ)と機械型二足歩行銃撃式(マシンベース・ヒューマンモデル・ガンタイプ)。

 数は推定30から50。

 僕はアレフに真似て機械型に有効なEMPロングライフルを取り出して構える。

 ただこの武器の弱点は味方のオートマタにも絶大な効果を発揮してしまう点。

 アレフと共にノアは5式折畳防壁を展開してフタマルニを守るようにしてライフルをかまえて迫ってくるヴェノスを撃つ。

 一度撃つとチャージに5秒を要する。

 その感にヒトマルヨンとヒトマルゴ、フタマルイチが防壁より飛び出しその脚力で雪道を一気にかける。

 基本武器の超高周波ブレードでフタマルニめがけて更新してきたヴェノスたちを次々に切り倒していく。

 チャージが終わりノアとアレフは三人に気を付けながらライフルを放つ。

 その間にアリスとスピカは携帯のワクチンとオートマタ用の医療工具でフタマルニの応急処置を進める。

 「ダメダヨ。コレジャアイツマデモ、モタナイ。」

 「でも助かる可能性があるのに」

 「そうです。生き残った私たちだけでも任務を遂行しなくては」

 「ソレジャア。・・ナオサラ・・・・・コンナノハ・・・ダメダヨ」

 フタマルニは自身の武装である超高周波ブレードを杖の様にして立ち上がる。

 「フタマルニちゃん?」

 「コノジョウタイヲ。キリヌケルニハ、ショウゲキ。ガ、ヒツヨウ。ダカラ。・・・・・緊急退避!!!!!」

 フタマルニは自身の回路が焼けるほどの電流を流して叫ぶと同時に防御壁の外へと飛び出して敵軍めがけて走る。

 前線で戦闘していた三人はその姿を見てフタマルニが何をしようとしているかを察すると全力で防衛壁の中へと戻る。

 フタマルニは目の前のヴェノスの頭をつかみ地面へと押し倒す。

 「ハッキング!」

 専用装備なしでの直でのハッキング。

 オートマタ自身に悪影響があるので禁止されている行為。

 そのハッキングをもってその個体とそれにリンクしている周辺の個体とフタマルニはつながる。

 「アレフ!ウッテ!」

 アレフは迷うことなくEMPロングライフルを構えてフタマルニめがけて発砲する。

 EMP弾はフタマルニへ直撃しハッキングによって紐づけされた周辺の機械型ヴェノスへも効果が及ぶ。

 そしてEMPを食らったフタマルニとヴェノスはその場に倒れる。

 「・・・・。周辺に敵反応確認できません。制圧完了」

 スピカは防衛壁から飛び出してフタマルニへと駆け寄りすぐに緊急修復剤を投与する。

 「それは・・・意味がないわ・・・・」

 誰もが思ったことをフタマルイチは言い放つ。

 だがその発言に対して誰も何も言うことはできない。

 

 瀕死のフタマルニを抱えて8人は雪道を進むこと3時間ほど。

 森を抜けるとその先には地球における人類最後の砦。ポイントネモへとたどり着く。


To be continued.

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