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大広場に据えた公開処刑場の断頭台に、次々と犯罪者が登って行きます。そして、容赦なくギロチンのツユと消えていきました。
首がハネられるたびに、
興奮した大衆がどよめき、喝采の声をあげます。
娯楽に飢えた大衆にとって、
公開処刑ほど格好のショーはありません。
情けも容赦もない、
マグマのような熱狂が場を支配するなか、
とうとうワタクシの番がきました。
ワタクシの頭の中は真っ白になりした。もはや、
まともに考える事も、それどころか、歩く事すらままなりません。
屈強な獄卒に引きずられるように断頭台に立たされたワタクシはブルブルと全身を震わせる以外、なすすべがありせんでした。
ヒヤリとする断頭台に頭を押さえつけられ、
その上から首枷がガッチリと嵌められました。もう、
どうする事も出来ません。
あとはギロチンの重たい刃が、
ワタクシの頭をちょん切るだけとなりました。
処刑執行人が断頭台に駆け寄り、いよいよ、刑が執行されます。
大衆は異様に静まりかえりました。先ほどまでの興奮が嘘のようです。その瞳は野獣のようにギラついているというのに、断頭の瞬間を一瞬でも見逃すまいと、固唾を飲んで
身構えているのです。
ガタンッ!
氷のように冷たい刃が落とされました。
ワタクシも一巻の終わり!
そう考えてワタクシは目をギュッとつむり、身体を強張らせました。が、
いつまで待っても、いっこうに落ちてくるはずの刃が落ちてきません。
ワタクシが恐る恐る目を開きますと、
何という事でしょう!
大衆の首が、すべて跳ね飛ばされているではないですか!
しかも、首枷も壊れて外れていました。勿論、
処刑執行人も大衆と同じ運命をたどっています。
ワタクシがフラフラしながら立ち上がると、あのお方が現れたのです。
神々しい、高貴なあのお方が、




