76
☆76☆
凜華が目を見張り、
「なんの事? 竜破お兄ちゃん?」
俺は、
「結論から言えば単純で、つまりは、この世界は凜華が創り上げた、
夢の世界の中って事さ。
違うかい、凜華?」
凜華が、
「どうして、そう思うの? そんなの、ありえないよ」
「それが、ありえるんだな、これが」
俺は続ける。
「まず第一に、君は強過ぎるんだよ。スターリンカーくん。ほぼ無敵だ。まるで、夢の中のヒーローのみたいにね」
凜華が、
「この力はバクくんからもらった力だよ。あたしの力じゃないよ」
俺は首を振り、
「君が望んだ力だ。そして、夢は、まあ、バクと言ってもいい、そいつは、君の夢を叶えてくれる」
俺はさらに、
「第二に、君は他人を夢の中に引き入れる事が出来る。他人の夢を見る事が出来る」
凜華が口を挟む。
「あたし、雷夢お姉ちゃんとは、
一度も会った事が無いんだよ。
そんな人を、どうやって呼び込むの?」
俺は、
「確かに、会ってはいない。けど、写真は見た事がるし、音破から話も聞いている。
ある程度、情報があれば、この夢世界へ呼び出す事が出来るんじゃないか?
逆に、まったく知らない人間は呼び出せない。だから、
この世界には、君の関係者しか存在しない」
「むうっ」
凜華がホッペを膨らませて、おし黙る。
俺は最後に、
「そして、こいつは決定的だが、
俺は夢を見ない。だから、
俺の悪夢は、この夢世界では、起きようがない」
凜華がオモチャを取られた子供のように、拗ねた瞳で俺を見据え、
「むうう〜。悔しいけど、竜破
お兄ちゃんの言う通りだよ。
この夢世界は全部、あたしが創った夢世界だよ」
バクが心配そうに、
「いいの? 凜華? 夢が醒めたら、凜華は、リンカーは」
凜華が笑顔を浮かべ、
「大丈夫だよ! 夢は、いつかは、醒めるんだから。それに、
竜破お兄ちゃんは、信用出来る人だよ!」
今度はバクがおし黙った。
俺は、
「それで、黒幕は誰なんだい?」
凜華がキョトンとしながら、
「黒幕?」
と聞き返す。
俺は分かりやすく言い直す。
「君に、夢世界を創る能力をくれた奴だ」
凜華が瞳を輝かせ、
「おじ様の事だよね! それなら、え〜と、あれ、そう言えば。
名前を聞いてなかったよ!
何て名前なんだろう?」
凜華がウンウン唸って考える。まあ、おおよその見当はついているが、
俺は、
「そいつの目的は何なんだい?
理由も無しに、そんな能力はくれないだろう?」
凜華が胸を弾ませ、
「おじ様は、こう言っていたよ。
二つあってね。
一つは、
この能力を使えば、
夢が醒めない限り、
永遠に生き続ける事が出来るって、夢世界で生きるのに飽きたら、目を醒ませばいいって、言ったんだよ」
俺は、
「二つ目は?」
凜華が俺を指差す。
「おじ様はね、竜破お兄ちゃんの夢が見たいって、言ってたよ。どうしてなのかは、話してくれなかったけど」
俺は動揺し、
「そりゃいったい、どういう事だ?」
凜華というより、
俺自身に問いかける。すると、
バクが悲しげに、
「スターリンカー、もう、もう時間がないバク」
凛華がうなずき、
「みたいだね。バクくん」
凜華が空を見上げる。すると、
新宿上空に光の亀裂が無数に走り出す。
空が砕け、光の粒子へと変わっていく。
空だけじゃない。
新宿副都心を代表する超高層ビル群も同じ運命をたどる。
他の無数のビルも車も、大地すらも、次々に砕けて光の粒子へと変わっていく。
虹祭学園、凜華、バク、そして、俺自身までも、光の渦に飲み込まれていった。




