74/88
74
☆74☆
サヤが一息つき、
「この地、日本デス。
奴はこの世界のどこかに身を隠し、息を潜めているのデス。
動きがあれば、幻魔剣がその波動を感知し、私にはすぐ分かるのデス。それと、
桃太郎は自身のことを、
桃太郎と呼ばれるのを、嫌っていましたね。
桃太郎と言わずに、
サソリ太郎と言え、
と三人娘に言ってましたよ」
俺は仰天し、
「サソリ太郎だって!?」
さらに聞き返す。
「まさか、スコーピオンと何か関係があるのか?」
サヤが首をかしげ、
「さあ? どうでしょうか? 共通点は多いのデスが、はっきりしません」
サヤの瞳が鋭く光り、
「デスが必ず、いつか桃太郎を倒してみせます。それが、鬼でも人でもない。
幻魔剣となった私が存在する、理、由、デ」
サヤの体に光りの亀裂が走り、粉々に砕け、光の粒子となって飛び散る。
俺は頭を抱え、
「なんてこった。サヤまで消えて無くなっちまった」
俺は空を漂う、光の粒子を呆然として、見つめる他なかった。




