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☆68☆
突然、校庭で爆発音が響く。
「今度は何事だ!?」
俺はとりあえず仮面だけを付けて校庭に走る。
校庭は三角の形をした小さなスペースだが、それなりに運動が出来るようになっている。
狭い土地を上手く利用した校庭だ。
隕石が衝突しかのように、
校庭は穴だらけになっていた。
さらに、折れたり、破損している、数百本の傷ついた魔剣が散乱している。
その中央に、サヤと得体の知れない、桃太郎姿のコスプレをした男が対峙していた。
桃太郎が、
「さあ、さっさとワシに幻魔剣を渡してもらおうか!
オニガーランドでは、まんまと取り損ねた幻魔剣じゃ!」
サヤの全身から剣が飛び出す。
胸元からは幻魔剣が伸びる。
サヤが幻魔剣をつかみ、
「させませんっっ!!」
桃太郎に切りかかる。
周囲を飛んでいた魔剣の群れも、それを合図に、同時に桃太郎を攻撃する。が、
桃太郎の瞳が光った瞬間、
すべての魔剣が折れ、傷つき、寸断され、命を失ったかのようにバラバラと地に落ちる。
幻魔剣も力尽きたように地に落ちる。
この攻撃、
まるでスコーピオンが俺に放った最後の攻撃みたいじゃないか!
桃太郎が幻魔剣を拾いあげ、
「フハハハハっ!
サヤがガクリと崩折れ、膝をつく。
「くっ。九百九十九本の魔剣をもってしても敵わないとは、いったい、どうしたら、どうすればいいのデスか!? 奴を倒す方法は無いのデスか!」
桃太郎が高らかに、
「死ねっ! オニガーランドのくたばりぞこないがっ!」
凛華が、
「そうはさせないよ! マジカル☆スターソード!」
凄まじい突進と剣撃に、
「なにっ!」
幻魔剣は桃太郎の手から弾き飛ばされる。
凛華が、
「サヤお姉ちゃん! 諦めちゃ駄目だよ! わたしたちは! 絶対、諦めない!」
凛華がさらに切り込む。
俺はサヤに、
「そうだぜ、サヤ。諦めたら、そこで終わりだ。
そもそも、お前はまだ、すべての力を出し切ってないだろう。
魔剣を小出しにしてるって事は、すべての魔剣をいっぺんに扱えないって事だろ。それに、
幻魔剣は幻術主体の戦術を用いるべきだ。
怒りに任せて闇雲に突進したって、勝てるはずがない」
サヤが、
「私の修練が足りない、という事デスか?」
俺は、
「認めたくない事を、認めるのが、強くなる秘訣だぜ。大丈夫、お前なら、いつか桃太郎より強くなれるさ」
俺の話が聞こえたのか、
桃太郎の瞳が怒りに燃え、
光る寸前、
俺の閃光弾が眩い光を放つ。
桃太郎が、
「なにいいいっ!」
グサッ!
俺はサヤの、
刀身が折れた半分しかない魔剣で、桃太郎の心臓を貫いた。
桃太郎が、
「きっ、貴様ああああっ!」
俺は、
「お前さん自身の目が機能してる間は、目くらましが効くと思ってね。目をつぶったんじゃ、怪光線は放てない」
桃太郎が距離を取り、心臓に刺さった魔剣を抜く。
シュウシュウ。
と、蒸気を吹き上げ、心臓の穴が塞がっていく。
俺は、
「不死身かよ」
桃太郎が不敵に笑い、
「貴様と同じで、ちょっとした不死身じゃ、しかし、少々、チクッときたわい」
俺は、
「何で俺の能力を知っているんだ?」
桃太郎が、
「その答えは自分自身で探すのじゃな、さらばじゃ!」
残像を残し、桃太郎の姿がかき消えた。




